YURA YURA 【藤林弦夜】-天下統一 恋の乱- ✎
ヒロインの名前は華、月ともに基本『陽菜』となっています
あの夜、捨てる事など出来ないはずだった双子の弟の朔夜を裏切り、陽菜を選んだ。
その代償はあまりにも重かった。
朔夜の放った刃から俺を庇った陽菜は、右腕に大きな傷を負った。
それはただの薬師として生きて行きたいと願う陽菜の人生を奪った。
「弦ちゃん!凄いね!ほんと筋が良いよ」
「なんだよ、煽てて薬を量産させる気か?」
「褒めてるんだから素直に受け取ってよ」
「はいはい」
俺達二人は忍である事を捨て、小さな町を中心に薬を売り歩いている。
陽菜の右腕は日常生活は問題なく過ごせるくらいには回復したが、薬師として活動出来るほどではない。
あの時の朔夜が俺にどれだけの殺意を抱いていたのか…、それを受け止めた陽菜が感じた恐怖は如何ほどだったのか…考えるだけでぞっとする。
と、同時に陽菜に対する拭えない罪悪感を感じる。
「弦ちゃん、手が止まってるよ」
「あっ…わりぃわりぃ。サボってんのバレちまったな」
「もー!明日与助さんのところに往診に行く時に必要って言ったでしょ。あと花さんと小次郎さんと…」
「はいはい!真面目にやるよ」
俺は陽菜の代わりに薬を作るようになっていた。
自分で言うのもなんだが…俺の筋が良かったのか、陽菜の教え方が良いのか、『薬』として売るに値するものが作れるまでは、そう時間はかからなかった。
陽菜が願ったものとは違う未来。
それでも『幸せだよ』と笑う陽菜を愛おしく思う。
ある夜、呻き声で目が覚めた。
隣で寝ている陽菜がうなされている声だ。
陽菜は時折うなされ、その度に『夢見が悪いの』と言っていた。
どんな夢かと問いただすと、決まって『覚えていない』と答える。
強く揺り起こす事も出来たが、その日は陽菜の悪夢の原因が知りたいと思ったため、額に流れる汗を指でそっと拭いながら様子を見ていた。
「こんな時までろくでなしかよ…」
苦笑いが浮かぶ。
次の瞬間、陽菜が小さく叫び声を上げた。
「やめ…て…さ…く…ちゃ…」
俺は陽菜がどんな夢を見ているのかに気づいた。
俺が朔夜と決別した夜。
陽菜が朔夜に傷を負わせられたあの夜の夢だ。
急いで陽菜の肩を揺すろうとしたその時、陽菜は涙を流しながらこう呟いた。
「弦ちゃん…ごめんね…ごめん…朔ちゃんと…バラバラになっちゃって…唯一…の…半身…な…のに」
傷を負わせたのは朔夜だけじゃない。
俺が朔夜を捨て陽菜を選んだ事で、俺も陽菜に負い目を背負わせた。
「陽菜!」
俺は褥に横たわったままの、陽菜の小さな体を抱きしめた。
目覚めた陽菜が俺の腕の中で身動ぎするのがわかった。
「弦ちゃん…ごめん…怖い夢…見てたの。なんの夢だったのかな…覚えてなくて…」
「何も言うな!」
俺は陽菜に顔を見られたくなくて、さらに抱きしめる腕に力を入れた。
「弦ちゃん…泣いてるの?」
「泣いて…ない」
その嘘は陽菜に伝わらなかったのだろう。
陽菜は俺の背中に手を回し、黙ったまま優しく背中を擦った。
ꕀ☽
弦夜の影EDを見た時に思ったこと
朔夜が可哀想だなぁ(T_T)
結果『初恋の女の子を手にかける』事になった朔夜
弦夜とヒロインはそれなりに幸せになれたけど…朔夜は?
って思いました
で、これ書いたり、ショート動画作ってて思ったこと
一番朔夜にさせたくない事をさせてしまった弦夜も可哀想だなぁ(´;ω;`)
影EDって幸せではあるんだけど…バットED感が拭えないんだよね
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