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POP YOURSピーナッツくんライブ感想

5/21(土)幕張メッセでヒップホップをテーマにしたフェスPOP YOURSが開催された。ライブの様子はYouTubeでも配信されたのだが、その場に一体の着ぐるみが降臨した。

その名はピーナッツくんである。

にじさんじ、ホロライブといったグループに所属せず、個人勢VTuberとして妹・甲賀流忍者!ぽんぽこ(以下、ぽんぽこさん)と共に活動している動画配信者である。

ピーナッツくんは壮絶な活躍を魅せており、デュエル・マスターズのカードになるのはもちろん、2019年には仮想世界から飛び出し着ぐるみ活動を行い、ゆるキャラグランプリにて優勝を果たした。また、精力的に音楽制作を行なっており、年を重ねるごとにライブに出ることが増えていった。ピーナッツくんの音楽は独特である。

グミの美味しさを布教した「グミ超うめぇ」では、「最後の晩餐もグミ食べたので揉めているキリスト」と豊かな想像力と韻を踏んでいる。

2021年末にはにじさんじ所属VTuber剣持刀也への恋情を歌った「刀ピークリスマスのテーマソング2021」が441万再生をされた。VTuberの動画で100万再生超えることは極めて稀である。確かな感傷とバイブスをコントロールした戦慄に、気持ち悪い恋情をぶつけるマリアージュは多くの者を虜にしたと言えよう。

さて、そんなピーナッツくんが遂にヒップホップの祭典POP YOURSに呼ばれたのだ。「パリピ孔明」に匹敵する躍進っぷりである。ゆるキャラとしてではなく、アーティストとしてフェスに呼ばれたことに対して、前日に緊張の旨を告白した。

当日、YouTube配信で観ていたのだが、セットリストの段階で相当な覚悟、ヒップホップアーティストとしてのプライドをライブにぶつけていたことがヒシヒシと伝わってきた。"VIRTUAFREAK -REWIRE-" Release live @渋谷clubasiaのように、ぽんぽこさんを召喚することはない。Moment Tokyo XR LIVE"ONAKAnoNAKA"のように、おめがシスターズや名取さなを召喚することもない。VTuber仲間も妹もいない状況で、「今日は笑われに来たのではなく、かましにきた!」と叫び、20分間歌い、そして踊り狂ったのだ。

キャッチーな「グミ超うめぇ」でバイブスを上げ、「School Boy」でラップのテクニックを魅せ、「DUNE!」でドープな世界に誘う。「笑うピーナッツくん」「Unereal life」で完全に自分の世界に熱気の渦を引き込み、魔法を唱える…

Expecto patronum!

最後は、自分の境遇を歌う。自分の人格を分裂させて歌う「ピーナッツくんのおまじない」ではない。最後は、「Drippin' life」で締めるのだ。

出る杭がもっと出て黙らす外野

ぼくは超ヤバい努力人の倍それくらいしないと作れないだから見てろよボクの描く走馬灯

と天才的作曲センスを持ちながらも苦悩するピーナッツくん像を語るのだ。

これは会場で観たら泣いただろうと思うほどに、一人のVTuberが滋賀から幕張のフェスでバイブスを上げるまでに成長する物語の情熱が詰まったライブであった。

7月に渋谷で行われるライブ"Walk Through the Stars Tour"のチケットが当たったので、ピーナッツくんの生ライブが楽しみである。



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