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なつやすみのにっき 2001

8がつ
11(どようび)
ぼーっと過ごす。昼過ぎに起き出し、知人に会いに有楽町へ。ビールを飲み、ビックピーカンでノートPCを買うのに付き合う。あれこれ話し、22:00前くらいに別れて帰宅。

12(にちようび)
ぼーっと過ごす。やはり昼過ぎに起き出し、散髪屋へ。待っている時間に「サラリーマン金太郎」を2巻ほど読む。相変わらずな荒唐無稽加減が爽快だ。リラックスして帰る。

13(げつようび)
やっぱりぼーっと過ごす。午後、思い出して病院に向かうが、整形外科は医師が夏休みで臨時休業。隣の調剤薬局でリポビタンDの安売りを買って帰る。

14(かようび)
今日から東京ステーションホテルに2泊。15:00頃チェックインしてから、皇居東御苑に出かける。大手門で入門票を貰い、苑内に入る。番所の建物など見ながら、ゆっくり歩く。本丸跡は随分広い。都内にこんな広大な空き地(失礼)があったとはちょっと驚き。地図で見て、広いとは思っていたが、現物を見ると改めてその広さに驚く。松の廊下跡(というか、かつてそこにあった、という場所)など見て、北の丸公園の方に向かう。明日の準備だろう、警備がやけに厳重だ。見回りをしている警官や機動隊員などがあちこちに目立つ。武道館の前には報道車が集合中。そんな中、科学技術館では「みんなのうんち展」、思い切り萎える。靖国神社側の門の外にも、科学技術館の催事案内の大きな看板に「みんなのうんち展」。明日はいくら何でも隠した方が良いのではなかろうかと思う。
お堀の外を回って東京駅に向かう。途中、和気清麻呂像なんて物があったりして驚く。「国体擁護」の文字。まぁ、場所が場所だけに当然だろう(*1)。
東京駅まで戻る途中、将門の首塚など探してみるが、見つからず。夕食には少し早かったので、八重洲ブックセンターへ。女房が国芳の画集を買う。地図、観光案内のフロアに行き、件の首塚の場所を確認したが、暗くなって怖いから行かないことにする。
さて、東京駅と言えば、和幸のトンカツが定番となってしまっている。というわけで夕食は味噌ロースカツ定食。
7km以上は歩いた勘定。入浴後、ストレッチしたり脚を揉んだりして明日に備える。

15(すいようび)
今日は国立歴史民俗博物館(佐倉)に行く。「異界万華鏡 - あの世・妖怪・占い -」展。
上野から京成線で佐倉まで。JRの佐倉駅より、京成佐倉の方が便利だ。駅から15分ほど歩くと、城跡の公園内に「歴博」の字が見える。愛宕坂という、長い坂道を上ってようやく入り口。早くも脚に乳酸が溜る気配。
建物は左右のシンメトリック具合が微妙にずれた作りで美しい。
さて、夏休みの子供向け展示かと思いきや、「日本人の死生観」などというところから始まって、やけに本格的な展示だ。阿弥陀如来の来迎図から延びる五色の糸を握る臨終の貴人の再現模型が出ている。次の部屋に入ると、精霊船の実物大模型。ちゃんとカラーの遺影が船首を飾っている。
昼食を取り、常設展示を見て回る。これがまた広い。全部で5つの展示室が、坂道沿いの建物の左右のウィングを徐々に下るように配置されている。途中、パティオに面したコリドーでストレッチしたりジュースを飲んだりして休憩。展示は古代から徐々に時代が下って、昭和初期あたりまでが通時的に並べてある。法善寺横町の再現とか、見せ物小屋などあり、ある種見たことはないがノスタルジック、というような印象。アイヌや被差別部落に関する展示もあり、真剣に見て回るに値する。こういう公共の博物館で、議論を呼ぶような展示物があるのは立派だ。社会見学なんかで来たら、生徒には教師からはよく説明しておいて欲しいと思う。
ぐるっと一回りして、ショップへ。絵葉書と図録を買って帰る。
お泊まり2日目。

16(もくようび)
8:30頃ホテルをチェックアウトし、コインロッカーに荷物を預け、駅地下のマクドナルドで朝食を取って上野へ。東京国立博物館(上野)「天神さまの美術」展を鑑賞に向かう。天神様ですよ。菅原道真。梅ヶ枝餅が食えるのもこの人のお陰なのだ。
冗談はともかく、文武両道の人として鳴らし、異例の出世をしたが為に藤原氏の反発を買い、九州は太宰府まで流されてしまい、悲運のうちに生涯を閉じた人。怨霊化するのは無理もない、というところだ。
上野駅のチケットガイドで入場券を買い、博物館へ。北野天神縁起絵巻を中心に、縁起絵巻が多数展示されている。絵巻は概ね、道真公の生涯、死後の怨霊の祟り、神社の創建とその霊験、という三部構成になっている。
頓死し、三日後に生き返った坊さんが、地獄で菅公に遭ったとの証言『身長3メートルはありましたが、あれはまさしく道真公でした』などというのがあったりして結構面白い。実在の人物が神様化する過程で生み出された超常的エピソードも多数あるのだが、そこはそれ。神社の権威を高め、霊験あらたかであることを強調するには、エピソードが多い方が効果的だったのだろう。
その他肖像画、遺物の象牙の笏、太刀等々。肖像画は如何にも怨念を滲ませ、怒りを露わにしたものから、飄々とした仙人風のものまで、バリエーションが多い。
その後、法隆寺宝物館のホテルオークラのグリルでサンドイッチ。本館の常設展示を見たり、ベンチで一服したりしてのんびりと過ごす。
帰り道、秋葉原で途中下車し、楽器店でソフトウェアシンセサイザーの様子を観察。結構沢山出ていた。アナログ系とデジタル系、それにサンプラーなど良さ気なものがある。予算措置を考えて揃えていこうと思う。それからパーツショップでケース取付用USBケーブルを購入。家に帰り着いてから取り替え工事。マウスを接続して確認する。うまくいった。これでケース前面に2ポート、背面に2ポート使えるようになった。臨時に繋ぐ奴なんかが出てきた時に便利そうだ。

17(きんようび)
掃除、セットアップの予定、あえなく没。
起き抜けに煙草を一服しつつ、凝った首筋を伸ばそう腕を上げたら、逆に首筋を違えてしまった。痛い。昼食を取ってちょっと昼寝のつもりがそのまま夕方まで寝る。午後のねっとりとした気温が昼寝に最適。

18(どようび)
今日こそセットアップと掃除の予定だったが、天気も良くないし、病院に行ったら中途半端な時間になったので見送り。次の休みに順延ということにしよう。
さて、明日からまた仕事です。頑張っていきましょう。

今回泊まった東京ステーションホテルは、東京駅の駅舎、八重洲口にある古いホテルだ。かつては文人が長逗留して作品を書いていたりしたそうだ。改札口を見下ろすことができる部屋もある。
以前泊まった時には、2階のツインルームだったが、天井の高いことに驚いた。推定4.5m程度はあったように思う。蒸気式のラジエター暖房など、調度も古めかしくて素敵なところ。料金はそんなに高くない、というか、ロケーションを考えればむしろやすい方かも知れない。ちょっと贅沢で、少しタイムスリップしたような気分を味わえる。

*1:宇佐にお伺いを立て、道鏡が天皇になるのを阻止した。これ以降、天皇家の血を引く者でなければ天皇にはなれない、というルールが確定したと言われる。

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