【Live2D】見解と展開、成人向けアニメの展望
2023年の振り返り
AIで遊びまくってた頃からだいぶお久しぶりなnote
スタンスとしては変わらずAI推進派ではあるものの
生成AIの技術は進化が早すぎて付いていくには張り付きが必要なうえ
クリエイター界隈では色々と戦争が勃発しやすいので、自分で積極的に使用はしていない
とはいえ、Novel AIを最初に見た時に予見した
『将来的にAIが使えないクリエイターは不利』
という意見はそのままなので、諸々の技術が定着した時に慌てて再勉強……とならない程度に、体系的に情報を仕入れるようにはしている
それより今は、現在のメインワークになってるLive2D技術を高めるために時間を使った方が良いと判断して
2023年は色々と模索しながら腕を磨いた年だったなぁと振り返る
Vtuberモデリング市場について
チュートリアルと技量格差
※「Vtuberモデラーをdisるつもりは全くない」というのを前提に※
Vtuberモデリングは、良くも悪くもチュートリアルが充実しすぎてると思っている
【良くも】
参入障壁が薄く、クリエイターが多いことで切磋琢磨があり、研究が捗る
【悪くも】
記号的な覚え方でもそれなりのものが作れてしまい、市場が飽和する
Vtuberモデルは、性質上ほとんどがシンメトリの立ち絵で、半分つくったら半分コピペ、というのがある程度OKだったり
デフォーマの変形も、なんとなく標準的なパースに沿えば一応XYZしてるようにはなってしまう
失礼ながら、たまにXのTLで見かける実績公開動画では、ペラペラの紙っぽさが残るモデリングが散見されるし、しかもそれが一定の価格で売れていたりする
これはチュートリアルが充実してるが故に、『記号的な覚え方』でモデリングした結果と、市場の飽和が原因だろうと推測している
(あまり好きな表現ではないが)いわゆる“つよつよ”と呼ばれるようなモデラーは、それらが立体であることをよく理解しているので
どう変形させれば3Dっぽく見えるかをモデルごとにしっかり考えている
これが、イマイチ紙っぽさの抜けないモデリングとの大きな違いでしょう
今後のトレンド
しかし、今や顔のXYは公式がAIツールを実装してくれている
これはやはり、シンメトリ立ち絵という大前提があることで学習させやすいのが有利に働いてるおかげで
『チュートリアル充実の最たるは自動化』という自然な流れだろう
(各種生成AIも論理としては一緒)
今後は顔以外のAIもどんどん実装される予定であることが発表されているし、Vtuberモデリング界隈は益々飽和するだろうというのは予想が付く
高可動域の話なんかはもうとっくに過去で、最新のトレンドが
アクセサリーの立体感や、特殊な揺れ表現、Live2D上でのエフェクト表現
にシフトしているのも
スタンダードなモデリング自体はAIと記号的な学習でもある程度は作れてしまうことを裏付けている
これも個人的には『良くも悪くも』になってると感じる
【良くも】
よりクリエイティブな研究が進み、表現の幅が広がっていく
【悪くも】
通常モデルの価格破壊、または過剰な付加価値での高額化
確かに一線で研究してる人たちのモデルはどんどん高度になっていっている
が、正直アクセサリーがものすごい数のパーツと工数を使って正確な立体表現を実現していたり
あるいは最新テクニックを用いて瞳や洋服が特殊な揺れ方をしていても
それらがチャンネル登録者数に影響することはほとんどない
ほとんどないけど、高度な技術を用いてるために価格は膨れる
とはいえ、そもそもVtuberモデル市場はアパレルに近くて
中の人がどれだけファッションにお金をかけるかという世界で、高額なモデルを買うのも視聴者のためというよりは自分のため
GUのようなシンプルなモデルはより早く安く提供され
ハイブランドでオシャレしたいという需要へのアプローチもある
市場としては正解だし健全で、安定した地盤を築けているとポジティブ寄りに考えている
どちらかというと、イラストをAIで3D化する技術で作られるVRoid的なモデルの量産が、シェアの食い合いとしては脅威になるだろうと予想
成人向けアニメーションについて
さて、私がメインに取り扱っている成人向けアニメーションの市場はどうか
2023年にいくつか仕事を頂き、クライアントへのヒアリングをする中で何度も感じたのは
まずまずもって、あまり浸透してないなということ
雑に言うと
Live2DはVtuber以外ではあまり使えないソフトで、アニメーションには向いておらず、時々見るめちゃくちゃ動くやつは超高度な技術と知識が必要で、外注するとめっちゃ高い
とか思われてる節がけっこうある
どういう経緯でそうなってるのか断定は難しいが
一番大きい要因としては、やはりチュートリアルがあまりにも存在してなさすぎることだと推測している
つまるとこ、アダルトでの使用は【謎の技術】なのである
作品にLive2Dアニメーションの実装を検討していて発注する側からするとこれはかなり不利で
自分で勉強しようにもチュートリアルがないし、発注しようにも受け付けてる人が少ない
やっと作ってくれる人が見つかっても、出来上がりに関してはギャンブル性が高く、価格のわりに期待してた通りの動きにならないこともしばしば
しかも基準がわからないから「そういうもの」だと受け入れるしかない
自分のモデリング技術が最高級品だとは言わないが
2023年に依頼を受けてきた中で、前任者のモデリングと価格があまりにも不釣り合いだなと感じた案件は多々ある
「いやいや、そのお金払ってこの出来だったら怒っていいですよ」
と言いたくなるようなレベルでも、平然とまかり通ってたりする
完全な偏見で、あくまでイメージだが
前述のLive2Dを記号的に覚えてしまったモデラーが、そのノリで一枚絵アニメーションの案件も受けた結果、といった印象がすごく強い
立体として機能させようとした痕跡がなかったり
むりやりパーツ捻じ曲げてなんかグニョグニョ動いてる風味だけ出してたり
物理演算がそもそも物理法則から外れまくってたり
と、これ以上は悪口っぽくなるので控えるが
まぁぶっちゃけ「酷い」出来のものが、自分が提示してる価格より高額で取引されているのは事実としてあった
一枚絵アニメーションの難しさ
前述の嘆きめいた感想に対しての擁護、またはフォローになるが
確かに(成人向けに限らず)一枚絵を動かす技術は、やはり難しさがある
かくいう私も、確固たる間違いない知識と技術だけで出来てるわけではないし
感覚的だったり、力技だったり、泣く泣く時給を下げて試行錯誤しながら作ることはたくさんある
難しさの要因としては
・3D的な知識がより求められる
・イラストがLive2D(アニメーション)を前提として描かれてない
この2つが大きいと考えている
3D的な知識がより求められる
【3D的の知識】とは、Blenderやらが使えるとかそういう事ではなく
Vtuberモデリングについてでも言及している、立体として考え3Dっぽく見せる技術のことだ
(画像をのせるのははばかられるので文字で失礼しますが)
例えば【正常位の脚の動き】
プレイにもよるが、スタンダードな足を曲げている正常位を上から撮っているような構図だと、脚はピストンのインパクトで奥にいく、つまりZ軸の動きをするので
太腿~膝は胴体側に押し込まれて小さくなり、逆に下腿や足は画面に近づいてくるので大きくなる
さらに角度がついてるのでパースも意識しないといけない……となってくると、正確に動かすのは中々に難しい
そして難しさ故に諦めたのか、ただ角度を変えただけのX軸運動で誤魔化されてたりする
FANZAのエロブラウザゲームですら、奥行きがない、なんか関節が横にウキウキ動いていて、胸だけは威勢よくぶるんぶるんしてるよくわからない寝室シーンが多々ある
本来、資料なしで作るのは厳しいため、3Dソフトを使ったり、自分で恥ずかしいポーズをとって確認したりしないといけない
※イージーポーザーやArtPoseあたりを手元に置いておくと捗ります
そして、これだけ面倒くさく難易度がそれなりに高いのに、使うのは数秒のループだけで
真正面シンメトリが前提のVtuberのように、スキーム化や使い回しができないというコスパの悪さ
「そりゃ高額な値段を付けたくなる気持ちもわからんでもない」
静止画の嘘とリアル法則の両立
もう一つの
イラストがLive2D(アニメーション)を前提として描かれてない
という問題は
イラストは静止画としての正解のために嘘を付くことがたくさんある
アニメーションは物理法則にある程度は則って動かさないと不自然になる
この相反する2つを両立した落とし所を見つけないといけない
という話である
例えばグラビアを思い浮かべるとわかりやすい
モデルが息を止めて踏ん張らないと出来ないようなめちゃくちゃなポーズを取ってたりする
つまり、特殊なポーズを特殊な角度から撮ることで、画としての正解を出している
そんな状態のモデルに
「じゃあそのまま動いてみようかー!」
なんて言う鬼畜カメラマンはいない(たぶん)
イラストも、インパクトを出すために嘘のパースを用いてたり
一部を強調するために他のアナトミーを犠牲にして、不都合な部分は何かで隠してたりする
そういった絵を物理法則に従ってスタンダードに動かすのは非常に困難で
どうあがいても無理な場面に出くわすこともある
この問題は、当たり前だが絵師とモデラーが連携してアニメーションを前提とした用意ができれば解決する
いま最前線でLive2Dアニメーションをやってる人たちはそうしてるだろう
イラストレーターがそのままLive2Dをやるのが有利だったり、モデラーが提携絵師をほしがる所以でもある
どう作っていくべきか
私の営業形態だと、基本的には渡された素材でなんとかするしかないというか、あくまで完成イラスト主体で制作は進めるようにはしている
これは個人的なポリシー的な面も含むが、そこの深掘りは今回は割愛
下の画像は、ある案件でクライアントへの説明のために、イラストのポーズを3Dモデルで再現して上から写したもの
![](https://assets.st-note.com/img/1704298152226-YRIwvAlYLJ.png?width=800)
この状態で指示書に従って胴体をグリグリ動かしてしまうと、崩れているアナトミーが強調されてしまって絵が破綻しますよ
という説明をした
前述している3D的な考え方と、静止画と動画の食い違いを念頭におくとよくぶつかる問題
だからといって
「指示書の通り動かしてるんだから破綻しても文句言わないでね」とか
「デッサンが変だからこの絵は動きません!」なんて言ってしまったら元も子もないというか、クリエイターとして芸が無い
「この構図とパーツであれば、こう動かしてみてはどうですか?」
と提案してあげるのも、モデラー側が積極的にするべき仕事ではないだろうか
原画の良さをそのままに、アニメーションでさらに魅力を引き立てる
そういったアプローチが、細かいモデリングの技術以上に求められることなのかなと個人的には思っている
2024年の成人向けLive2Dアニメーション市場
クイズ☆正解は一年後
みたいな話になりそうで、外してたらデジタルタトゥーになって恥ずかしいのですが……
この市場はけっこう伸びると予想しています
理由としては以下の3つ
・需要あるのに供給が少なすぎる
・企業が注目し始めてる
・AIにもってかれない
需要あるのに供給が少なすぎる
シンプルに、需要が強いし稼ぎにくる人がいるというだけの話
いくらチュートリアルがないといっても、超高難易度というわけではないし、少し研究すればそこまで難しいものでもない
「コンテンツに組み込みたいけど高いし、費用を回収できるかもわからない」という制作側の不安も
動画コンテンツの売れ行きが良いことが認知されれば、踏み込む人は増えるでしょう
これに関しては、実際に仕事としてやっていて、あと少しで噛み合い出すだろうなと体感している
企業が注目し始めてる
メタ的な話ではあるが、例えば
【アダルト Live2D 求人】
なんて検索してみると、うっすら答えが出てくる
え、そんな企業が成人向けLive2Dモデリングの求人だしてんの?
みたいなのがあったりします
また
「ここが攻め時だ!」とチャレンジングな制作の相談をくださってる企業様も複数いて
当然のことながら、それらが浸透すれば同様のコンテンツを作ろうとする同業も出てくるでしょう
資本のある企業が注目しているというのは、市場としてはかなり熱い展開であり、今年はその流れが強くなると感じています
AIにもってかれない
生成AIの技術進化は非常に早く、各方面に脅威を振りまいていて
それは2Dモーフィングにおいても例外ではないのですが
恐らく、Live2Dと対等するだけのアダルトをAIで作るのは厳しいでしょう
そもそも海外は日本に比べてポルノに対する規制が厳しいため、アダルト用のモデルは問題視される可能性が高く、実用性を伴うだけの精巧なアダルト動画を作るのは、しばらくはかなり困難と見ています
仮にそこそこのが作れるようになっても
AIが出す「なんとなくいい感じの量産」は、広告などの静止画や数秒動画のツギハギで効果を発揮するもので
フェチの細かいニュアンスが求められるエロをある程度の尺で出力するのは無理があるだろう
加えて、オタク界隈は絵師や声優との間にある種の宗教があり、守り続けてきたポリシーもあるので、AIそのものをNOとする人も多いはず
これらの事から、同人2次エロにおいてAIコンテンツがメインストリームになる未来はかなり厳しいと思っています
みんなで作ろうアダルトL2D
この記事は別にVtuberモデラーに喧嘩を売るわけでもなく
仕事の営業のためでもなく
去年の総括と、たまった知見と考察をアウトプットする場として書いたものです
あまり言葉を選ばなかった箇所もありますが悪しからず
全て個人的な見解であり、的外れなことも大いにあるでしょう
でも、けっこう当たってることもあるはずです
体感と体験があり、断言できるだけの根拠がある項目もいくつかあります
とはいえ、総体的にはすごく楽観で
Live2Dの市場全体はポジティブで、モデラーにとっては好景気が続くと考えています
その中でも、まだまだクリエイター不足が続く成人向け・アダルトの市場は狙い目であり、参入が増えて盛り上がってほしいと願っている次第
これを読んで
「ほんならいっちょ稼いでやろうか!」
と思ってくれる人がいてくれたら嬉しいなと思います
今年も一年がんばっていきましょう
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