見出し画像

建設会社の土木技術者という仕事を選んだきっかけ

 3年前の2018年夏、青森県の最北端に近い、青函トンネルの本州側坑口が一望できる公園に立っていました。長年の念願だった青函トンネルをゆっくり訪ねて、竜飛崎を目指しました。この場所は、今の自分の立場である、建設会社の土木技術者になるきっかけとなった場所です。そのはじまりについて紹介したいと思います。

 1988年3月、世紀の大プロジェクトであった、青函トンネルが開通。私は当時まだ鉄道少年(中学生)でした。
 同じ年の4月に、今度は本州と四国を結ぶ道路・鉄道併用橋の瀬戸大橋が開業。下の写真は2年前の夏に、寝台特急「サンライズ瀬戸」から眺めた瀬戸大橋からの朝日です。当時中学生だった私にとって、本州と北海道、四国が鉄道や道路で結ばれる瞬間を見て、当時世界最長の海底トンネルだった青函トンネルや、驚くくらいにスケールの大きい瀬戸大橋ができたということは、本当の意味で大きな影響を与えたイベントであったといえるでしょう。将来的にこんな世紀の大プロジェクトと言われるものを作ってみたい。それを実現できるのは土木という学科だと知ったのは、高校生の時でした。

寝台特急「サンライズ瀬戸」から見た瀬戸大橋上からの景色

 これが、私が大学で土木工学という分野を学びたいと思うようになったきっかけと言ってもいいと思います。

 大学で土木工学を学んでいた時に、今の建設会社に行きたいと思うようになったきっかけは、大学3回生の時の、インターンシップでの経験からでした。当時のインターンシップは、夏休みに1か月くらい宿泊して職場にお世話になり、大きなプロジェクトの中でお世話になるというスタイル。私は、長野オリンピックに向けて整備されていた当時の北陸(長野)新幹線の在来線との近接工事の現場で鉄道会社にお世話になっていました。
 鉄道会社の現場は、在来線と新設される新幹線が交差したり近接する箇所で、すぐ横を在来線が走っている場所での工事というのは、いかに緊張感を絶やさずに工事をしなければならないかを痛感しました。
 それ以上にインパクトが大きかったエピソードがあります。ある日、鉄道会社の現場だけでなく、近隣の新幹線を建設している公団発注のトンネル工事の現場を見学させていただく機会をいただきました。掘削中のトンネルを見せていただくだけでも貴重な経験なのですが・・、

トンネルの中に入った時に、何と「退避指示」が出てしまい、トンネルの切羽(掘っている地点)からの退避が求められ、入ってきたトンネルの入口(坑口)についているドアがふさがれてしまいました。何が起きるか・・。

発破 です。

学生だった自分に、いきなり間近で発破が見られる瞬間が来てしまいました。カウントダウンのサイレンとともに、大音響と、それ以上の骨に響く振動、そしてものすごい爆風。体全体がズシンと響くような経験をしてしまいました。その瞬間に居合わせた現場の作業員さんに、

「兄ちゃん、いい瞬間に立ち会ったな。」と笑顔で言われました。

トンネルを掘る、という特殊な(過酷な)状況を体感し、すごく格好よくて、自分でも是非やってみたいと思い、建設会社を志すことにしました。

これが、この仕事を志望したいと思い始めたきっかけと言っても良いでしょう。

■青函トンネル記念館を見ながら、トンネル掘削現場に思いをはせる

トンネルの切羽ではありませんが、3年前に行った青函トンネル記念館の中を見ながら、その当時の雰囲気を少し再現したいと思います。

記念館の周りは、いまだに青函トンネルの施工基地の面影を残す

青函トンネル記念館の入口前です。ここに来るだけで、トンネルを掘っていた人たちがここに暮らしていたことや、ここに前線基地があったことが想像されます。

青函トンネル記念館の入口

坑道には、地下ケーブルカーでアクセスします。ちなみに普通のトンネルは、こんなケーブルカーに乗ってアクセスする必要はなく、坑口から車に乗ったり歩いてアクセスすることがほとんどです。海底トンネル特有の特別感満載のケーブルカーです。

トンネルへは斜坑を地下ケーブルカーで降りていきます
ケーブルカーから見た車窓
体験坑道に到着。

坑道の中は、吹き付けコンクリートで固められた世界。トロッコ用のレールや、建設当時の機械等も展示されていて、掘削されていた当時を想像することができます。

北海道側の吉岡拠点まで23kmの距離があるとの標示
見ているだけで異次元空間だと思わせる坑道
坑内にある、掘削機械の展示
バッテリーロコ。坑内を走る充電式の機関車です。

実際の工事は、海底や通常のトンネルなど、シチュエーションの違い等はありますが、トンネルの切羽という、掘削の最前線から掘り進むために様々な機械が坑内にいて、どんどん掘り進むことを行っています。こういう経験が学生時代に身をもって体感できたからこそ、トンネルを掘ることの楽しみのようなものがわかったのではないかと思います。

【終わりに】
この仕事を選んだわけは、上述した通り、世紀の大プロジェクトの完成を目の当たりにして、土木工学という分野が重要だということを知ったことと、その後に学んだことなどを踏まえ、今の仕事を選んだのだということを改めて実感しました。当時の思いを大事にして、今後ともスキルアップできるように励みたいと思います。

#この仕事を選んだわけ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?