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拝啓、大嫌いだった福岡の街へ


「地元ってどこ?」
年々新しい人と出会う度に聞かれる事が増えたフレーズだ。
簡単に自己紹介すると、僕は山口県の産婦人科で産声をあげ、香川県で幼少期を過ごし、高知県にて寮生活を始め中学高校時代を過ごし、福岡県で大学生活を送り始めて3年目だ。
補足すると香川で過ごした時の友人達とはもう連絡は取れておらず、「地元の友達」と聞くと高知の友人達が連想される。

だからこそ、「地元どこ?」と大学になって聞かれた時に香川とは言いたくない感情が強かった。知り合ったばかりの友達に「地元?高知だよ」と端折って伝えて、別の友達に「お前ちょっと違うやろ」と突っ込まれることもしばしば。

それくらい高知の6年が充実していた証拠でもあるのだが、それ故に出身の類いの話が苦手だった。考えすぎと言われたらそれまでだが、香川を地元という義理が微塵も感じられなかったのだ。あれだけ遊んだアイツらも音信不通だし。今更あの町に思い入れすらないし。今思い返せば、嫌な記憶だけが紐付けられていたのだろう。

そんなmadな感情を持ちつつ帰郷した香川県。実家近くの小さなライブハウスで好きなバンドがライブをするとなり帰省のついでに足を運んだ。学校から塾に行く通り道の汚ねぇライブハウスだった。
ライブも終焉、ボーカルがこう言う。「香川やっぱりいい街だね!」
彼女からするといい街なのか?
どこにそんな良さがあるのだろうか?
そんな言葉、どの街でも言ってるのかもしれない。でもまだ、粗探しをしてみようと思えた。
それからというもの、こんな街の何処がいいのかとトレッキングしたところ、路地裏の純喫茶、見過ごしてた古着屋、地元民に愛されてるであろうパン屋、見たこともなかったライブハウス、盲目な自分に未知の景色が広がる。なんだ、まだまだ魅力が溢れ出る街だ。
また帰ってこようと胸を張って思った瞬間だった。

そして今住んでいる街、福岡。
僕の今まで住んでた街に比べたら大都会。福岡に長くいる人に「こんなとこ地方だよ」と言われようが少なくとも僕には大都会にみえる。
一年目はとにかく、人々の行き交う速度や、都会の喧騒、街のネオンらによる目まぐるしいノイズにやられていた。それゆえ、福岡の街を歩いていると何処か他人がキラキラ見え、地下鉄の隣に座っている人でさえ自分に持ってないものを持ってる憎いやつという印象しかなかった。
そんな劣等感のような色眼鏡をはずした後には繋がる人、出会う人が新鮮な魅力に溢れていることに気づくのはまた別の回にでも。
とにかく多くの人と関わることでこの街を好きになってきたところだ。誰にも邪魔させない、できない。

地元?そんなものあまり深く考えない。
その代わり僕はこの街をもう少し堪能させてほしい。

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