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好きじゃない恋人とのセックス

19歳の時に初めて彼氏ができて、6年弱くらいその人と一緒に過ごした。相手の浮気が原因で別れた時は、人生の真ん中の大きな軸を失ったような感覚だった。

それからの数年間は、喪失感を埋めるためだけに恋愛をした。年上、年下、スポーツ系、インテリ系、イカニモ系など、ありとあらゆるタイプの相手と1年周期くらいで付き合って別れてを繰り返した。

その時々で付き合っている相手のことを好きだと思っていたし大切にしたいという気持ちもあった。でも今思い返すと僕は少しも相手のことを好きじゃなかったと気づく。それでもあの頃の僕には、恋人という存在が必要だった。

好きじゃない恋人とのセックスは苦痛で孤独だ。夜になり、電気を消して、並んでベッドに入ると、恋人が体に触れてくる。「はあ、また始まるのか」と、ついため息がもれそうになる口を口で塞がれる。拒絶したい気持ちを相手に悟られないように、深くなるキスに必死に応える。触られて触って舐められて舐めて下になり上になり、作業をこなしながら、早く終わることだけを考えていた。

せっかくシャワーを浴びたのに汚くなっちゃったなあと思い、不快な気持ちで眠った。僕の汗や体液で汚れた体で満足そうに眠る恋人の前で、シャワーを浴びにいくのは適切じゃない気がしたから、朝になるまで不快感に耐えた。

あの頃付き合った恋人たちはみんな僕の気持ちには気づいていなかっただろう。多少淡白だなとは思っていたかもしれないけど、そもそも好かれてないなんて想像もしなかったはずだ。

最初の恋人と別れて、もう10年以上が過ぎた。失った心の軸はまだ完全には取り戻せていないと思う。それでも、悲惨な20代半ばを経て、もう好きじゃない人とは付き合わないと心に誓っている。

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