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夢 ( 第一夜 )

小高い山の上から雲海を見渡している。
そんな景色から始まる。

夕焼けのオレンジ色した空と
見渡す限りの雲海。
じっと見ていると 雲 ではない。

無数の白い龍が蠢いている。

次第に私の居る山を中心に渦をまくように
移動を始めた。
徐々にスピードを上げ
そして
一体の龍が上へと昇って行った。
すると、次々と龍たちが上へと昇って行く。

どれだけの龍が昇って行っただろうか。
それをじっと眺めていると
まだ渦をまいていた中の一体の龍が
こちらにやってきた。

私の身体にそっと触れるように
くるりと巻き付いた。
白い鱗が虹のように変化し
そして
上へと昇って行った。
私はじっと眺めているだけだった。

気がつくと
全ての龍が空に昇って
一番星が輝いていた。

「みんな行ってしまったのか」

そう呟くと
後ろから声がした。

「ワタシはお前と共にいるよ」

振り返ると
優しい顔をしたおじいちゃんみたいな
大きな黒い龍と
小さな青い龍がいた。

私はニッコリ笑って
「そうだな」
と呟き
青い龍を襟巻きのように首に巻き
黒い龍の背に乗って
小高い山から眼下に広がる山々に向かって飛んで行く。

そこで目が覚めた。

夢の中で空を飛ぶのは気持ちが良かったが
実際の自分は高所恐怖症だ。

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