周年記念に悩む担当者にChatwork10周年の裏側を紹介
2021年3月1日、Chatworkはリリースから10周年を迎えました。BX部(ブランドエクスペリエンス部)はこの日より1年をかけて10個の企画を展開するChatwork10周年記念プロジェクトをスタートさせています。企業の周年記念、毎年何をしようか頭を悩ませている担当者も多いはず.....ということで、BX部のはづき(@hazuki8mona)が過去の周年企画の経験をもとに、Chatwork10周年記念プロジェクトの発表までどのように進めてきたか紹介します!BX部については以下の記事をご覧ください。
何から手をつける?まずはトップのパターンを把握せよ
周年記念プロジェクトはトップ(経営者・経営陣)のコミットと理解なくして進められません。
トップと担当者の関係は企業によっていろんなパターンがありますが、私が今まで携わってきた周年記念プロジェクトを振り返ると、以下の3つのパターンに分けられると思いました。自分が周年記念の担当者になった場合、最初にどのパターンに当てはまるか見極めることが重要です。パターン2に見せかけてパターン3だったというケースも往々にしてあります(「自由にやっていいよー」と言いながら実はそうじゃなかったケース)。この見極めに失敗すると、手戻りが頻発したり、途中で想定外の指摘が入ったりします。
Chatworkの場合、年によってパターンが変わりましたが、今回の10周年は「とりあえず考えてみてくれる?」型でした。他のパターンにも遭遇した方がいたらぜひ教えてください。
とにかく「計画的な」推進が大事!関係各所とのコミュニケーションタイミングにも気を配ろう
自分の会社がどのパターンなのかを把握したら次は進め方です。周年記念は企業規模や力の入れ具合によって準備から実行に移すまでの期間が数ヶ月ー数年とさまざま。確実に「記念日に発表」というお尻が決まってるので、あらかじめいつまでに何を決めるか、どのタイミングで関係各所とコミュニケーションをとるかまで計画をしておくことが大事です。
Chatwork10周年記念プロジェクトの場合は発表の4ヶ月前くらいから本格的に検討が始まりました。折しもプロジェクトの方針検討を始めた時期が、内々にBX部新設の決定がなされたタイミングとちょうど重なったので、プロジェクトはBX部が主管することに(部署設立背景についてはこちら)。次の10年へのスタートをきる周年記念だったため、新設BX部が発表する最初のプロジェクトとして理想的な案件でした。
周年記念は関係者が多岐に渡り部署を横断することが多いため、プロジェクトのスムーズな運営のためには、節目節目で関係各所とコミュニケーションをとるタイミングを設け、認識のズレが生じないようにしておくことも大切です。特にプロジェクトの最初の検討項目である目的や方針はトップと認識がズレてると、その後の進行に大きく影響するので、しっかりと議論・すり合わせをして共通認識を持つようにしましょう。
目的・コンセプトは腹落ちするまで考え抜く
周年記念を成功に導くためには、目的や方針、コンセプトがしっかり定まっている必要があります。周年記念の目的が「お祝い」なのか、「感謝を伝える機会」なのか、「ブランド認知の向上」なのか、方針はどうするのかなど、企業によって周年記念の目的も方針もさまざまですが、ここがしっかり決まっていないと、コンセプトや企画内容もフワッとなりがちです。
10周年の目的・方針・コンセプトは紆余曲折を経ながらも昨年中に決まりまったものの、目的とコンセプトは結構悩みました。目的やコンセプトがしっかりしていなければ、トップを納得させる説明ができないどころか、仮に承認がおりたとしても進行中に方向性がぶれやすく、現場に混乱を招きます。ましてや1年に渡る長期プロジェクトとなればなおさらです。
最終的に本プロジェクトの目的は「Chatworkが目指す世界を社内外に表明すること」、コンセプトは、予測のつかない状況でも一緒に前向きに進んで行こうというメッセージを込めて「Keep on Moving!(行動し続けよう。)」に決定。10周年を、単なるお祭りで終わらせるのではなく、Chatworkが次の10年に向けて前進していく姿を、1年かけてしっかり描いていくことにしました。
目的もコンセプトも言語化すると単純に見えますが、自分が腹落ちするまでとことん考え抜くことで、トップへの説明にも自信が持てますし、現場から質問があがった場合もプロジェクトの意図をしっかり話せるようになります。逆に、他の人から何かを指摘を受けたときに答えに詰まってしまうようであれば、それはまだ考え抜かれたものではないのかもしれません。
各企画がおおよそ固まった年明け以降は、制作→リリースまでただただ必死に目の前のタスクをこなす日々。 BX部は始動したばかりで、部署目標や今期やることなどを策定しているかたわら、3月1日の発表に向けて時間に追われてました。みんなで四苦八苦したおかげで、部署としての一体感はかなり早い段階で生まれたのではないかと思います。
他部署を巻き込むときのポイント
周年記念は会社全体の行事です。そのため企画内容によっては、主導する部署に加え、他の部署にもガッツリ協力してもらわなければいけない企画も出てきます。ここで考えないといけないのが巻き込み方。他部署からしたら、自部署の目標や実績とつながりにくい依頼はどうしても優先度が下がってしまいます。自分ゴト化しにくいのです。他部署を巻き込むときは、どのように説明したら自分ゴト化してもらえるか考えてアプローチしましょう。
今回のプロジェクトでは他部署に協力を仰ぐ際に、しっかりと企画書を作り、周年記念の目的やコンセプト、協力して欲しい企画の内容や要件をしっかりまとめた上で話をしました。また関係者の数が多い企画に関しては、最初にキックオフミーティングを実施し、共通認識を持ってもらうとともに、ポジティブかつ主体的に取り組んでもらえるような空気づくりに努めました。
これらの前段として、年明けに開催された月に1回の全体集会の場で、今年はChatwork10周年であることを意識づけし、「もしかしたらプロジェクトへの協力をお願いさせてもらうかもしれません。そのときは相談にのってくれるとありがたいです!」といった頭出もしています。プロジェクトが本格的な準備に入る前にあらかじめ種まきをしておくことで、他部署に相談にいくときも「あーこの前の全体集会で話してた件ね」となって話が通じやすくなります。
プロジェクトの運用体制
周年記念は部署横断でたくさんの関係者が関わるケースが多いため、それぞれの役割を明確にし、企画実行までどのような体制で進めていくかを可視化しておくと良いです。そして必要に応じてプロジェクトの全体定例や、企画ごとの定例を設け、進捗状況を確認したり、問題が起きた場合に素早く対応できる体制を整えておくことをおすすめします。
今回のプロジェクトは企画を多く用意しているため、最終決裁者であるプロジェクトオーナーの下に全体の企画立案や進行管理、予算管理をするプロジェクトマネージャーを置き、さらにその下に各企画ごとのリーダーを立てました。
リーダーとデザイナーはBX部から立てた上で、企画内容に応じて必要な人員のメンバーアサイメントを他部署にお願いし、企画ごとにチームで実行まで推進できるようにしました。人員リソースの都合上、リーダーもメンバーも複数の企画を兼務していますが、各企画の実行時期を1年に渡り分散させることにより、リソースが逼迫しないようにしています。また、企画によってはライターやカメラマンなど、制作の一部を外部の方にお願いしています。
さらに、プロジェクト全体を通して、代表取締役CEOの山本が監修に入り、プロジェクトの方向性などを確認できる体制にしたのに加え、全体のクリエイティブのクオリティやトンマナをチェックするアートディレクターも配置しました。
この体制図には記載していませんが、BX部は広報機能も備えているので、毎回企画を発表する際に、PR担当が社内外のステークホルダーに興味・関心を持ってもらえるようなコミュニケーション施策も企画・実施しています。
3月1日、ドキドキのリリース
3月1日、Chatwork10周年を発表するプレスリリース配信を皮切りに、社内外に向けて以下のリリースを行いました。
リリースにあたっては厳密に情報解禁日時を設け、情報解禁までは10周年関連の情報を外に漏らさないよう社内周知をしています。特設サイトの公開やプレスリリース配信だけでなく、情報解禁直後に社内メンバーにもソーシャルで情報を拡散してもらうことにより、メディア露出の山を作ることを意識しました。
準備は怠っていなくても、ちゃんと問題なくリリースされたことを確認できるまで担当者は安心できません。ソーシャルや社内からお祝いの言葉や嬉しいフィードバックがあったときは「報われたー(ホッ)」って思いました。
余談1 : Chatwork10周年、これまでの周年記念とここが違う
10周年という節目の年、これまでの周年記念とは違ったことをしたいとプロジェクト検討当初から考えていました。そこで本プロジェクトでは今までやったことのない、2つのチャレンジをすることにしました。
■ 1年をかけて10個の企画を展開
これまでのChatworkの周年記念は1ヶ月程度で終わるプロジェクトがほとんどでした。1年をかけて周年記念を祝うのは初の試みです。
■ 社内メンバーもプロジェクトのターゲットに
サービスの周年記念は今まで社内メンバーをターゲットとして何かを企画してきたことはありませんでした。今回社内メンバーもターゲットにした背景には、節目の年ということもありますが、それ以上に、新型コロナウイルス感染症対策で在宅勤務が続き、社内メンバー同士が一体感を感じられる機会が減っていたため、10周年をフックに結びつきを育める機会を作りたくて企画しました。
余談2 : 1年をかけて周年記念を展開するメリット・デメリット
周年記念の内容や時期、実施期間の検討段階中は、その時点で知り得る限りのメリット・デメリットを把握しておかないと後の進行に影響します。本プロジェクト自体はまだ始まったばかりですが、1年をかけて運営することのメリット・デメリットについて、企画段階ですで見えていたものがいくつかあるので紹介しておきます。
1日で終わる打ち上げ花火のようなプロジェクトではないだけに、推進していくBX部メンバーのモチベーション維持も大事だなと日々感じています。
10周年記念プロジェクトのこれから
「報われたー(ホッ)」って、そんな余韻に浸ってる場合じゃありません。本プロジェクトは来年の2月までにあと7個の企画を展開します。新しい企画については、時がきたら発表するのでお楽しみに。
かなりの長文になってしましましたが、周年記念は新しい「変化」を起こす絶好の機会。もし周年記念で頭を悩ませている担当者の方がいたら、少しでもこの記事が助けになれば幸いです。
10周年記念プロジェクトのデザインや各企画の裏側については、改めて記事で紹介していく予定です。
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