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臨海鉄道風レイアウト製作記(後編)

●本記事の概要

 本記事はレイアウト製作記の後編です。前編は以下のリンクをクリックしてお読みください。

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●水景表現

 水景に関しては作業経験が殆どなく、レジンやリアリスティックウォーターを流し込むのに不安があったので、簡易的な表現に留めました。まず、プラ板を設置面に合わせて切り出し、KATOの水底カラーのモスグリーンで塗装したものをベースとしました。その上に透明プラ板を重ね、最上層にKATOの「さざ波」を塗って水面の表現を行いました。「さざ波」は初めての使用で、説明通りに霧吹きで水を軽く吹いたりしながら塗っていったところ何やらドロドロな水面になりましたが、それも工場らしいと割り切ってそのままベースに設置しました。遊び心としてテグスを用いてパイプから工場用水が排出されているシーンを再現してみました。周囲を「さざ波」で波立たせ、黒くして汚水のように見せています。
 側壁にはグリーンマックス製の石垣を配置しました。パイプ表現として筒状のビーズを塗装したものを植え込み、エナメル塗料やアクリル塗料でウェザリングを施しています。

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●線路関係

 使用したKATOのフレキシブルレールは枕木が黒く成型されているので、あらかじめエアブラシで茶色に塗装をしておきます。
 バラストはモーリン製のローカル線用の粗目のものを使用し、灰色と茶色をブレンドして散布しました。その後、エアブラシで再度レッドブラウンを吹き付けました。

●工場構内

 横断歩道や道路のラインなどの再現として、津川洋行の「インスタント路面標示」というインレタを使用しました。転写した後少しこすってかすれた感じに仕上げています。
 プラント部と道路を隔てるフェンスはキャスコ製のゼブラフェンスを使用しました。この製品は透明なシートの上に印刷でフェンスが表現されており、実際にフェンスが抜けているわけではないのですが、さしたる違和感なく設置できました。

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●工場のゲート付近

 構内の道路はそのまま線路と交わるため、その境界にゲートを設置することとしました。ひとまずジオコレのコンビナートの守衛所とゲートのセットを用意したものの、レイアウト上のスペースがなく、ゲートの収まりが悪いように感じられました。そこで、鉄門状のゲートの設置は取りやめ、手持ちのジオコレの踏切から遮断器部分を切り出したものを設置することで解決しました。横断部は緑色に塗装の上インレタの残りで歩行者帯を表現したほか、1㎜角棒を切り出して縁石を設置しています。

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 さらに、入り口付近に配管退避櫓を設置することにしました。退避櫓をくぐったら構内、というような効果も狙っています。当初はジオコレの配管セットに付属していたものをそのまま使用することを考えていましたが、こちらもスペースが無く、製品の設計通り配管を3本並列することができなかったので、まずは側面を切り詰め2列に変更しました。さらに、後述する守衛所設置によって、最も手前側の配管を工場建屋側に延長することができなくなったことから、途中で2列から1列に変化する変則的な形態に再加工しました。このようにあれこれと試行錯誤するうちにやや力学的にも厳しい構造になってしまいました。なお、製品は購入時赤で塗装されていましたが、途中で手持ちのプラ棒を足した都合でこちらもプラントに合わせてインターミディエイトブルーで再塗装しています。

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●受水槽風の設備製作

 冷却塔と線路との間に微妙な隙間ができてしまったので、そこに受水槽という設備を模した謎のボックスを製作しました(工場のプラント設計については門外漢なので、この辺りはかなりいい加減です)。
 画像検索ではいくつかの箱が連なっているような形状をしていたため、手持ちの津川洋行製のブロック擁壁のプラシートが近いのではないかと思い立ちました。そこで擁壁を切り出して箱状に組み立てたところ、よい感じに思えたので、そのままシルバーに塗装して設置しました。3㎜プラ角棒を並べてベースとし、ジャンクパーツのはしごを仕上げに装着しています。スペースがまだあったので、もう一つ高さの違うものを用意しました。こたらは1㎜の丸プラ棒を針金で本体に支持し、配管のような表現を施してあります。

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●守衛所の製作

 守衛所は当初ジオコレ製品を使用しようと考えていましたが、こちらも(無計画さが祟って)必要な面積を確保できず、ジオコレ製品を参考に小さくしたものを自作することにしました。
 設計はこちらもjw_cadを用いました。外壁は津川洋行製のタイル調のプラペーパーを設計図に合わせて切り出し、ケント紙を重ねて表現した窓サッシを裏から固定しています。屋根は工場の外壁に用いた筋の入ったプラ板の残りを活用しました。
 仕上げに、針金を塗装した誘導棒をジオコレのフィギュアに持たせ、守衛所の前に立ってもらいました。

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●工場裏手

 工場の裏手はジオコレ製の塀を立てて線路と区切ることにしました。製品に付属しているベースがかなり幅を取る仕様でそのままでは設置できないので、塀とベースを接合するツメを切り取ってベースを3㎜プラ角棒に置き換えました。建築限界ぎりぎりに位置取ったところ、工場建屋のベースと塀との間に隙間ができてしまったので、側溝を設置して砂を敷きました。
 工場と塀の間のスペースには、自分としてはかなり奮発して小物を多く設置しました。さんけい製の自販機の他にYSK製のドラム缶、ブルーシートを適宜塗装したものなどを並べ、ジオコレのフィギュアを加えてストーリー性を意識して配置しました。

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 塀と線路の間の微妙なスペースは砂地とし、ドラム缶や廃レールを設置しました。建築限界ぎりぎりにホチキスの針を加工した柵を並べています。

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 塀は工場建屋の側面と並行するように直線的に設置しているので、塀で覆いきれず途切れている部分は、さんけい製の柵(玉垣)を使用しました。曲線的に設置したかったので、ペーパー製のほうがきれいに曲げやすいだろうと判断して選びました。

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●化粧板設置

 ここまでベースは発泡スチロールが何層か詰みあがっている状態で作業を続けてきましたが、如何せん見栄えが良くないので周囲を化粧板で覆うこととしました。素材はプラ板とし、現物合わせで適宜切り出しました。色調はやや悩みましたが、グレーを選択しました。ベースに後付けしたため、ベースとの間に微小な隙間が何か所か発生しており、それらは紙粘土で埋めなおして隠ぺいしてあります。

●植物表現

 植物表現に関しては、工場地帯ともあって最低限の植え込みなどを表現する方針で進めました。まず、橋脚廻りに隠ぺいを要する隙間があったため、フォーリッジを盛ってそれらしくしておきました。
 今作では少し背伸びをして植え込みにミニネイチャー製品を使用しました。主に工場裏や線路際に植えてあります。ミニネイチャー製品は値こそやや張ったものの、非常にリアルな植え込みが作れるため個人的な満足度は高かったです。今作のようなミニレイアウトで使用する分には消費量はそこまで多くなく、1パックでも割と持ちそうな印象なので、購入してよかったと思っています。

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●本作のまとめ

 久しぶりの新規製作ではありましたが、おおむね満足のいく仕上がりになりました。工場地帯も初めての題材でしたが、(見る人が見ればおかしな点は多々あるとは思いますが)自分なりに作りこむことができたと思います。
 ただ、無理にフレキシブルレールを使ったことによりレールがゆがんでしまった点が少々心残りです。また、本作では電気工作は極力避けましたが、工場地帯といえばやはり夜景は見せ場の一つではあるので、完成してみるとやはり電飾が欲しくなってしまいます。電気工作は今後の課題としたいと思います。

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 ここまで前・後編にわたる長い製作記にお付き合いいただいた皆様に感謝申し上げます。最後に、完成したレイアウトの4方向からの写真で締めくくりたいと思います。お読みいただきありがとうございました。

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