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【南大沢土木構造物めぐり】No.48 多摩ニュータウンを横断する幹線道路を歩く ~南大沢尾根幹線道路~

今回紹介するのは、多摩ニュータウンを東西に横断する幹線道路、南多摩尾根幹線道路です。東西に長い多摩ニュータウン、道路交通を支える幹線道路は、北側から、野猿街道・由木街道、多摩ニュータウン通り、そして南側にこの尾根幹線道路になります。この道路、長年にわたり設計速度80km/hの4車線道路として計画が進められてきましたが、近隣住民の反対も根強く、暫定2車線を整備した状態で長らく供用されています。近年は交通渋滞も激しくなっており、全線4車線での開通を目指して整備が進められている道路です。その道路の八王子市・町田市側を紹介します。

八王子市・町田市側は、元々宅地からも少し離れた場所に位置しているところが大半で、比較的新しく、4車線の道路が完成している区間になります。

探索開始地点は、尾根幹線道路が、八王子市と町田市の境にある、尾根緑道の下をくぐるために作られた、小山長池トンネルの多摩境側からです。このトンネル、純粋なトンネル部分もあるのですが、片側車線にロックシェッドのような形をした蓋をかけたような部分も比較的多いのが特徴といえるでしょう。

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トンネルには珍しい、ひらがなと漢字の銘板がありました。

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【1997年3月 小山長池トンネル 東京都 延長78.00m
 施工者 鉄建建設・坂本工業JV】

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南大沢という文字が大きく記載されているのが印象的です。トンネルを出てすぐに側道に入る必要があるため、目立つ標記にしているのでしょう。
トンネル内に八王子市と町田市の境があります。

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歩道のこの緑色の帯は、一瞬シミのようなものかと思ったのですが、どうやらこんなデザインのようです。長池付近の谷戸をイメージでもしたのでしょうか。今一つ意図がよくわからないデザインになっています。

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八王子市内に入った尾根幹線は、南大沢駅方面に向かう谷底を走るバス通りと立体交差しています。左が南大沢方面への側道、まっすぐが立体交差道路です。

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何の変哲もない立体交差のような気がしますが、擁壁の高さが低くなってまた高くなるというラインをしており、これが絶妙な感じがします。側道と本線の間の高低差は大きくなるものの、交差点に近づくに従い、側道と本線が離れていくので、その絶妙な位置関係が不思議な擁壁のラインを作っているのでしょう。

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立体交差する交差点。多摩ニュータウンの中で幹線道路と立体交差する形の交差点は、実はそんなに多くないのではないかと思います。

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2車線ずつの橋の間には少し大きなスペースがあります。

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立体交差の交差点を少し上がると、以前紹介した、廃道のような状態になっている旧道との分岐点に差し掛かります。

この旧道との合流点の対向車線側は、こんな状態になっています。

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左の道は、町田市の小山田地区につながる古くからの道。尾根幹線の旧道は、このあたりで古くからの道とつながっていたようです。今では全く別の道のような顔をしています。

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昔からの道は、町田市の中でも開発されていない小山田地区につながっています。尾根幹線道路とは全く別世界が広がっています。

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さらに尾根幹線を東側に歩くと、ぱっと見てよくわからないですが、一つの橋を渡ります。

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橋の名前は、上小山田橋。なぜ橋っぽくないかというと、渡っている谷があまりに深い森の中にあり、沢などが見えないからです。橋の高欄も、このように藪に埋もれている感じがします。

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橋の下には何があるか・・。実はここ、川崎・横浜を流れる鶴見川の源流の沢になります。尾根幹線の旧道が尾根伝いに走っており、旧道沿いに八王子市と町田市の境があり、ここは実は「町田市」であり、多摩ニュータウンの外側の、町田市のサンクチュアリのような小山田地区に当たります。道路ができても森が保たれているのであれば、この橋は自然にうまく配慮できているともいえるのではないでしょうか。

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橋の上から小山田方面を見たのがこの風景。いい感じで森が残っています。

【終わりに】

尾根幹線道路の八王子市内は、ここから坂を下り、大型商業施設「ぐりーんうぉーく多摩」がある交差点付近で多摩市との境界を迎えます。車で走ると、小山長池トンネルから立体交差を超え、信号のない道路をあっという間に通り過ぎてしまうため、あまり周辺の景色などを見ないままに通り過ぎることが多いと思います。歩道も周辺に民家等が少ないため、多摩ニュータウン通りや野猿街道のようなほかの幹線道路とは違い、あまり人通りも多くありません。ただ、ここは鶴見川の源流の沢があり、小山田の森の香りをほのかに感じることができ、多摩ニュータウンの開発前の姿を思い浮かべることもできる場所でもあるのです。

ほかの幹線道路と比べるとちょっと不思議な雰囲気のある尾根幹線道路。車で走り抜けるだけでなく、たまにはゆっくり歩きながら、小山田の森の香りなどを味わってみるのも良いのではないでしょうか。


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