謙虚な姿勢で質問をすることの力
ハーバード大学で組織行動論を教えていた教授の書いた本を読んだよ。最近のマネージメントの分野では、戦略やファイナンスといった、これまで王道としていたものよりも、組織行動論のほうにウェイトがかかっていて、この人の理論も注目されているみたいだね。
面白かったのは、組織行動論の最近のトレンドは課題指向の関係から人間志向の関係へとシフトしていると言うことなんだ。
どういうことかと言うと、1人の優れたリーダーがいて、目標を設定しノルマを配分して、一人ひとりにハッパをかけて命令するというのが課題志向型の関係なんだよね。
それとは反対に、まず信頼できる人間関係を築いて、自由にものが言えたり、イノベーションや創造性が発揮できやすい関係の方を先に作ることを優先しつつ、その上で目標を設定していくっていうのが人間指向の関係なんだそうだよ。
最近よく心理的安全性が大事だとか言うけれども、それも1つだよね。心理的安全性があると学習が高まったり、イノベーションが促進されたり、一人ひとりの人間の成長も早くなると言う考えのようだね。
そこで謙虚に問いかけると言う方法が、リーダーにとって必要不可欠なスキルになっているし、スキルと言うよりは人間性そのものだというのがこの本の内容だよ。
これはキリスト教の教えがあって、教えによって命令されて、そして神の道具として何かをすると言うのも優れたあり方であるけれども、その歪みが出ていると言う文明論的な背景もあるみたいだね。
逆に人間として互いに愛し合い慈しみ合うような関係、これはぬるま湯になってはいけないけれども、深く違いを知って、信頼関係を優先するということが大事だみたいだね。
ちょっと驚いたのは、アメリカの企業では上司と部下はそんなに親しくなっちゃいけないと言う暗黙のルールもあるようだよ。親しくなりすぎると命令が下せないからね。
また医療チームなんかでも、医者が突出して偉すぎると、看護婦や麻酔科医が、たとえ医者が間違っていても言えなくなって、医療ミスが起きると言うことも多くあって、この心理的安全が叫ばれているみたいだね。
この本は、これから組織を率いていくリーダーにとっては、とても大事な考えだと思ったよ。
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