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⑱義母の密かな狙い4

その件を始めから書くと、こういう事だ。
子供を連れて外に出た義母は、マンション内の子供用遊び場に孫を連れて行く。(高層の棟が立ち並ぶ大型マンションなので、小さな公園のような中庭が設けられている。)すると、若い女性が通路を、マンション正門の方に向かって歩いて行く。肩には大きな紙袋。
義母は孫たちに、
「ここで遊んでなさい!誰にもついて行くんじゃないよ!」
と言い渡して、女性の後をつける。そして女性が正門脇のゴミ収集所に入ったところで、「それ、捨てるならもらっていい?」と声を掛け、譲り受ける。
子供達は、遊びにも飽きたし、もううちに帰ろうかと自宅がある棟の玄関までやって来るが、自動ドアを開ける暗証番号がわからない。いやそもそも、入力ボタンに手が届かない。しばらく佇んでいたが、やがて弟が泣き始め、次には姉が泣き、二人で突っ立ったまま号泣...となった訳である。
そんなこんなで、義母が外に出る時に子供を預けられなくなり、結局は私もくっついて行くことになった。
見つからないように隠しといて、と託された紙袋は、なぜ義母の共犯者にならなければいけないのか?と疑問が湧いたので、特に隠しもせずその辺に置いておいた。帰宅した夫が「これ何?服買ったの?」と聞く。
「私じゃなくて、お義母さん」
それを聞いて夫は、「なる程、話が読めた」という顔で頷いた。
「どっかで買い物したのかな?この辺にお洒落な服屋なんて無さそうだけど」
「分からないの?」
と夫は笑う。
「捨てる人からもらったんだよ」
夫が何を言っているのか、さっぱり分からなかった。

まだ終わらないんですよ...続きます

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