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日本語教育関連だけじゃ気づけないこと

お勤めを辞めてフリーランスになってからは、読書量が格段に増えました。
これまでは社内という枠の中で仕事をしてきましたが、フリーになったということは、自分で枠を決め自分で舵を取っていかねばならないと感じ、それには知識量(≒情報量)があまりに不足していると感じたことが、そのきっかけになりました。

もともと本屋やCDショップが好きで、そこでの購買意欲は旺盛でした。しかし、それを実際に読むとなると話が違っていたのですが、行動を起こす(=読み始める)とそれが『習慣』となり、得た知識(≒情報)が仕事に使えると実感するようになります。

私は日本語教育をしていますが、日本語教育関連の本を読んでいると、ある程度は、その知識が豊かになっていきますが、そのうちに同じ情報の堂々巡りが始まります。案外、同じ内容が言葉を変えて述べられていることが多いものです。
そんな時は、ちょっと角度を変えて、もっと言えば分野を変えたところから日本語教育にアプローチしてみると、案外それが「仕事に使える」のです。

以前、自己啓発書の王道『7つの習慣』を読んでいたことがあります。

自己啓発書ですから、自己成長を促すための分厚いガイドブックです。
本屋で目次を見てもらえば、7つの習慣がどんなものかを簡単に確認することができますが…
 第1の習慣 主体的である
 第2の習慣 終わりを思い描くことから始める
 第3の習慣 最優先事項を優先する
 第4の習慣 Win-Winを考える
 第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される
 第6の習慣 シナジーを創り出す
 第7の習慣 刃を研ぐ
これだけ見てもらっても、日本語教師としての心得や、学習者への声のかけ方、授業の組立て方に役立ちそうだと感じてもらえるのではないでしょうか。

つまり、自己啓発書をはじめとするビジネス書がビジネスだけに役立つ本というわけではなく日本語教育にも大いに示唆を与えてくれるのです。

同様に『ティール組織』も。

この本は、昨年、私が主催しているCHEERSで読書会を開き、参加の方から好評をいただきました。先月から、また1から読み直す読書会をしていますが、社会にある様々な個人/人の集まり(グループや組織など)を理解する手立てになっています。

ビジネス書ですから、この本における組織は「会社」や働く場を指していますが、それは、教室、学校、社会、家庭などに置き換えて考えることができます。
その組織の歴史的に見た発達段階を、著者のフレデリック・ラルーは色を使って示しています。書き方があまり良くないですが、「無色→マゼンダ→…→グリーン→ティール」と発達しています。
  ティール:進化型
  グリーン:多元型
  オレンジ:達成型
  アンバー:順応型
  レッド :衝動型
  マゼンダ:神秘的
  無色  
詳しい内容は、Amazonでポチって調べてくださいね。   

その組織にはそれぞれのリーダーがおり、そのリーダーシップのあり方が、前回の読書会では話題にのぼりました。
みなさんが考える「リーダーシップ」とはどのようなものでしょうか。

いわゆる「ビジョンを持って、メンバーを引っ張る」ような姿をリーダーシップと考える方が多いかもしれませんが、それは、上記発達段階では「アンバー」「オレンジ」におけるリーダーシップ。
そうではなく「メンバーの声をよく聞いて、彼らの声に耳を傾け、彼らを動機づける」ようなリーダーシップを考える方もいるかもしれません。それは、「グリーン」において紹介されました。

少し目を転じて、そのリーダーおよびメンバーが目指す目標が「問題解決」「イノベーション」「正しさ」であるのは、「オレンジ」の組織です。

これで、わかっていただけると思いますが、私たちが「目指すべき」と考えているものが「ティール」段階ではなかったのです。

前回の読書会では、「ティール組織」のP63までを読みましたが、その最後の部分に、このような記述がありました。

人類の歴史の中で、これだけ多くのパラダイムを持つ人々が同時期に生きていたことはないという事実だ。これは組織についても言える。注意して見てみると、同じ町の中に、レッド:衝動型、アンバー:順応型、オレンジ:達成型、グリーン:多元型組織が隣り合わせに活動していることが分かるだろう。

もちろん「ティール組織」というタイトルですから、ティール:進化型を良しと考えて書かれている本ですが、様々なパラダイムがそこにあって、それらを受け入れ、自らがどうしていきたいかを考える本として、この本を捉えることができるでしょう。

数あるビジネス書の中で、「ティール組織」も、日本語教育をするあなたに、学校運営はもちろん、担当クラスの捉え方、授業でのリーダーシップの取り方、学習者への働きかけ、講師としての学校への関わり方などなどなど、日本語教育という文脈だけではリーチできない気づきに導いてくれます。オススメです。

もしよければ、読書会にも参加してみてください。5月8日(土)朝に行います。

本を間にはさんで語り合いましょう。
次回の課題範囲はP64〜87です。

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