~息子の話~ ぼくはカメだったらよかったのに
忘れもしない。
下の子の出産が目前に迫っていたあの日。
切迫早産で1ヶ月近く入院し、産まれて良い週に入りやっと退院出来た土曜の昼下がりの出来事。
5歳だった息子はその日、調子に乗っていた。
私が退院し家に帰ってきた事としんせきの小学生のお兄ちゃんが遊びに来てくれていた喜びが重なったのだ。
庭で遊んでいる声を聞きながら、「あきらかに
調子に乗ってるわ…」と思ったが、お兄ちゃんも一緒だし、私は臨月のお腹が重いしで家の中で新聞を読んだりして余裕をかましていた。
すると、
「ぼくがとるよーっ♪」
と息子の声。
何かを取ろうとしているようだった。
「お兄ちゃんに取ってもらいなよ~」と思っていると、案の定…
数十秒後に泣き声が聞こえてきた。
やっぱり何かやらかしたな…と大きなお腹を抱え庭に出ると、息子は植込みの茂み中でひっくり返って泣いている。
どうやら木に引っかかったボールをはりきって自分で取ろうと近くの岩によじ上ったが、ボールに手が届かずそのまま落ちて植込みに突っ込んだ…
らしい。
急いで植込みから引っ張り出したが、葉っぱや小枝まみれになって大泣きだ。
とりあえず自分で立っているし、腕も動くようだ
から骨が折れたりはしてなさそう。
色々と払い落としてみると、くちびるにくっついた小枝が取れない…刺さっている。
「えらいことになっちゃったなぁ」と思っていると、息子が泣きながら何か言っている。
よくよく聞いてみると…
「ぼくはカメだったらよかったのにぃぃぃ」
・・・?
息子よ、どうした?
急にカメ?
こんな時に、カメになりたいって?
そんなこと言ってる状況ですか?
「ぼくはカメだったらこんなにいたくなかったぁぁぁ」
・・・!
なるほど。
カメだったら落ちる寸前に手足頭を甲羅にしまえるから痛くない!
ということだね…
ごめんよ、甲羅付きで産んであげれなくて。
でもね、息子…
今この状況でそんなに大泣きしながら、よくそれを思いついたよね?
ほら、心配そうに見てたお兄ちゃんも思わず笑っちゃってるよ。
まさか、笑いを取ろうとしてるのかな?
いやぁ、そんな余裕はなさそう…
いたって真面目に大泣きしてる。
その後、くちびるに刺さった小枝を抜いてもらうため休日救急に走ることになった。
もう産まれそうだよ~ってパンパンのお腹を支えながら…
幸いくちびるのケガとすり傷程度で済み、カメになって手足頭を甲羅にしまわなければならないほどの大ケガに至らなかった🐢
お腹にいた娘は衝撃で産まれちゃうかと思いきや、空気を読んだのか「まだ出られない」と思ったのか…
予定日までしっかりとお腹に収まっていた。
子供は思いついた事をそのまま口にする。
羞恥心もないが計算とか忖度もない。
予想もつかない発想は、時々面白すぎてびっくりする。
それは期間限定ものだから成長と共に減っていくし、数年後には本人も言ったこと忘れてる。
だからこうして綴って残しておこう。
私は忘れることはないだろうけど…
お読み下さりありがとうございました!
表紙の画像はいつもお世話になっている「みんなのフォトギャラリー」にアップされていた可愛いカメさんのイラストを使わせて頂きました。
ありがとうございます。
次は🐣娘が産まれた日🐣
の想い出を綴っておこう…
おやすみなさい
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