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フォルケホイスコーレのファンである。(3)

私は3年前にデンマークのロンデという町にあるフォルケホイスコーレに留学した。留学という言葉に少し違和感を感じるのは、この学校は入学試験もないし、成績もつけないし、修了してもなにも資格が得られないからである。それでも全寮制で授業があり、専門性のあるコースもあるから留学は正しい。なんとも不思議な感じだ。入学当初、一番若手の男の先生が「この学校はね、ほんと特殊な学校なんだ」と言っていたことが印象に残っている。
さて、私が滞在したのはこの1校だが、実はあと2つのホイスコーレとうっすらとかかわることになった。そのうちの1校は「ノルゴースホイスコーレ」。ここには授業が始まって約1ヶ月ほど経った頃、ヨガを教えてくれていた先生が学生たちに「今度の週末にリペアフェスタ(再利用フェスタ)があるけれど、行かない?」と誘っているのを耳にしたのがきっかけだ。折りしも国連ウイークという週間でSDGsについていろいろと学んでいるところだったので、面白そうだと手を挙げた。バスでも借りていくほど盛況かと思っていたら私を含めて4人の学生だけ。結局先生が車を出してそこに乗り込んでいくことになった。ノルゴースホイスコーレは2階建てコの字型の比較的こじんまりした建屋だったが、スロープや段差を無くした一部バリアフリー設計の建物だった。実際車椅子利用の見学者も見受けられた。学生はおそらく30名くらいだろう。アットホームな雰囲気のホイスコーレだろうなと思いながら見学していた。
もう一校はカルーホイスコーレだ。結構日本でも有名だということを後で知ったのだが、ロンデホイスコーレから5、6kmしか離れておらず、森林公園に隣接していたので、散歩の時にはよく近くを通った。この学校とは面白い縁でつながった。というのも12月のクリスマス休暇を自炊生活していた時にクリスマスイブを近くのコーリンという町のコミュニティカフェで過ごせることになり、そこで世話をしてくれたボランティアの家族がカルーホイスコーレに行っているという。そこには日本人もいるから会わせてやるというので、後日連れて行ってもらい、校内の食堂で日本人学生と会って話をしたり、一緒にオーフスのミニコンサートを聞きに連れて行ってもらったりしたのだ。カルーホイスコーレは白く洒落た、ペンション(年金ではない。昔流行った洒落た民宿のこと。死語か?)のような建物で、ここもアットホームな雰囲気が印象的だった。森の中の立地で海もそばにあり、自然を味わうには最高だなと思ったものだ。
フォルケホイスコーレはこのようにいろいろな個性豊かな学校だった。そして人に会った時もフォルケホイスコーレの学生だというと何かと話が早かったように思った。外国人としてデンマークに接するちょうどいい位置に、このフォルケホイスコーレという施設はあるのかもしれない。

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