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コード進行、理論で作るか?感覚で作るか?

タイトル考えてたら、映画のタイトルみたいになっちゃいましたねw。

さて、この前こんなツイートが流れてきました。

つまり理論で作らないで感覚で作ってるよって事なんですが、これに対し自分は

と返したんですが、実は意外にに深い問題でこの後いくつかツイートしてるんですが、twitterでは書ききれないなぁと思ったのでnoteで書くことにしました。

で、「そんなに理論に頼ってコード進行を作ってるのか?」なんですが、理論を学んだ端くれの意見として実際にどうかというと、一言で言えば大体は感覚です

しかしよく見ていくと、「耳で聞いて違和感あれば一つ音程ずらしたりして」では無いです。つまり感覚の意味が違うんだなと気が付きました。

音楽理論を学ぶことで得られるもの」で書いた通り、理論で身につくのは「美しい響きの感覚」でして、これをもっと砕いて言うと「コードを付ける所にしっくりくる和音は何か」なんですね。

何の手がかりもない感覚とは違って、「理論に基づいた感覚」と言えるのかな。

で、実際にどういう考えを取っていくかを時系列で書きます。

まずコードを付けたい所の響きを感覚で得ます。これは理論を学んでない人も同じだと思いますが、何を感じてるのかは理論を学んじゃったので逆に分かりません。
理論を学んでるとメロディラインや前のコードが(後ろが決まってればそれも)ヒントになります。

次に感じるのはその感覚が「しっくりくる和音は何か」とはちょっと違って、厳密には「コードの機能のTonic,Dominant,Sub Dominantのどれにあたるか」です。ここから学んでない人と違ってきますね。

コードの機能については「コード進行:IV-V-III-VIについて色々」で書いてありますので是非:)

このコードの機能からある程度目星がつきます。流れでいうと:

曲の調を確認しておく(例としてここではハ長調とする)
その時の感覚がTonic,Dominant,Sub Dominantのうちのどれか(Sub Dominantとする)
ハ長調のSub Dominantという根拠からハ長調のIVであるFという答えが出ます。
Fが出たら代理コードのIIであるDmも自動的に導き出されます。

勿論ニ長調(Dメジャー)ならGかEmになるし、変ロ短調(B♭マイナー)ならE♭or E♭mかCmになります。コード自体は違いますがどれもSub DominantのIV,IIです。調が変わってもSub Dominantなどコードの機能の感覚は変わりません。

ここまでが1セット。その時一々音を探さなくても頭の中でここまで絞れますし時間も一瞬です。音を鳴らす事なく答えが2つ3つ出てくるんですね。理論に基づいた感覚とはこういう事です。

人によるでしょうが、感覚のみで耳で聞いて一音ずつずらしながら音を探し当てた結果、ドとファとラを見つけられるかも知れませんが、更ににレを見つけられるのかな、と思ってしまいますし、それが実は同じカテゴリで入れ替え可能と気づくまでには更に長い時間がかかってしまうんじゃないかと思うんですが。。。

で、流れとしてFがいいかDmがいいかここから実際に弾いて決めます。どっちもしっくり来なかったらテンションコード入れていったりして頭の中で鳴っている音に近づけます。ここで「音程ずらしたりして」がやっと出てきます。

それでも決まらなかったら、他に「Sub Dominantの響きをする和音」を試行錯誤して見つけていきます。ここは手探りなので一緒ですが、FもDmも除外する事になるので更に難しくなります。

そんな感じで作っていきますが、迷ったら理論からヒントを導き出すこともあります。迷った時に本当に助かる:)

手前味噌ですが「ほしのわのおと♪(うたいり)テキストコメンタリー」にある、「ホ長調のBMajからハ長調のCMajに移行する」のは苦労しましたが、ドミナントモーションを知っていたので助かったのをよく覚えています。理論に基づいた進行ですがサビ前のタメとしても上手く機能していて個人的に気に入ってる所です。

また状況によっては「わざとしっくり来ている和音を外してやろう」と意図的に意外な和音を探すこともあります。

例えば、Sub Dominatがしっくりしたとしても敢えてTonicやDominantの和音をあてることもあります。

「意図的に外す」、これが出来るのは理論を知ってるからです。外したと思っている和音が理論に沿っているか沿っていないか分からないと意図的に出来ませんからね;)

同じく「この曲は理論通りでつまらん」って発言も理論を知っていないと出来ない発言です。
(新垣隆さんが「(調性音楽について)この程度のものは誰にでも書けます」と言い切れるのは現代音楽を手がけることが出来るくらい理論を体得しているからなんです。まぁですが(自分も信じられないんですが)世の中には音楽の感覚自体がない(感動出来ない)人もいたりするらしいのでちょっと言い過ぎな部分はあると思いますが。。。w)

ついでに余談ですが、理論を徹底的に外しまくっていって出来上がったのが現代音楽です。現代音楽は行き詰まった調性音楽を打破するために、理論で書かれていることを逆に禁じ、つまり例外の中だけで、純粋な美しい響きを追求した音楽です。

話を戻して、それでね、理論を学ばずに感覚だけで作ったコード進行も、ほとんど理論として纏められてるものだったりするんですよ。だってその感覚を得たのって今まで色んな音楽を聴いてきたからだと思いますが、その音楽のほとんどが理論に基づいて作られてるからなんですね。日本と海外でも特色が違いますし、例えば極論ですが今までガムランしか聴いたこと無いならガムランの手法で作るでしょう。

更にその理論も元々は「この時はこういう感覚がしっくりくる」を文章化したものなので、感覚だけで作るということはほとんどが「理論で書かれている事を再発見する」ことになるんです。二度手間になっちゃうと思います。そこに答えがあるのに。

確かに理論に組み込めない例外は沢山ありますが、上の「音楽理論を学ぶことで得られるもの」で書いた通り、美しい響きを知ってないとそれが「理論に含めることが出来ない例外的進行」なのか「あまり使われてないけど理論に沿った進行」なのか区別つかないんですよね。さらに言えばぼやけたちょっと汚い和音になってる可能性も。。。
意外に思えるコード進行も楽曲分析すれば大抵「転調を利用した理論に沿った進行」だったりします(これはこれでカッコイイんですけどね)。
つまり例外もそんなにポンポン出てくるわけじゃありません。

体感なのであまり当てになりませんが、理論に基づいてない感覚だけで作っただろうコード進行のうち77~87%くらいは理論で説明が付き、残り10〜20%は完全に間違っていたり汚い響きになっていて、残り3%は理論の例外にある美しい響きになるんじゃないかと思います。いやもっと少ないかも。。編成にもよるからなんとも(クラシックの和声法で見たら間違いが50%くらいに増えるかも)。。

あ、あともう一つ。「その理論の響きは誰が決めたんだ?」って質問も出てきそうですが、これはもちろん人間が誕生してから培われた本能が決めてます。理論を纏めた人が決めたわけじゃないです。
Cに比べてAmが悲しく感じるのはもう原理でしょう?:)(音響心理学で説明がつくのかな?)

まぁつまり、CだFだ言ってる時点で、、いや市販の楽器やツールを普通の使い方している時点で理論を踏まえてるんですよ結局。。。( ´•▽•` )

Steve Vaiが1オクターブを16フレットにした特注ギターを使ってましたが、これくらいやってくれないとね。。。w

まぁそういう訳で、音楽理論を学んでも結局は感覚で曲を作ります。ですがその感覚とは「理論という根拠を持った一つ上の感覚」の事で、ある程度体得すれば即座にコードの目星がつくこと、選択肢の幅が多い事、開拓できる能力が上がるのと、例外が本当に例外であるか見極めることが出来る様になります。つまり編曲能力が格段にアップします!

そういう意味で理論は学んだほうが良いですが、理論を超える挑戦も忘れちゃいけない、というのが自分の意見です。

あとtwitterにも書きましたが、コード進行を学びたい方は「コードの機能」を覚えるだけでも基礎が出来上がり、残りはほとんど応用(転調時のつなげ方など)なので、コード進行の半分を覚えたも同然だと思ってます。ほんとオススメだから是非!

うーん、やっぱり長くなった。。。w

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