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㉑共犯者になりたくない2

花摘みの件があって少し後。義母がうちにやってくるなり、愚痴を言い出した。
道端にエゴマが葉を付けていた。誰のものでもない土地(というか、公道)に生えているものだから、葉っぱを採った(シソの葉に似ていて、それでご飯や肉を包んで食べる)。
すると人がやって来て、「何なさるんですか。私が育てているんですよ」と言って(義母が摘んだ葉っぱを)持って行った、と言う。
「道端で、自分の土地でもないのに、何が『私が育てている』だ。道に生えているものに、持ち主なんかあるか」
と、義母は怒っていた。
どっちもどっちだというのが、私の感想である。公道脇のちょっとした空き地や、整地された後着工に時間がかかっている敷地があると、誰かが勝手に畑を作って野菜を育て始める、という光景を韓国では何度も見た。
土地を私物化して自分の畑にしてしまうのも図々しいが、そこの葉っぱを勝手に取るのも厚かましい。
義母が摘み取った葉は、「返してください」と取り上げられたのだろう。
ーーー道に生えてる物を取って、何がいけないんですか
ーーー私が種をまいて育てているんです。勝手に持って行っては駄目でしょう
そんなやりとりが目に見えるようだった。
韓国なら、
「それ、私が育ててるんですが...。まあいいです、それ(摘み取った分)だけはお持ちください。もう取らないでくださいね」
という展開もありえただろうと思う。
しかし義母が大量に取りすぎたのか、栽培者がきつい性格だったのか、一枚ももらえはしなかったようだ。おそらく二人の間で一悶着あったのではないか。
こういう事例を見て、「そこにある物は、手に入れる」という義母の精神を、思い知らざるを得なかったのだった。

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