混沌とした街で
長い夏休みを日本で過ごし、久しぶりにパリの街へ帰ってきた。
パリの街は相変わらず、優しさと冷酷さが絶妙に混じり合っていて
嫌な思いをすると思わぬ優しさに出会ったり
優しさを受け取るとヒョイっと誰かが持っていってしまう。
私はもうこの街にいるのは限界かもしれない…そう思っていた。
しかし、娘が階段の上にちょこんと座り、クロワッサンをほうばりながら
「ママ、私はね パリが大好きなの」と嬉しそうに笑った。
娘はこの混沌とした街を愛していた。私は全くそれに気づけなかった。
新学期が始まり、周りの取り巻く環境も大きく変わっていった。
何も持たぬ私だけれど、この子のために最大限頑張ろうと心に誓った8月の終わり。
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