海のはじまり 第2話感想
「私がお母さんやれたりするのかな。」
今回1番視聴者の心を掴んだのは、弥生(演:有村架純)だった。あと鳩サブレーだった。
深く傷付いた人は、他人を傷付けることにも鈍感になる。
それは決して悪いこととは言い切れないし、傷付いた人を責めることもできない。ただ、だからこそ深く傷付いているのに表に出さず、傷を自分だけのものにして微笑む弥生が善性としてよく光る。
海のはじまり 第2話
第2話、水季と海の回想から始まる。「海は夏くんに似ている」と零す水季に、海は目を丸くした。「パパいるの? 」水季は笑った。「パパはいるよ。パパがいない子はいないよ。」と返す水季。
「パパって絶対いるの。パパがいないと、ママもママになれないから。」「パパがふたりいる人もいるの。いていいの。」この水季の言葉が後々響いていくことはさておき、彼女の海に対する“価値観を固定しない”教育方針も垣間見えると思った。
「夏くん、会いたい? 」水季の言葉に、海は少し考えてから言葉を紡ぐ。「ママは? 海とパパ会ってほしい? ママの好きでいいよ。」「……ほんとそっくり。」
人を想い、選択を託す。たしかに海は水季に似てマイペースだけれど、夏に似たところもある。あぁ、この3人は一緒に過ごした時間がなくとも、親子なんだ。そう思える瞬間だった。
「夏くんのパパ、いつ始まるの? 」
1話のラスト、海からかけられた問いに、夏ははじめ曖昧に答える。「ごめん……わかんない。」が、彼は誠実に言い直した。「“まだ”、わかんない。」
夏は考えたいんだ。誠実な夏は、想像だけで終わらせず、未来を考えたいんだ。そのまま夏は海に帰宅を促し、朱音(演:大竹しのぶ)に連絡した。
朱音にお迎えを頼んだはいいものの、どうやら夏は子どもと接するのが苦手らしい。自由奔放に過ごす海に対し、夏はその姿を見ていることしかできない。わかりやすく、パパと子どものそれではない距離感に、救いの手が差し伸べられる。「百瀬弥生」。弥生からの着信だ。
夏は弥生に助けを求めたのか、弥生は比較的すぐ来訪したらしい。海の存在に戸惑いながらも、弥生は冷静だった。まず誘拐じゃないことを確認し、「昨日(葬式)の関係の……? 」と最低限の状況だけ把握する。小さく頷いた夏を視認すると、柔らかく微笑んで「じゃあ後で聞くよ。大丈夫、大丈夫。」と、まるで自分に言い聞かせるように「大丈夫」を重ねて海の手を取った。
「お迎え来るまで、お姉ちゃんの遊び相手してもらってもいい? 」「いいよ! 」子どもとの接し方を知っている、柔らかくて穏やかで、視線の高さが合っている接し方。夏とはたしかに違っていた。
朱音が海を迎えに来た直後、夏は弥生に説明しようと試みる。が、夏が説明する前に「あ〜楽しかった。ほんとに私が遊んでもらっちゃった。」と伸びをしながら柔和な雰囲気をつくる弥生。その上で、彼女は訊く。「それで? 海ちゃんはどういう? 」
それでもまだ言い淀む夏に対し、彼女は尚も微笑んだ。「いいよ。ご家族、きっとまだバタバタしているもんね。またこういうことあったら呼んで? 月岡くん、子ども苦手だもんね。」穏やかに、柔らかく、微笑んで。そうやって夏に助け舟を出し続ける弥生の姿は、聖母のように優しかった。
「ちょっと、真剣に聞いてほしいんだけど。……ちゃんと、話したくて。」それに感化されてか、夏もようやく重い口を開く。
当然、話を聞いて弥生は混乱する。「昨日知ったの? それは、きっと私より混乱してるね……。」その上でも、弥生は優しさを忘れなかった。夏も人の感情の機微を想ってしまうが、弥生もそうなんじゃないかと、このときふと思った。対して弥生はきっと、人の感情の機微に敏いのだろう、とも。
「ごめん。」「謝ることじゃないよ。“妊娠を知らされずに別れた”ってことでしょ? それはどうしようもないよ。……うん……しょうがない。」夏はこのとき、何か言いかける。『妊娠を知らされずに別れた』わけじゃない、と、ボタンのかけ違いのように起きたその認識の齟齬を改めたかったのだろうが、彼の中のゆったりとした歩幅と弥生の歩幅は合わなかった。いつもなら弥生が合わせてくれて手を差し伸べてくれるのかもしれないけれど、お互いに混乱している中、それは難しかった。
「こうなったのは、しょうがないことかもしれないけど、あの子のことちゃんと考えようって。」「父親になるかならないかってこと? 認知するってこと? 」夏が捻り出した言葉を、弥生は矢継ぎ早に質問で畳み掛ける。それは重い圧力を持った“責任”だった。
あのお母さんに強要されているの? 何も強要されていない。この7年の水季のことを想像してほしいって、それだけ。
「想像してみて、どう思ったの? 」弥生の言葉は、相も変わらず優しかった。
「想像しただけで、わかった気になっちゃ駄目だと思ってる。」
そして夏の言葉も、変わらず真摯で誠実であった。
ここで意味深に、自室の引き出しを見つめる弥生が映る。
一方で、津野(演:池松壮亮)の日常も描かれる。彼は水季の同僚として描かれていたが、第2話で水季と津野が働いていたのは図書館であることが判明する。子どもと視線を合わせることが日常的な職業。そんな中、彼は『くまとやまねこ』という本に触れた。
「大丈夫か? 無理しなくていいからな。そういうときって、自分では大丈夫って思っててもミスしたりするし。」夏が職場の先輩から労いの声をかけられた途端、津野もらしくないミスを犯す。「びっくりした、津野くんらしくない。」彼の動揺はあからさまで、彼が抱えていた本に混ざっていた『くまとやまねこ』の裏に書かれた『なぐも うみ』という名前で、彼の表情はまた歪んだ。
海はどこまでも、夏のことが好きだ。
そして朱音にとってはそれが辛い。たとえば家で鳩サブレーを食べていたときも、海の言葉には簡単に夏が出てくる。「ママがそれ好きだったから、海ちゃんも好きだと思ったの。」「じゃあ夏くんも好きかなぁ。夏くんにもあげよっかなぁ。」
1枚鳩サブレーを掴んで、また外出し、夏のところへ行こうとする海を朱音が引き止める。ここのやりとりは書ききれないけれど、とてもとても可愛かった。癒された。海ちゃんのおしゃまな感じが出ていて、好きだなぁと感じた。
朱音は海を諭す。その姿は、水季の親であり、海を想うひとりの人だった。「月岡さんに会っちゃダメって言ってるわけじゃないの。でも海ちゃんになにかあったら、おばあちゃんママに怒られちゃうから。」「親なのに? 」「親なのに怒られるの。水季も親だから。」
朱音は水季の親だからこそ、水季が海を想う親としての気持ちがわかるのだろう。そして同時に、朱音が水季に対して親としての後悔を抱いているから故の責任感かもしれなかった。第2話には、朱音がひとり水季の遺影に泣きながら謝るシーンもある。いつかきっと、このふたりの母子の物語も綴られる日が来るのだろう。……毒親育ちとしては、少し構えてしまう気持ちもあるけれど。
海が会いたいならと、朱音は夏と会う。朱音と夏の会話はたどたどしく、穏やかや和気あいあいという言葉からは程遠い。歩幅の合わない会話の中で、夏は訥々と朱音の問いに答え続けた。言われていないことまで感じ取り、答えた。
「この間一緒にいたお方……恋人? ……海のことは? 」「伝えてあります。父親……だってことも。」「そう。……彼女さんが1番、巻き込み事故って感じよね。」
そして恐らく、夏はこの言葉で痛感する。それまでは“海が会いたがるなら会おう”という、海への誠実さのみが彼を突き動かしていたが、それだけが彼の行動原理だったが、朱音の言葉で“まだ弥生と全てを話し合えてはいない”現実に直面するのだ。
「海、夫と近くの公園で遊んでます。どうします? 」「……どう、って……。」「海が会いたいって言っていて。」「なんで。」夏の返答は、いつも疑問形で答えを口にすることはない。それは相手が朱音だとより一層顕著であった。
「なんでですかね。」だからこそ、朱音の表情はより一層傷付いて見えるのだろう。子どもはあどけなく、そのあどけなさは時にひどく残酷だ。自分よりも夏に懐いている海は、愛おしくも理解できないのだろう。それでも愛おしいから、海の行動を規制したくないから、夏に会いたいと言われれば行動する。
水季の時間を知ろうともしなかった人に。そんな嫌悪に似た朱音の想いは、きっと人の顔色ばかりうかがってしまう夏にだって届いているだろう。
結局、夏は誤魔化し、帰った。今度は弥生に誠実になろうとし、海に不誠実な対応をしたわけだ。いつだってうまくいかない。なんて不器用な子なんだろう。
「海に会いたくないの? 」
その不誠実さの欠片を拾ってしまった海を、朱音は静かに守った。「お仕事だから。」その笑顔は、優しかった。
ちなみに海は、この後も割とこの傷を引きずっている。朱音に海と水季の絵を見せながら、「ママとふたりの絵描いちゃった。夏くんに見せちゃった。夏くんと3人の絵にすればよかった。」と寂しそうな表情も浮かべている。その言葉には、わかりやすく「そのせいで夏くんは会いたがらないの? 」という意味が込められていた。「そのせいじゃないよ。」朱音の否定は、やっぱり親らしく優しかった。
一方、弥生は夏から打診される話し合いに、少し渋っていた。後輩との日常会話でも、彼女は静かな動揺を見せていた。「病院ね……嫌だよね。」
彼女のその言葉は、後々重く響いてきた。
第2話には、夏の弟の大和(演:木戸大聖)と夏のシーンもある。夏は相変わらず、弟の「大丈夫? 元気?」にすら、「ありがとう」としか言えない。大丈夫でも元気でもないけど、嘘はつけないから感謝だけする。どこまでも夏らしい。
「大和、お父さんとふたりで暮らしている時、どうだった? 」「兄ちゃんがお母さんとふたりのときと、同じじゃない? この人までいなくなったら終わり、みたいな。」
兄弟ふたりの会話は、これだけ。これだけでふたりは血の繋がりがない兄弟なのではないかと考察はできるが(公式SNSに掲載されている設定などは加味せず、ドラマ内の情報だけで語っています)、お互いに本質には触れない。でも大和はそんな夏の心に寄り添うような、夏も気付かなかった自分の感情に触れてくれるような、そんな言葉を選ぶ。
そんな兄弟を、両親はこう話す。
「夏は、言葉にするのが苦手な子だから。でも何も考えてないんじゃないの。」「考えすぎちゃって、言葉になるのが人より遅いだけだもんな。」
対して弟の大和は、考える前に言葉が出ちゃってる子だと。
あぁ、両親はわかっているんだ。私はここで少し、安心した。分かり合えない親子がいるこの世界で、人に誤解されやすい性質を持つ子どもを理解している親がいてくれることは、大きい。
場面は、夏と弥生のシーンに移る。夏は弥生に会いたいと約束を打診しており、彼は弥生の退勤後、最寄り駅にて弥生を待っていた。合流してからさらっと車道側を歩く夏。……こういうところ、気付かれにくいけど常に人を思いやっている、月岡夏、こういうところ……!
「海ちゃんに会ってきたの? 」いつも通り柔らかく問いかける弥生に対し、夏は海に会わなかったことを伝える。「先に、弥生さんに全部説明したくて。曖昧にしてごまかしたから。」丁寧に、真摯にそう言う夏に対し、弥生は笑う。月岡くんはいつも曖昧だよ。そうやって夏の罪悪感を減らした。
「妊娠したことは、知ってた。」
産んでたことを、知らなくて。おろしたと、思ってた。
途端、弥生の顔は強ばる。「月岡くんがおろせって言ったの? 」今までの彼女からは考えられないほど、温度のない声だった。すかさず、でもゆっくり、夏は否定する。だよね、だと思うけど。
「向こうが意思固くて。同意して振られて、その後のこと何も知らなかった。」本音を語ろうと姿勢を正した夏の言葉は、止まらなかった。
「この先のことはまだわからないけど、でも、正直、……ほっとした。生きててくれたんだなって。」
ずっと、自分が殺したんだって思ってたから。
その言葉は、弥生の表情の機微に気付かないほどまっすぐだった。「殺したなんてことは……。」「あるよ。」珍しく、夏が否定する。
「その頃まだ20歳とかでしょ? そういう選択すること珍しくないし……」「歳とか関係ないし、自分の意思で同意したし。もっと話し合って、できること考えれば一緒に育てることだって。」
“殺した”という言葉は強い。その強い言葉こそ、夏の決意と後悔を色濃く表してはいるものの、その言葉で弥生の表情が強ばったのも事実だった。そしてそんな強い言葉を選択した夏の口唇が、“弥生に水季との未来について語ってしまった”という後悔で、ようやく止まる。
「……そのときは、そういうことを後悔してた。別れたばっかりの頃は。」慌てて取り消すような夏の気遣いに、またもや弥生は微笑んだ。
「いいよ、変な気使わなくて。ずっと罪悪感抱えてるより、よかったよ。話せたから(海ちゃんに)会えそう? 」あえて席を立ち、顔色を見せず、弥生はあくまでも優しく、夏を思いやった。
「うん、会ってくる。」夏の表情は決意を決めた人間のそれで、弥生を傷つけたかもしれないなんて迷いは残滓たりともなかった。
「よかった。ご飯先食べてて? 私ちょっとトイレ行ってくる。」ありがとう。夏の『ありがとう』は残酷だと、私はこのとき初めて思った。
弥生は、トイレでひとり泣いていた。
それも声を上げたり嗚咽を漏らしたりするわけではなく、天を仰いで一筋の涙を零すだけだった。それはこぼれてしまった彼女の感情だった。
翌朝、弥生が意味深に眺めていた引き出しの中身が明かされる。彼女の指が引き出しを開け、一冊のノートを開いた。そしてその中に、大切に挟まれていたのが、エコー写真だった。
弥生の回想が、静かに始まる。流れる彼女の声は母に向けられた電話であり、常に母への気遣いに溢れていた。
「この前話したことだけど、もう大丈夫。お互いに同意の上だから。これでよかったと思う。仕事休んじゃうと大変だし、父親いないとか子ども可哀想だし。」1話の回想で、夏と水季が手を繋ぎながら書いた人工妊娠中絶同意書に、弥生はひとり自室で名前を書いていた。その紙はコップの水を映しこみ、少ない水が名前を苦悩と共に揺らがせていた。
「私も、全然大丈夫。全部終わったから。大丈夫。お騒がせしました。ごめんね、お母さん。」ひとりで病院へ行き、ひとりで堕ろし、ひとりで納骨もした。そこには相手の男性もおらず、相談していたであろう母の姿もなかった。弥生は全部全部ひとりで背負い、全部抱え込み、後悔も懺悔も抱えて生きていく道を選んだ。
弥生は、夏に本音を語らなかった。
本音を語らず、ひとりで子どもの納骨堂へ行き、手を合わせた。弥生の子どもしかいないその納骨堂の棚には、溢れんばかりの赤ちゃん用のお菓子とおもちゃが入っていた。
そしてこの後、弥生は夏に電話をかける。
「もし月岡くんがお父さんやるってなったら、私がお母さんやれたりするのかなって。決めるのは海ちゃんだけど、選択肢の中に入れてもらえたらなって。それも考えてみて? 」
「違うからね。誰の子でもそうするわけじゃないから。」「わかった、ありがとう。」あっけらかんと言いながらも、夏からお礼を言われながらも、弥生の表情は強ばっていた。
命に向き合っている人だ。
少なくとも、私はそう思った。と同時に、それでいいのかとも思った。
弥生はたしかに、中絶した子どものことを想っている。だからこそずっと後悔して過去を大切にしている。でも、だからと言って海の親になるのは、どうなんだろう。
弥生は過去に向き合ってはいるけれど、未来を想えてはいないんじゃないだろうか。
場面は、夏へと切り替わる。海に会いに行ったはいいものの、当の本人はまだ学校から帰宅しておらず、またもや朱音と微妙に気まずい時間を過ごしていた。そんな中、夏が朱音にお菓子を渡す。朱音は断ろうとするが、その中身を確認した途端、反応が鈍る。夏が持ってきたお菓子は、鳩サブレーだった。
相も変わらず夏はすぐに謝るが、朱音も徐々に慣れてきたようで、流れるように出る夏の謝罪をいなして会話を続ける。「なんでこれにしたの? 」
「水季が、好きだったんで。」
……やっぱり、夏は不器用なだけで、人のことを想える人なんだよな……。弥生がいるのに水季を忘れられず、特別な想いを抱いているのは傍から見たら不誠実かもしれないが、忘れられない思い出を行動に移せるのは水季への誠実さで、たしかにその感情は優しさの形をしているんだよ……。
夏の記憶の中の水季は、いつも天真爛漫としていて、自由奔放だった。自由すぎて掴みどころがなくて、だからこそ惹かれる。その奔放さに振り回されることに疲れながらも、心地よく感じてしまう。そういう子だった。
「水季からね、海のことで、これだけは絶対って言われたことがあるの。」「海に選ばせてあげて。正解を教えるより、自分の意思で選ぶことを大事にさせてあげてって。」「手を引っ張ったり横に張り付いたりしないで、後ろから見守ってあげてほしいって。」
自由奔放に生きてきた水季は、自由に生きながらもその愛を子どもの海にも教育論として託していたのだ。だからこそ、海はおしゃまでマイペースで可愛らしい子に育ったのだ。
水季の海への想いも、夏に知らせずに産んで育てたという意味では、ひとりで育ててきたという意味では、不誠実なのかもしれない。それでも彼女はたしかに彼女なりに愛していたし、それは海にも届いていた。
自由奔放な水季に育てられた海は、愛情表現に対してもまっすぐだった。海は家に帰ってきた途端、「お邪魔しています」家にいる夏に、飛びつくように抱きついた。対して朱音の表情はどこか寂しそうだったが、「ただいま。」「おかえり。」拙いながらに紡がれる家族の挨拶に、水を差すことはしなかった。
「今日学校でいろいろあった! 聞いて? 」「……なにが、あったの? 」夏はたしかに子どもとの距離をつくっていくのが下手だけれど、その会話はたしかに家族のものだった。
「いてね! そこにいてね! 」
そしておしゃまな海は、夏に対して天真爛漫に言う。それは第1話冒頭の水季と海の会話を想起させるものであり、水季と海しかいなかった「海」に、夏が加わった瞬間であった。
第1話同様、物語は夏と海のふたりの会話で終わった。朱音や弥生とはまた違うテンポのふたりの会話は、家族と言うにはたどたどしいが、それでもたしかに親愛し合っていることがよくわかるものだった。
血が繋がっているからといって、わかりあえるわけじゃない。もし血の繋がり=全能だったならば、ここでふたりは容赦なく距離を詰めて分かりあって家族になるのだろうが、ここでそうはならないのがまた「このドラマらしいな」と感じた。
あと30分ほどで3話の放送が始まる。ギリギリで書いている。私はいつだってそうだ。そしてその3話の予告では、朱音の痛い想いが弥生を貫いた。
子ども産んだことないでしょ。ありません。
たしかに、弥生は子どもを産んだことがない。でも産みたい気持ちは、きっとある。それは物語の中からでも読み取れる。
そんな3人が、どうやって家族になっていくのか。それとも、家族になれるのか。
まさか3話にしてこの3人が家族への1歩を踏み出すとは思っていなかったから、これからの物語の方向性が全く読めない。これからも見守りたい、そう思える第2話だった。