【京都市観光協会】刻々と変化する観光情報をChatworkで共有、データベースとしても活用しインバウンド需要に対応(後編)
日本を代表する観光名所、京都。毎日多くの観光客が訪れる京都総合観光案内所では「Chatwork」を利用しています。”観光案内の肝”と語る「情報共有」の円滑化を実現した伊藤さん。前編では日々刻々と変化する情報をスムーズに共有する仕組みを確立してきた背景や利用方法について伺いました。
後編では、データベースとしてのChatwork利用やDXの真価について伺いました。
観光客からの相談内容をChatwork内でデータベース化、検索可能に
—他には、どのような用途で使われていますか。
伊藤さん:京都総合観光案内所では、1日何百件というさまざまな相談に対応しています。似たような質問は多いのですが、時々、すぐに答えられない質問を受けることもあります。昔はそれを全てノートに記入していました。それを、「お客さんからの質問」というグループを作り、Chatworkに投稿するように切り替えました。
例えば、「「⚫️⚫️と○○の観光地ではどちらがおすすめか?」という質問に対して体験できる詳細の内容を調べて投稿したり、ケガをしたまま来日し、「抜糸をしてもらえる病院を紹介してほしい」という問い合わせや「車椅子を購入したいがどこで買えるのか?」など、イレギュラーな質問やそれに対して新しく得た情報を共有していくチャットになっています。また、どの国の方から質問されたかもわかるように記載しています。
Chatworkに書くようになって良かった点は、また同じ質問があった時に即座に検索ができることです。
かつてノートに書いていたころは、同じ質問があっても過去の対応がノートのどこに記載されているかを即座に調べて見つけることが難しいと感じていました。もちろんChatworkではなく専用のデータベースソフトに入力してまとめる方法もあると思いますが、それは手間が大きくなりすぎます。ですから、日々の記録と、データベースを兼ねて、Chatworkに投稿するという管理方法はとても便利で業務に役立っています。
—日常の業務の中に溶け込んだツールを使うからこそ、簡単に運用できているということですね。
伊藤さん:他にもデータベースとして使っていることがあります。ご覧のようにここ(京都総合観光案内所)にはたくさんパンフレットがあるでしょう? お客さんの目につくところに出ているものがすべてではなく、バックヤードにもまだまだたくさんのパンフレットがあります。かつては、「今週入ってきたパンフレット」としてまとめて新入荷のパンフレットをスタッフに回覧していました。しかしすべての内容を頭に入れることは難しいですし、回覧しきるまでに時間もかかります。
今では、入ってきたパンフレットはすべてiPadで写真を撮ってChatwork上に投稿しています。パンフレットの中身だけではなく、入ってきた部数や、置いてある棚の番号も一緒に記録しています。そうすると、例えば「今年、このパンフレットはまだ入ってきていないな」と思ったときに、Chatworkを検索すれば去年の情報がすぐに調べられます。去年はこの時期に入ってきたから、もうちょっとしたら入ってくるなと、わざわざ問い合わせしなくても予想を立てることができます。
またかつては「保存用」としてパンフレットを5部ずつぐらい置いておきましたが、Chatwork内に残しておけば、保存用を残さずに記録できることも良い点の一つです。
—パンフレットの管理においても、Chatworkがお役に立っているのですね。
伊藤さん:そうです。「検索すれば良い」という点は便利ですね。そういう意味で、Chatworkは「探しやすい」「見やすい」という点が気に入っています。
また、スタッフの中には1時間以上かけて通勤する者もいて、出勤の時間に電車の中で自分が休んでいた間の情報を知りたいという声があがっていました。もちろん任意での行動なのですが、出勤前にちょっとした情報を収集したいという従業員の希望にも応えることができています。
—常に新しい情報をいかに早くキャッチできるかが大切なんですね。
伊藤さん:観光案内所に務めるスタッフは、やはり皆、京都が大好きなんですね。なので、休みの日や仕事が終わった後にプライベートであちこち出かけているんです。その際に撮影した写真や情報をChatworkに投稿してくれることも多々あります。例えば、昨日はスタッフが「北野天満宮の山吹が見頃です」という情報をあげてくれました。このように「この花はまだ見られます」「ここの工事が始まっています」といった情報はご案内する上でとても貴重な情報になります。実際に現地で見てみないとわからない情報がたくさんありますから。
貴重な資料をオンライン上でも配布するように
—観光案内所のDX推進にも役立っていると伺いました。
伊藤さん:全国的に必要性が叫ばれていることではありますが、京都総合観光案内所もDXを進めています。令和4年度の終わりに、観光案内所に立ち寄らなくても観光案内が受けられる「京なびオンライン」を京都市観光協会として立ち上げました。ちょうど運用を開始して1年ほどになります。
中でも「チャットで質問する」に使われているチャットボットやFAQサイトを作るにあたって使ったFAQの内容は、Chatworkで今までためてきたデータでした。
DX推進としては他にもあります。京都総合観光案内所で手作りしている資料を、京なびオンラインからダウンロードできるようにしました。今までは窓口でのみで配布していた資料です。
—これは情報を集めるだけでも大変ではないですか。
伊藤さん:そうなんです。資料作りには人が奔走しているのでその点はDXから遠いものかもしれません。ただ、資料をwebにあげたことで、観光案内所にわざわざ来ていただく必要がなくなるわけですから、DXの目的からすると一定の効果はあったでしょう。このような一覧の資料は、非常に要望が多いんです。
今後は、我々の案内所で利用する目的で作成した資料なども、外部からも見られるグループに共有していけるといいかもしれませんね。投稿される情報が少ないとどうしても見なくなってしまいます。やはり、自分たちの中で使わない限り、外からの情報待ちではなかなか見に来なくなってしまうので、コンスタントに情報を発信しなければいけないと考えています。
現在、私が京都府観光連盟に出向したこともあり、今後は府全体の観光案内の質向上とDX推進を目指して、京都府観光連盟のChatworkグループも活発化させたいと思っています。
—ありがとうございました。
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