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ふりかけおばあさん

昼も夜も働いていた当時

昼はアパレルのお仕事をしていました。
時々ちらっと姿を見せる上品なおばあさん

誰も接客はしないのは若い人向けのお店で
「ばあさんが着る服なんてないのに」と来る度に言う同僚が私は気に食わず、見ず知らずのおばあさんに肩入れスイッチが入った。
次来たら声をかけてみよう!
そう思うとおばあさんが来るのが待ち遠しくて仕方なかった。

待ってるとなかなか来ない…
やっと姿を見せたおばあさんに声をかけました。
最初の言葉はなんだったのか記憶に残っていないのですが気候の話しをしたような…
「こんなおばあさんが来てごめんなさい」
申し訳なさそうにするおばあさんにこちらが申し訳なくなった。
おばあさんはお孫さんにいつまでも若くいてねと言われ、普段着ないような可愛らしい服を着て喜ばせたいと思ったと話してくれました。
見せてもらうばかりでごめんなさいね
と謝ってばかりだった。
よかったら一緒に探しますよ!
お手伝いします!と即答したのは
実は年配の方も着れそうな服、おばあさんに似合いそうな色などイメージして1セット組んでいたから。
ふんわりした柔らかいカーディガンと淡いブルーでボタンが可愛らしいブラウスを試着してもらった。
試着室から出てきた時イメージどうりとっても似合っていて嬉しくなった。
おばあさんもとても気に入ってくれ何度もありがとうと言って買って帰られた。

年寄りが着る服違うやん!よう勧めるな!
同僚は気に食わなかったようだった

おばあさんは買った服を着てお孫さんに会ったとお話しに来てくれました。
おばあちゃん可愛い〜と言ってもらえて嬉しかったことや、この服を着ていると1日中楽しい気分で過ごせて幸せでな気持ちでいられることなど話してくれた。

お礼をしたくて〜
おばあさんが大好きだと言うどこぞかの高級なふりかけを手渡してくれた。
こんな贅沢なものはいただけない!
こんないいふりかけをかけるような美味しいお米を食べていないこと、一人暮らしなので贅沢できないことなど話し、私には勿体ないのでと丁寧?にお断りしました。
じゃあまた来ますね
と笑顔で帰っていかれたのが印象的だった。

その日の夕方、おばあさんはまた来店され、これなら食べてもらえるかな?と使い捨てのお弁当箱に綺麗に詰められた沢山のおかずとふりかけのおにぎりをいただいた。あまりにも嬉しくてその場で食べたい気分だった。
なんのお返しもできないので申し訳ないと話すと、また服を一緒に選んでもらえますか?と言われ泣きそうになった…ウソです
正直に話すと泣いてしまいました。

おばあさんと私はお客様と店員を越えた関係になり、おばあさんの娘さんに会うことになったり、お宅にお邪魔するまでの仲良しになりました。
高級ふりかけは、一人暮らしで食がすすまないおばあさんが美味しくご飯が食べられる唯一のご飯のおともで、私に作ってくれるお弁当はちゃつみちゃん食べてる頃かなと思うと、自分も食べようと思えるから時々は作らせて欲しいと言ってくれた。

ある日おばあさんが入院したと、お店にまで娘さんが来てくれ会いたいと言ってるので休みの日に来てもらえないかとお願いされました。
お休みの日を娘さんに伝えこの日に必ず行くのでと約束をし当日お見舞いに行きました。
退院をしたら息子さんと一緒に暮らすので会えなくなると言って泣いていたし私も寂しくて泣いていた。

退院し引越しのお手伝いをして、色んなお話をしながらおにぎりを食べさてもらった。
お別れの日には会いに行きさよならをした…
年寄りはいつ死ぬか分からないし、死んだお知らせをちゃつみちゃんにはしたくないので連絡はしないでおくねとどこに引っ越すのかは知らないまま聞かないまま さよなら をしました。

ご飯しっかり食べなさいねって高級ふりかけをたくさん持たせてくれました。

一声かけたことで生まれたご縁
あの時同僚がおばあさんが来る度に文句言ってなかったら、私のスイッチは押されることがないまま素敵なご縁を逃していた。
嫌な奴だったけどその性格のおかげで繋がれたご縁〜良い思い出をもらえるきっかけを作ってくれた、嫌な同僚にもありがとうと思う私がいます。

#おばあちゃん
#出会い

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