Chara「命のまつり」その27~精神科病棟の記憶、自殺予防週間に想う
9月10日、自殺予防週間に想い出す出来事
精神科の開放病棟で働いていた時のこと
ある日曜日、お昼ご飯を食べにこられない患者さんが1人いた
開放病棟なので外出時間内は自由に外出ができる
しかし、ステーションに届け出がない・・・
そうこうしているうちに警察から病院に電話があった
60代から70代くらいの男性が車に轢かれた
上にある橋から道路に飛び降りて、そこで車に轢かれ亡くなったようだと
たまたま電話をとった私は「はっ」とした
持ち物や風貌から、外出をして不在になっている患者さんかもしれないと思った
警察からの確認要請もあり、患者さんの写真を持って警察署に向かった
私の不安は現実になった
入院患者さんだった。その患者さんは普段から足が悪く杖を使っていた
杖に名前が記してあった
警察の方から、身元を証明するものは何もなかったが手紙を持っていたと言われた
その手紙には「この男、自殺につき、運転者には何も関係はありません・・・・」というようなことが記されていた
私は「うっ・・・・」と声をだし泣いた
何もこの患者さんのことをわかることができなかった
普段から物静かで控えめで、淡々と生活していた人
気づけなかった・・・・何もできなかった無力感でたたずんだ
そして、最期まで人に迷惑をかけないよう手紙を書いていた
車の運転手への配慮が伝わってきた
患者さんの人柄と優しさを感じて涙が止まらなかった
しばらくして、ある看護師がこんなことを思い出した
普段、杖で歩いているのに車椅子を貸してほしいと言ってきたと言う
どうしたのか聞くと「車椅子の生活はどんなもんかなと思って・・・・」と
言っていたそうだ
患者さんなりに、自分の体のことや将来のことを考えていたのかもしれないと思った
もしかしたら、これが何等かのサインだったのかもしれない
けれど、私たち看護師は気づくことができなかった・・・・・
無力だった・・・・
心を病む人に寄り添うとは・・・
精神科看護師として私に何ができるのか・・・・
自問自答する経験となった
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