円安の行きつくところ

それは円が紙くずになるということである。私はトルコに4年弱、アルゼンチンに5年弱住んでいた。どちらも超インフレ国。1年間でトルコリラ、アルゼンチンペソベースの物価は倍になる。つまり、今年¥1,000だったものが、来年¥2,000になる。これは大変なことだと思うかもしれないが、実はそうでもない。なぜなら。現地の多くの人たちはUSドルで貯金していて、US$ベースの価格は$10で変わらないからだ。

日銀は国債買取で多くの円を刷り(=量的緩和とはそういうこと)、マイナス金利で現金価値は時間ともに目減りする。その帰結が今の円安だ。ウクライナ戦争後、世界情勢は大きく変化した。輸入に頼るエネルギー・食糧コストが上昇し、そこに円安が重なりインフレが高止まりした。これをデフレ脱却とよぶなら名目という接頭語が必要だ。また、世界ブロック経済化により、通貨安のメリットである輸出は規制され、現地生産=投資せざるを得えない。かつ、現地であげた利益も日本への還元は難しく、大半が現地に留まる構造(=地産地消)になっている。

話が少し脇道にそれたが、このまま日銀がゆでがえる的な金融政策を続けると、円安に歯止めはかからない。4月金融決定会合で、FRBに先行して金利を上げていたら円安は沈静化したはずだ。後手*にまわった為、せっかく貯めたドル資産を為替介入で浪費するという状況に追い込まれた。日銀金融決定会合メンバーは、「国民生活を守る責任と覚悟」をもって、さまざまな「新規施策」を創造して欲しい。

*安倍首相+黒田総裁時代の異次元緩和は.,時流を先取り=Surpriseで成功した。岸田首相+植田総裁はその負の遺産の出口戦略Proactiveに示して欲しい。


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