今日も香箱びより

僕の名前は『かりんとう』

この家には『おとうさん』と『おかあさん』
そして
小学生の『せんべいくん』と弟の『おかきくん』がいる。

みんな僕のことを『かりんとう』と呼ぶけど、お母さんは『かりかり』と呼んだりもする。

たまに家に他の人が来たり、小さい画面の中の人が僕を見ると『猫ちゃん』とか『にゃんこ』と言ったりするんだ。

僕はおとうさんやおかあさんたちとはどうやら違う姿かたちみたいだけど、みんなが話してる言葉や気持ちはよく分かる。

話し声やテレビの音だって、そっぽ向いて目を閉じてるけどちゃんと聞いているし、
1日中ごろごろして何もしてないように思われるけど実はいろいろ考え事をしてるんだ。

ベランダに来た鳥と世間話をすることもある。

ただごろごろしているだけの時もそりゃぁたまにはあるけどね。

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僕は産まれた時のことはよく覚えてないけど、
おとうさんとおかあさんと一緒に初めてこの家に来た時のことは覚えてる。

今よりもっともっと家が広く感じたし、ソファに飛び乗るのもやっとだった。
おとうさんの手も僕をすっぽり包み込むくらい大きく感じた。

でも今ではテーブルだってキッチンカウンターだってひょいっと登れる。
おとうさんに抱っこしてもらうのは今でも好きだけど、しばらくすると落ちそうになって居心地が悪い。

きっとこれが成長ってやつだな。

せんべいくんとおかきくんも、この家に初めて来た時はおかあさんに抱っこされてて小さかった。

今みたいに言葉を話すことも歩くこともなくて、手足をバタバタさせているか寝てるかだったのに、いつの間にか僕より大きくなっておとうさんやおかあさんと同じように言葉を話すようになった。

僕を撫でるのも上手になった。
これは嬉しい成長だ。

尻尾を引っ張られたり背中をつねられてもじっと我慢したけど、いきすぎた時はビシッと叱った甲斐があったってもんだ。

2人とも元気いっぱい走ったり飛び跳ねたりするもんだから、こちらがのんびりしたい時には少々困る。

そういう時は、そっと秘密の隠れ場所に行って香箱を組むのがいちばん。

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さて
今日ものんびり空想を楽しむか。
それとも何かおもしろいことが起こるかな。

これは
僕と僕の家族に何か起きたり起こらなかったり
成長したりしなかったり
そんな普通の日常のお話。