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今更ですが映画「猿の惑星」5作一気レビュー&あらすじ

たまには映画レビューを書きたいなと思い立って、勢いで書いちゃいましたw。という訳で今回選んだタイトルは:

猿の惑星 1967年製作
続・猿の惑星 1969年製作
新・猿の惑星 1971年製作
猿の惑星・征服 1972年製作
最後の猿の惑星 1973年製作

5本まとめてレビュー&あらすじです!長いです!w
(あらすじはかなりネタバレしています

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全体的なレビュー


映画版の猿の惑星はリメイクが幾つか作られていますが、オリジナルは5本あり、一つの物語になっています。

この五作を通じて語られるのは人間の愚かさ、戦争反対などなんですが、お互いを理解、尊重する事で争いを免れ、平和に生きていける可能性がある事も示しているように思います。SFとしては風刺の効いた結構ハードな作品かと。

猿の惑星」と「続・猿の惑星」では主人公テイラーを通して強烈なメッセージを突きつけます。
もちろん時代的な背景(米ソ冷戦、核開発など)もあるので、今現在からすると誇張しすぎになってる所もあるかもしれません。逆に言うと映画のような事態はなんとか避けている事ができてるんじゃないかな、と。そういう意味ではちゃんと教訓として生かされてるのかもしれません。しかしこの2作で終わっていたらかなりダークな作品になっちゃいますね。。
(でもテレビでは大抵ここまでしか放送しなかった記憶が。。。)

新・猿の惑星」は、人間と猿の立場が逆転する点が面白いです。人間がやってきたことと猿がやってきたことに何の違いがあるのか、そして何が変わらないのかを問うているのかなと。

また「原作者のピエール・ブール が日本軍の捕虜になった経験から、日本軍=猿とした」という噂がありますがこれは確証が無いそうです。しかし仮にこれが本当であったとしても、この3作目で立場を逆転させている事で人間と猿、つまり白色人種と有色人種を逆転させて「どうなのよ?」とも問えるわけで、それがまた興味を持てる所です。が、今の時代もう肌の色はあまり関係ないですよね:)

猿の惑星・征服」ではシーザーの最後の演説がかなり強烈です。これは今聞いても耳が痛いところがあります。

そして「最後の猿の惑星」は「征服」同様最初に繋がるためのストーリーになっていてその分制約も多いんですが、最後の舞台が2670年というこの設定はとてもいいポイントです。
この時代にすることで余白が生まれ色々考えることが出来ます。もちろん最悪の終末になるかもしれません。だからこそ最後のシーンが非常に希望に満ちた映像として生きてくる。

この世界をテイラーが許してくれるかどうか、そこを考えるのも面白いかもしれません。

個人的な感覚では「征服」と「最後の猿の惑星」はあまり一般に知られてないんじゃなかろうかと思いまして。1〜3作は悲しい終わり方ですが、残り二作で一つの壮大な輪廻が出来上がるので、ご覧になってない方は是非観ていただきたく思います。暗い作品と受け止めている方も最後の作品で少しは救われると思います:)

設定に色々無理なところはありますが、そこはSF映画なのでw。設定の無理よりも話の流れの方が重要な事もありますしね。

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あと個人的見どころ。

・「見ざる言わざる聞かざる」のダジャレがあります。これ調べてみると日本だけじゃないんですね。

・続・猿の惑星に出演しているブロンド女性役のナタリー・トランディは以降3作にも出演していて、最後2作品は猿のリザ役です。人間も猿も演じているんですね:)

・映画を跨いだ小さな伏線がいくつかあって、そこがまたいい味を出してます。

・禁止地帯についてよく見ていくと、「最後の猿の惑星」の廃墟の大都市が関係してるのが分かってくると思います。ここも伏線?になってて面白いですね:)
(まぁ考えすぎるとなんでそこに爆弾があるのよ、って話にもなるんですが。。。w)

・続・猿の惑星の後半に出てくる賛美歌が超カッコイイ!です!ストーリーの目的としては狂った世界を表現するためのシーンで壊れ具合がとてもいいんですが、そういうの抜きにして純粋に賛美歌そのものがめちゃくちゃ格好いいと思ってしまうのです。。。w

あと見どころというか、シリーズごとに段々予算が減っていってる様な気がしなくもなく。。。w
今時のSFの様に大規模な表現はなく、こじんまりした規模にみえることがあります。ただ映画を詳しく見ていくとその辺は解決されているというか、最低限の表現で終わらせているといえばその通りです。。予算に合わせたのかもしれませんがw。

もちろん「そういった時代の映画」として「だがそこがいい」と感じてます:)

これ以降はあらすじです。少々長いですが読んで頂けたら幸いです(*´ω`)。

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猿の惑星

1967年製作 監督:フランクリン・J・シャフナー

宇宙飛行士テイラーは宇宙探検の帰還中、何らかのミスで未知の惑星に不時着してしまう。そこは口も利けない原始的な人間と、知性を持ち文化的生活を送っている猿がいた。猿にとって人間は動物で、狩りの対象、そして生体研究のモルモットの様に扱われていた。

テイラーも同様に扱われるが、彼には知性があると知った猿族の科学者、ジーラとコーネリアスは彼に親しみを覚える。しかし宗教政治家ゼイウスは異様に敵視する。知性のある人間は滅びをもたらす悪魔であると聖典に書かれていたからだ。

ゼイウスがテイラーをどうにか処分しようとするも、ジーラとコーネリアスの助けによってテイラーは猿の法律で定められた”禁止地帯”へ逃れる。

そして発見してしまう。
テイラーは崩折れ、「このザマは何だ!皆、地獄で苦しめ!」

そこで彼が目にしたものは、胸まで地面に埋まり朽ち果てた自由の女神像だった。ここは未来の地球だったのだ。

人類が戦争で自滅、退化し、地球を猿に支配されてしまった事に深い悲しみ、怒りを覚え、絶望した。

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続・猿の惑星

1969年製作 監督:テッド・ポスト

テイラーの宇宙船と同じ軌道にいたブレントも、同じ惑星に不時着する。
彼はテイラーと行動を共にしていたがはぐれてしまった退化した人間女性のノヴァ、そしてジーラとコーネリアスに会い、彼らの手助けでノヴァと共にテイラーを探しに出るが、行先で半分溶けかかったクイーンズボロプラザ駅を発見。ここが地球であることに気づく。

その頃猿達は領土拡大のため禁を破り、禁止地帯へ軍隊を派遣する。

ブレントとノヴァは地下で暮らしている人間達に出会う。彼らは知性だけでなく超能力までも身につけているが、排他的、高圧的な性格で、更には地球を破壊する最終兵器”コバルト爆弾”を神と崇める狂信的な集団であった。ブレントは屈辱的な尋問を受け、猿達が侵攻中であることを伝える。

その後捕まっていたテイラーに出会うも超能力に洗脳されてしまい二人は殺し合いを始める。

それを見たノヴァが初めて「テイラー!」と言葉を発する。退化した人類が再び知性を持つ希望が見えたのだ。

二人の洗脳は解け、猿達にコバルト爆弾を使う気でいる超能力者達を止めようとする。

超能力者達は猿達に幻覚を見せ侵攻を阻止しようとするも見破られてしまい、他に為す術もなく猿の侵攻を許してしまう。

超能力者達の住処まで押し寄せてきた猿達の銃撃でノヴァは殺されてしまい、人類の小さな希望が絶たれる。テイラーは絶望するもブレントと共に爆弾の起爆を阻止しようとするが、猿の兵力には太刀打ち出来ずブレントは殺されてしまい、テイラーも致命傷を負う。

戦争で自滅し退化した人類、狂った超能力者達、そして野蛮な猿に支配された地球という全てが狂った世界に絶望し、「死ね、血に飢えた奴らめ」と、テイラー自らコバルト爆弾の発射ボタンを押す。

こうして地球は消え去った。

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新・猿の惑星

1971年製作 監督:#ドン・テイラー

コバルト爆弾の影響で時空が歪み、チンパンジーのジーラと夫のコーネリアス、マイロの3人は1973年の地球にタイムスリップし、アメリカ軍に保護される。

調査を依頼された動物学者のルイスとスティービーは彼らが喋れること、知性があることに驚く。その直後事故でマイロが死亡してしまうが、ジーラ達はルイスの紳士的な謝罪と、同じ科学者の立場であることを理解し、彼らの間に親しみと信頼が生まれる。

ジーラ達の件は世間に公表されるが、彼らの行動が人類には平和的にまたユーモアに映り、世間は快く迎え入れる。
だがアメリカ大統領の科学顧問ハスライン博士は疑いの目を向けていた。

そんな中ジーラが妊娠する。ハスラインは知性のある猿の繁栄は人間の立場を脅かすと危機感を募らせ、政府の力でジーラを尋問し、人間の生体研究を行っていたことや、地球が3950年代に消滅すること等を聞き出す。

査問委員会はジーラの胎児を堕ろすこと、そして生殖出来ないようにする処遇を決める。

ルイスとスティービーはジーラ達を逃がす為、彼らをサーカス団長の友人であり、動物をこよなく愛するアーマンドに匿ってもらうよう頼む。

ジーラに子供が生まれ、マイロと名付ける。

ハスラインは捜索チームの指揮を執り、サーカスにまで捜索の手が伸びていた。仕方なくジーラ達はサーカスから離れ廃船置き場に身を隠すも見つかってしまい、捕獲より殺すべきだと考えるハスラインに3人とも射殺されてしまう。

だが、ジーラは密かにマイロをアーマンドに託していたのだった。

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猿の惑星・征服

1972年製作 監督:J・リー・トンプソン

1991年。宇宙飛行士が持ち込んだウィルスによって1983年までに犬と猫が死滅する。人間は代わりのペットとして猿を飼いだすが、猿達に簡単な技能を教え込めると分かり、その為の技能訓練センターも出来ていた。

アーマンドは成長し知性を身に付けたマイロを連れ大都市に来ていた。そこで見た猿達に対する虐待を見てマイロは声を上げてしまう。咄嗟にアーマンドがごまかしその場を逃れるも、マイロを疑いの目から逸らすため自ら出頭する。

マイロは喋らないようにして他の猿に紛れるが、猿に任せられる程度の基本的な技能は既に身に付けていたので優秀な猿としてブレック知事に買い取られる。

ブレック知事は名前を決めるためにマイロに人名辞典から名前を一つ指差すよう指示すると、マイロは偶然を装いながら”シーザー”を指差し、その名前で呼ばれるようになる。その後司令部に配属される。

アーマンドはコルプ刑事から厳しい尋問を受け、嘘発見器にまでかけられる。知性のある猿の存在をほのめかしてしまうも抵抗し、ビルの窓から飛び降りてしまう。

知性ある猿の存在が明らかになったが、それ以上にアーマンドが亡くなった事に深い悲しみと怒りを覚えたシーザーは、密かに反乱を決意、計画を立て始める。

コルプ刑事の綿密な調査で知性を持つ猿がシーザーであることが判明。
知事は知性のある猿が技能を持つ猿に知恵をつけさせると反乱の恐れがあると警戒し、シーザーを捕まえる命令を出す。

しかし知事の側近で、知事の抑圧的な方針に不満を持つマクドナルドはシーザーを連行するか迷っていたが、そんなマクドナルドにシーザーは「お探しの猿は私です」と語りかける。驚きながらもシーザーが革命を考えていることを聞くと、暴力では何も解決しないと諭すが、今捕まってしまうよりはマシだと判断し、シーザーを逃してやる。

だがシーザーの決意は変わらず、猿達は蜂起。勢いは止まらず一夜のうちに猿が勝利を収める。

勝利に沸く猿達。だがマクドナルドは「これが正しいのか?」と聞く。憎悪と暴力で支配しても何も解決しない事を説明するもシーザーは人類がしてきた戦争や環境汚染に言及し、地球は人間には任せられない、人類を滅亡させると言い放つ。

捕らえられた人間を皆殺しにしようとした時、一匹の猿がたどたどしくも「やめて」と言葉を発する。シーザー以外の猿が初めて口を利いた瞬間だった。
シーザーは考え直し、人類を奴隷にして残すことを決める。

こうして猿の惑星が誕生した。

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最後の猿の惑星

1973年製作 監督:J・リー・トンプソン

2670年。
あるオランウータン族が語り部となって過去の出来事を語りだす。
シーザーが街を制圧した後、人類と猿の戦争が勃発。核兵器も使われ大都市は壊滅し世界は荒廃した。生き残ったシーザーは他の生き残りの猿たちと、猿の奴隷、使役となった人間たちと共に森の中で生活を始める。…

リーダーとして将来を考えたシーザーは、マクドナルド(ブレック知事の側近だったマクドナルドの弟)の案内で廃墟となった都市の地下に赴き、両親のフィルムを発見、戦争で3950年頃に地球が消滅する事を知り、未来を変えたいと考える。
廃墟には放射能に汚染された人類が生き残っていた。刑事だったコルプは知事になっていた。
彼らに襲撃され捕まってしまいそうになるが、シーザー達はなんとか逃げ切って無事集落に戻る。しかし尾行されていた事には気づいていなかった。

シーザーは廃墟にいた好戦的な人間に警戒すべきだと会議で提案。使役の人間達も会議に呼ぶが、ゴリラ属のリーダー、アルドーがそれに反発する。アルドーは事あるごとに自分を制するシーザーに不満を持っていた。

廃墟では偵察隊が戻り、シーザーへの恨みもあるコルプは集落を侵略するため軍隊を組織、出発する。

シーザーの息子、コーネリアスは偶然アルドー達が秘密会議を開いているとこを発見、シーザーを倒す計画を知ってしまう。驚いたコーネリアスは見つかってしまい、アルドーに重傷を負わせられる。

シーザーはコーネリアスにつきっきりだったが、その間にアルドーの部下が廃墟の人間の軍隊がそこまで来ていることを報告、アルドーが集落を勝手に仕切りだし、使役の人間たちを檻に閉じ込めてしまう。

コーネリアスはシーザーに「彼らにやられた」「父さんの命を狙っている者がいる」事を伝え、息を引き取る。

集落への砲撃が始まる。敵の砲撃は強力だったがシーザーの機転で勝利する。コルプは逃げる途中でアルドー達に殺される。

その後、アルドーがコーネリアスを殺した事が発覚。「猿は猿を殺すべからず」の掟を破ったアルドーを猿達が非難し始める。
その異様な光景を見てマクドナルドは「人間の社会と同じになった」とつぶやく。

シーザーがアルドーを樹の上まで追い詰める。アルドーは剣を抜きシーザーに斬りかかるもシーザーが振り払った事によりバランスを崩し樹から落ちて死んでしまう。
「復讐なら殺しも許されるだろうか?」とのシーザーの問いに智者バージルは「それは未来に託しよう」と答える。

アルドーの件を目にしたマクドナルドは人間を完全に自由、平等にして欲しいと願い出る。またバージルも「アルドーは人間ではなかった」と言い、猿と人間に差が無いことを肯定した。納得したシーザーは人間を解放し、共に集落を再建する。
だが猿と人間が共に平和な未来は、まだ辛抱強く待たなければならない。

…「だが今のところ、猿と人間は仲良く暮らしている」。語り部が読み上げる。
シーザーの死後600年、この語り部は猿と人間の子供たちに物語を語って聞かせていたのだ。
「未来のことなんて誰にもわかんないよ」と人間の子供が言い、その子に猿の子供がちょっかいを出す。彼らの後ろにはシーザーの石像が建っている。

2670年。テイラーが帰還するまで1300年近くある。地球が消えるか、猿と人間が共存して平和に暮らしているか、どちらに転ぶかはまだ分からない。だが希望はある。

シーザーの石像からは涙が溢れていた。


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