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EP 「White Ark」全曲解説

こんにちは。シャル坊と申します。ボカロ曲を作る人です。
この度「White Ark」というタイトルの6曲入りEPを各種ストリーミングにて配信しましたので、例によって(?)全曲の元ネタやら制作背景やらを語ります。
ぜひ聴きながら読んでくださいね。

最後に関連曲のプレイリストもありますので、そちらもどうぞ。

1.「白い方舟」 - 初音ミク

2020年の12月にこの曲ができて、いろんな方に聴いていただけたり、年間ボカロ☆☆選に挙げていただけたことがEPを纏めるきっかけになりました。
SNSなどで感想をくださった皆さん、本当にありがとうございます。

曲のメインのコード進行は、I - VII♭ - IV - I という、ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」などでみられる形式。
私の世代だと、プライマル・スクリームの「ローデッド」で耳にして、フリッパーズ・ギターの「奈落のクイズマスター」でも馴染みのあるコード進行です。
マドンナの「エクスプレス・ユアセルフ」やレディ・ガガの「ボーン・ディス・ウェイ」なんかもそうですね。

冒頭のアルペジオは、Cadd9 - B♭add9 - F とナインスの音を絡めています。
そこからキック、ハイハットの打ち込みが加わりメカニカルな感じに。

歌メロは、初期のジョニ・ミッチェルとかジョーン・バエズとかのフォークシンガーをイメージして作りました。
私は曲のアレンジとか大まかなミックスが仕上がったあとで歌メロと歌詞を考えるのですが、冒頭あたりはオケのフォーク要素が強めだと感じた結果仕上がったメロディーです。
私の力量不足でできなかったのですが、ハイトーンをファルセットにすればよりフォークの色あいが深まるかも。

ハモリとベースが加わってからは、先述のプライマル・スクリームのサブメロぽい感じに。
「ローデッド」「カム・トゥゲザー」「アイム・ルージング・​モア・ザン・アイル・エヴァー・ハヴ」などの風味で。

続いてサビに入ろうとしたのですが、思いついたメロディーにミクさんのキーがハマらず、リック・ウェイクマン風のサイン波シンセリードに差し替えました。
トゥットゥル・トゥットゥルというコーラスは、トップノートが上がりきらないようにルートのオクターブ上から長7度に半音ドロップさせています。

コード進行が変わって次の展開は、フランシス・レイやポール・モーリアなどイージーリスニングのテイスト。
先ほど歌メロは後で考えると書きましたが、この箇所は最初からハープシコードでメロディを入れていて、結果的に歌メロとユニゾンになっています。
よく聴いてみると、ハープシコードの音数が歌詞よりも一個多かったりして。
ここで思い浮かべた情景は、クロード・ルルーシュ監督の映画『男と女』(音楽は勿論フランシス・レイ)で、船旅に出る前の海辺の記憶っぽさを出すために歌声に変なエコーをかけています。
使ったエフェクトは、Valhalla Super Massive です。唯一無二のディレイを駆使できますよ!
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続いてキーが嬰ヘ長調(F#メジャー)に転調し、ミクさんのピッチが歌メロにハマります。
サビの歌い出しがミ♮ファ♮ファ♯と半音きざみなのに不気味にならず元気に歌ってくれました。
さらにスネアが四つ打ちになって、コーラス・拍裏を刻む上ハモなどと合わせて6人のミクさんの合唱です。

年末に作った曲なので、歌詞は一年を総括するようなもの、なおかつ個人的になりすぎないよう配慮しました。
新型コロナウィルスの影響で、当然我が家にもあれやこれやあったわけですが、「♪過ぎ去っていった今年の日々」とだけ言うことで、どなたにもあるそれぞれの想いや記憶を歌にしています。

タイトルに入っている「方舟」からノアの方舟を連想される方も多いでしょう。
旧約聖書に出てくるノアの方舟は木製なので白くはなかったでしょうが、ノアが洪水が止んだか確認するために放った鳩が咥えてきた「オリーブ」、地上に戻ったノアたちを祝福するためにかかった「虹」といったモチーフが歌詞に出てきます。
この歌で洪水に相当するのはコロナ禍。方舟に乗っているのは私たち。白は医療の象徴。すべての医療従事者へのエールと感謝、全人類が彼らに守られていることへの私なりの表現です。

また、「想いの欠片(カケラ)」という言葉で音ゲーの「プロジェクトセカイ」を想起させるかも知れません。
実際私はプロセカを下手くそながらプレイしていますが、すべてのノーツをパーフェクトで叩いたときに出る「ALL PERFECT」の文字が虹色に光って見えたことから「♪輝く虹 目指し 突き進め」という締めの歌詞になっています。

2.「サニーサイドテラス」 - 初音ミク

この曲は、カーティス・メイフィールドの「トリッピング・アウト」のビートをポップスに落とし込めないかと試行錯誤したものです。

当時の私のツイート

山下達郎の「あまく危険な香り」が1989年なので、日本では彼が先駆者なのかな?

ボカロ界では、キュウ_91さんもこのビートについて言及されています。

丸サ進行としても知られているJtToU進行とTOビートの組み合わせ、結構合いそうな気がします。

私は「トリッピング・アウト」の曲内さまざまなパターンで現れるギター、ベース、ドラム、キーボードのパーツを一旦バラバラに分解して、私がいつも使っているようなポップスのコード進行に嵌め込んでいきました。

イントロはエレピのリフにギター、ベースがそれぞれトリッピング・アウトの異なるパターンでアクセントを付けています
エレピ:16ビートの3/6/8/11に高い音(8はシンコペーションで9に繋る)
ギター:16ビートの3/9/13にアクセント
ベース:16ビートの1/6/9/にアクセント

Aメロ前半は白玉弾きのエレピとシンプルなドラムでシティポップ感を、後半はイントロに近い構成でビート感を打ち出すとともに、ミクさんのボーカルもダブリングして厚みを加えています。

続くBメロに相当する展開は、アズテック・カメラの「スティル・オン・ファイア」のビートを引用。
転調からのクリシェ、のようでクリシェじゃない一風変わったメロディーとコードの組み合わせ。
たぶん初めて聴いたら居心地悪そう。
普通のクリシェにすればよかったかも…と思いつつコレでOKにしました。

サビではエレピとギターはトリッピング・アウトのビートに戻り、ベースはオクターブ奏法使ったりして少々ファンキー。なのに歌メロがポップスの風味、ってモータウンを意識しました。
キメのブレイクはネオアコとかフリッパーズに近いなと思ってもらえたら嬉しいです。

2番に入り、下げAメロのあと突然大サビが始まりますがコレは私の曲ではよくある展開。いろんなメロディーを聴いてもらいたいのです。
ここも基本はトリッピング・アウトのビート(そろそろ名前が欲しい)。
サイン波シンセで裏メロが奏でられてスペイシーなおかつアーシー。90年代Jポップ風なのかな?
そして最後のサビに向けて強引な転調。

歌詞ですが、私の曲で「ラジオ」と出てくれば京都のFM、α-STATION だと思っていただいて間違いないです。
この曲を作ったのは梅雨明け宣言のまだ出ていない頃。
梅雨なのか夏なのか分からないけど晴れたり曇ったりする天気を、彼氏と別れたのかな?別れてないのかな?という心模様に合わせて描きました。

3.「神様のキャスティングコール」 - GUMI

なぜだか妙に書きたくなる海の歌。
2020年は4月に「夏空リメンバランス」という曲をミクさんに歌ってもらったのですが、そのアナザーサイドとしてGUMIさんに歌ってもらったのがこの曲です。
いつもイラストを描いてくれる娘には「リメンバランスと同じ海の背景で」と発注しました。

この曲を作った2020年6月に一番聴いていたバンドは、ザ・キュアー。
フロントマンのロバート・スミスが(私の大好きな)デヴィッド・ボウイに対して「アルバム『ロウ』を発表した後に死ねばよかった」と言ったとか言わなかったとかいう都市伝説があり、これまで敬遠していたバンドです。
しかし、筋肉少女帯のギタリスト本城聡章さんが昔おすすめのバンドとして紹介していたこともあって、ちょっと気にはなっていました。
で、Spotify でザ・キュアーの曲を聴きまくった結果、リズムギターとかに影響を受けて出来上がったのがこの曲です。

イントロは、ザ・キュアーの「フライデー・アイム・イン・ラヴ」をちょっとだけ意識。エレキギター2本とアコースティックギター1本でアルペジオとストロークとメロディーをかき混ぜた感じに仕上げました。

Aメロは、私の曲で多用される I - III7 - VIm 系のコード進行から始まりますが、今回はテンションノートを加えて ↓ な感じです。

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絶対音感のない私ですが、コードの響きに対してちょっとした共感覚があり、なかなか言語化するのは難しいのですが例えば「メジャーは明るい」「マイナーは暗い」「メジャーセブンスは爽やか」みたいな一般的に感じ取られるもの以外に「セブンスは挫けそうな心」「マイナーナインスは立ち上がる力」みたいな何とも微妙な聴き取り分けをコードごとにしています。

それらを歌詞に重ねていくので、「♪出逢ってから二年の」:メジャーセブンス(爽やか)→「♪時が流れて」:セブンス(挫けそうな心…何かあったのかな?)→「♪今年も海に」:マイナーセブンス(惰性…嬉しくないのかな?)→「♪着いたの-」:セブンス(挫けそうな心…やっぱり頑張ってたんだ)→「♪-に」マイナーセブンス→マイナーナインス(立ち上がる力…何があったのか知らんが頑張れ)というような流れで物語を作っていきます。

Aメロの2回目からは「♪パウン・パウン」というビーチボーイズ風のコーラスが加わってきます。
そもそも私がVOCALOIDを手に入れた契機がこういったコーラスを自作の曲に入れたいなと思ったからなんです。
まさかメインのメロディーまで歌ってもらってキャラのイラストを娘が描いてニコニコ動画に投稿するなんて夢にも思いませんでした。

Bメロのギターアルペジオもザ・キュアーの影響下。
バックで鳴っているサイン波シンセリードと16分音符のシンセシーケンスの組み合わせは、私がよく使う様式です。

サビは王道クリシェ。ここで王道パターンを使ったから次作の「サニーサイドテラス」は邪道クリシェもどきにしたのかな?
それはさておき、クリシェに対してどんな歌メロを差し込めるかという可能性に色々挑戦し続けています。過去の曲でいくつも使っていますので、よかったら動画サイトなどでお聴きくださいね。

2回目のAメロ、ギターは前半固定アルペジオ、後半ストロークで、自分が弾いて気持ちいいパターンです。

続いて大サビ。「♪黄昏の渚から〜」で時間軸を進め、「♪恋人が駆け出す」のコード進行は「ヴィクトリー進行」とも呼ばれている定石の盛り上がるパターン。そのままギターソロへ。

最後のサビにかけて半音上昇の転調を繰り返し、GUMIさんの歌声が絶唱に達して曲は終わります。

とまあ、色々小技を詰め込んだ割には曲の流れも良くて聴きやすい仕上がりになったのではないでしょうか。

4.「エテルニテ」 - GUMI

エテルニテとはフランス語で永遠性・永続性という意味。英語の eternity ですね。
例によって曲を作ったあとに歌詞を考えるので、タイトルは最後の最後に決めました。
今の時代、一度公開された作品は永遠に残るよ、という歌です。

私は、というか誰でも、体調によって聴覚が変化するので、ニコニコ動画に投稿したバージョンは少しハイカット気味。
ストリーミングのバージョンは高域がクリアになるようちょっとだけリマスターしました。

元気な歌、ポジティブな歌は、GUMIさんの Natural Sweet がよく合います。
でも、そういった曲の引き出しってあまり持ち合わせてなくて、いつもコード進行 I - III7 - VIm - (Vm7 - I7) のパターンを使いまわしてしまいます。
逆に、このコード進行でどんなメロディーがつくれるか?が主眼になってきてる恐れすらあります。 今回はAメロもサビもこのコード進行。

最初にできたのは、冒頭で歌う「♪ぱーぱらっぱっぱっぱっぱらら」のメロディー。
スキャットだと良かったのですが、仮の歌詞を入れてみるとどうも元気が足りない。そこで、歌メロのサビでは転調してキーを上げました。

あと、私の曲では意外と少ない強起(小節の頭と歌メロの頭が重なる)のメロディーなので、平歌からサビに持っていくとき何か物足りない気がして、参考に色んな曲のサビ始まりを聴き比べました。
その中で最もしっくり来たのが、ブライアン・ウィルソンの「ユア・イマジネーション」。
サビ前の「'Cause you know it's just」の部分を拝借しました。内緒です。

2番のAメロ前半は、私の曲には珍しいピアノでの裏メロ。
もっと細かいフレーズをリリースカットピアノでやれば今風になったかもしれませんが、私がイメージしたのはデレク・アンド・ザ・ドミノス「いとしのレイラ」の長いアウトロ部分。
続く後半は1番と異なり、マイナークリシェの進行。
この展開は、kemuさんによるGUMI曲「地球最後の告白を」から影響を受けました。

大サビでリズムを刻むエレピとストリングスがうっすら入ってきて、終盤に向けてロイター板みたいな役割を持たせています。

ラスサビの「♪遠く近くの星が瞬いて」は、小沢健二さん「天使たちのシーン」の歌詞「♪遠く近く星が幾つでも見えるよ (018-9514-1)」からの引用。
この超名曲、大槻ケンヂさんもオリジナル歌詞でカバーしているので必聴です。
(小沢さんは、ライブでは歌詞を変えています)

ラスサビ後の"歌メロを楽器が奏でて締める"のは、私の大好きなパターン。
アイドルポップスとかで使われるとゾクゾクってなります。

5.「もつれあう糸」- 初音ミク, GUMI

この曲を書いたのは、まさに最初の緊急事態宣言のさなか。
学校も休校となり、街がゴーストタウンとなっていた時期でした。
この状況をリアルタイムで何か形にしておきたい、という想いでできた曲です。

家にいる子どもたちに「リモートの授業どう?」「友達とどうしてる?」などインタビューして、歌詞のストーリーに盛り込みました。
また、「今やりたいことは?」と聞いて「映画観に行きたい!」「ゲーセン行きたい!」「カラオケ行きたい!」「焼き肉食べたい!」といった反応を元に、中盤の掛け合いの歌詞を作りました。
「♪なんとなくブラブラフラフラしてみたい」は、娘が実際に言った言葉です。

その頃私がよく聴いていたのはプリンスとザ・スミスで、この曲にも影響が表れています。
イントロ初っ端の Fadd9 のアルペジオからしてジョニー・マー風。「アスク」のリフに近いような。なんとなく。

Aメロパートもザ・スミスの要素がたくさん。
「ドレイズ・トレイン」をベースに「バーバリズム・ビギンズ・アット・ホーム」などの風味を加え、後半出てくるミクさんによる裏メロは「ビッグマウス・ストライクス・​アゲイン」ぽい感じに。

サビに続くラップパート、ミクさんによる前半はプリンス「アート・オフィシャル・ケイジ」の影響、GUMIさんによる後半はサニーデイ・サービス「若者たち」を意識しました。

「♪今、空は蒼ざめ〜」のところの変なコード進行は↓こんな感じ。

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例によって先に演奏を入れてしまっているので、歌メロを作るのにちょっと苦労しましたが、ミクさんとGIMIさんの掛け合いにすることでいい感じになったと思います。

最後に「♪ 5年後くらいに『あの頃はどうだった?』って想い出を語りたい」と歌っていますが、実際2025年にはどうなっているでしょうか?

なお、5年という数字はデヴィッド・ボウイの「ファイヴ・イヤーズ」から拾ったもので、医学的・社会学的な根拠はありません。
ちなみに、ボウイの歌詞は「…人類滅亡まで、あと五年…周りではこんなことが起こっている」というものです。

6.「ジュピター・キック・ラヴェンダー・ミラージュ」 - 初音ミク, GUMI

最後の曲はメドレーです。
・Jupiter
・Kick
・Lavender
・Mirage
と並べて書くと判りますが、頭文字がアルファベット順の J,K,L,M です。だから何だって??

まず「ジュピター」パート。
こちらはモーツァルトの交響曲第41番ハ長調<ジュピター>第4楽章を元にしています。
なーんにも考えてない時、クラシックの名曲を勝手にギターアレンジしてポロロンと爪弾くことがたまにあるのですが、鼻歌で歌詞までついてミクさんGUMIさんの歌声を入れたらいい感じに仕上がって、じゃあ投稿しよう、でもこれカバーなのか?オリジナルではないけど…尺も短いし…で、メドレー曲にして投稿することを計画しました。

「キック」パート。
前のパートがアコースティックなので、反対のイメージのスタジアムロックっぽい感じを目指しました。
私にとってスタジアムロックといえばデフ・レパード。
プロデューサーのマット・ラングの作品を Spotify で色々聴いてみて、割とストレートめなコードワークとスケール感のある展開を模索し、いつもの私の曲とは違うロックテイストになりました。
でもやっぱりボカロなので、歌声の遊びをいっぱい入れたいってことで、「♪チュッ・チュッ」というような可愛いコーラスを加えたり、「♪ほらほーらキックキックキック」みたいなアホっぽい合いの手を挟んだりしています。
歌詞の内容は、なんとなく格闘技の世界を歌ってもらおうと思ったのですが、そんなお題であまり歌詞を考えたことないので、スタジアム入場、リング入場、試合開始、試合経過、といった感じで淡々と綴ってみました。
この時点では組曲全体の流れはまだ考えていなかったのでした。

「ラヴェンダー」パート。
この部分は、以前に作りかけていたけど一曲としてまとめられず放置していたボツネタを、メドレーの一部としてなら組み込めるかなと思って作り直したものです。
基本は5拍子なのですが、4拍子・6拍子が入り組んだ変態変拍子となっています。
私のほかの曲では6拍子は割と何回も使っていて、5拍子、7拍子なんかも出てくるのですが、ここまで変拍子感を押し出したのは初めてです。
ボカロ変拍子の会みたいなのがあればぜひ入会させてください m(_ _)m
このパートを組曲に入れた時点で、例によって歌詞・歌メロはできていなかったのですが、前のパートが「ジュピター」「キック」と決まっていたので、じゃあアルファベット順の「L」で始まるタイトルにしようと。
地方の青年が都会のスタジアムで戦いに挑み、勝ったのか?負けたのか?曲調からして夢うつつのフラフラ状態なんでKO負けしたんだろう。そのときに感じるとしたら「ラヴェンダーの香り」なのでは?という連想で、歌詞・メロディーがスラスラっと出てきました。

「ミラージュ」パート。
こちらは、タイトルの頭文字が「M」って事だけを決めて作り始めました。
前のパートがドロドロぐちゃぐちゃなので、逆を行ってカラッとポップスにと考え、プリファブ・スプラウトっぽい感じを目指してシンセの音作りを。
Aメロのコード進行は、またしても I - III7 - VIm です。ミクさんとGUMIさんの掛け合いをお楽しみください。
「ラヴェンダー」の時点で組曲のストーリーが見えてきたので、最後に向けて主人公がどうなるのかをそろそろ示さなくてはならないぞ、都会に出て負け犬になった人物はどうするのか?色々な選択がある中で、別の都会へ行くというセレクトをしました。
私自身が旅をした記憶を思い巡らせて、ああ、スーツケース持って始発のバスを待っていたな、その時の風景はモヤに霞んでいた。それを歌詞にしようとした時、歌い出しの「♪蒼い蜃気楼」というフレーズが思い浮かびました。蜃気楼 = Mirage !!整いました。
サビはストリングスも加わり、往年のブリティッシュポップス、特にトニー・マコーレイの作品を意識しました。
「♪〜見守られるように ⤵ 」と語尾をフォールする突き放した歌い方は、エジソン・ライトハウスの「恋のほのお」(作曲:トニー・マコーレイ)から。

繰り返されるサビは半音ずつ上に転調していき、最終的にハ長調になりました。おや、最初の「ジュピター」と同じ調だ。で、再びモーツァルトのメロディーに戻って大団円となりました。

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以上、"White Ark" 全6曲をセルフレビューさせていただきました。
挙げたミュージシャンや曲のプレイリストを作りましたので、気になったのがあれば聴いてみてください。

( https://open.spotify.com/playlist/7Lqg2L6pHPHIRwLDYxs9iL )

最後まで読んでいただきありがとうございました😊
また別の機会がありましたら、お逢いしましょう。

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