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「虚夢」  薬丸岳

 著者が繰り返し書くテーマである犯罪を犯しても通常の刑罰で裁かれない人々のお話。今回は精神障害者がテーマ。 

 三上は、統合失調症(旧名精神分裂症)である犯人により幼い娘を殺され、妻は重傷を負わされる。ショックで精神を病んだ妻と離婚し一人糊口を凌ぐ彼の元へ、元妻より犯人を見たという連絡が入る。果たしてそれは妻の見た幻であろうか‥‥。 

精神障害者でも皆が危険な訳ではない。だが、他人がその病んでいる精神を窺い知ることは難しい。一方、無辜の被害者を作ることは避けなければいけない。答えは一つではない重い課題。

 賛否はあるだろうが、精神病も病の一種と考えると、精神の定期健康診断を導入して、精神を病みつつあると人や現に病んでいる人の現状を把握する様なルーチンは作れないだろうか?アメリカあたりだと、定期的に精神科にのカウンセリングを受けることは特殊なことでなくなっているらしいが。

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