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小説 カフェイン part7

「この前ガスパニックっていうクラブで踊ってたら男に間違えられましたよ。白いシャツに煙草の匂いが染みついて消えなくて。いそいでトイレで服脱いで持っていたTシャツに着替えて松戸まで帰ってきたんだけど、半そでで寒かったな。でも臭いまんまじゃ千代田線乗れないと思って。

煙草が似合う風貌なのに一切吸わなかったカフェイン。
「体質にあわないのと口の中が気持ち悪くって一本吸うごとに歯を磨きたくなっちゃうんで面倒なんすよ。」
ちょっとカフェイン、あんたわたしに協力してよ。もっと自殺に関係する文章を読ませてよ。この短い小説では何も紐解けない。こちとらイタコじゃないんだから霊魂を降ろしてあんたの本音を代弁してやることはできないんだからさ。線香に火をつけたってあんた嬉しくないでしょうが。
このままじゃわたしにはカフェインの物語は紡げそうにないじゃない。
飽きっぽくって忍耐力がないわたしの本領発揮。あぁ情けなや。目指せ文豪だったんじゃないのか。適性がないのは目に見えてる。
でもねノートは手放さないことに決めた。カフェインのきったない字をちょっとずつ眺めながら毎晩コーヒーを飲むことにした。どうせ早い時間には絶対眠れないんだから。薬飲んでもね。

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