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春の気配

今日は寒い冬の日。
今朝は久々の雪。今は冷たい雨に変わっている。

雨の銀座はいつもより静かだ。
私は、日本橋の千疋屋でこれを書いている。

店内には、私ともう1組お客さんがいるだけでがらんとしている。静かで、1人で考え事をしたり、手紙を書いたりするのにはぴったりで心地いい。

雨の日のこの、静かでくぐもった感じもたまには悪くない。冬に向かう季節とは違って、空気の中に微かに春の気配を感じる、寒いけれど少し明るい雨だ。

目の前のいちごショートのいちごはとても香りが良くて、噛むとじゅわっと甘酸っぱい果汁が飛び出してくる、みずみずしい春の香りだ。

母宛てに書いている絵葉書は、白い寒椿の絵柄。

ぜんぶ春の気配を孕んでいる。

匂い、光の明るさ、いろんなことから季節の小さな変化を感じられること、そういう小さなことにちゃんと気づいて、それを味わうこと。
それは私の心をとても豊かな気持ちにしてくれる。

だから私は季節が変わるのが好きだ。

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