事故発生。
昨日の朝。
出社すると、厨房入口のホワイトボードに、食事箋が貼られていた。
食事箋とは、お客様のその日の情報が書かれた連絡書のようなもので。
そこには「金井様〈仮)ご逝去」とあった。
場所柄そういうことも当然あるので、さほどの感情は動かなかったが、そのお客様がいる棟はワタシが配膳の担当だったので当然お顔は知っていて。
そのお客様は、見た感じまだお年寄りって年ではなさそうだったが、たぶん脳障害か何かを患っているんだろうなぁ、とは見てて思っていた。
急な寒さで、疾患の再発でもしたのかなぁ。昨日まで元気だったのになぁ。。。
と。
他には特に連絡事項もなく、淡々とBさんと業務をこなしていたところ、定時よりもはるかに早い時間に上司が出社してきた。
事務仕事なんかで早く来ることも多いのでさほど気にしていなかったのだが、上司が厨房に入って言った。
「昨日、誤嚥事故があって。
あ、食事箋あった?あ、そうそれ。金井さん。」
マジか( ゚Д゚)。
年末から、他センターでのそんな話が何度も出ていた。
やれ、刻みの人に間違えて一口大が行っただの、やれ、茶碗蒸しの中の具を小さくするのを忘れただのなんだのかんだの。
思い出すと、その手の事件の話をこの半年で5回は聞いたと思う。
ちょっと多すぎね?と思ってた矢先、とうとう自分の職場でそんなことが起きてしまった。
前職でも、他センターで誤嚥事故があって大変な騒ぎになったことを思い出す。
裁判にもなって、たぶん相当の慰謝料請求を会社が求められて、その後、提供不可能になった食材とか、仕事のやり方もかなり変わって現場も大混乱した。
その時の自分の気持ちを思い出すと、もし、自分がその日の調理担当で、自分が作ったものを食べたお客様が亡くなったとしたら。。。
想像するだけでぞっとする思いで身震いした。
が、今の会社。
何度も何度もそんなことがあるのに、やっぱりそういうのが続くのってどういうことなんだろう。
そもそもその後、大騒ぎになったりしてないのが不思議だ。
老人ホームって、どこでもそうなの?
誰か教えてほしいわ。
昨日の夜の調理はDさんが担当だった。
ワタシも夜の副菜なんかは作っていたので、冷静にメニューを思い出し、何か引っかかるようなものがなかったか思い出していた。
ワタシが作ったのは、もやしの炒め物と春菊の和え物なので、一口大の大きさはクリアしていた。
問題は主菜の玉子焼き。
Dさん、ちょっとズボラさんなので、よもや規定サイズ以上で提供してしまってないだろうか。。。
上司、その事件のことがあるのか、いつもよりちょっとイライラしてる様子だったので、あまり詳しく話を聞くことが出来なそうで、昼までは黙っていた。
昼のパートのBさんが退勤した後、
「何がひっかかったかわかったんですか?」
と尋ねたところ、わからないとの返事。
金井さんは脳の障害のせいか、ご飯をかきこんで食べる癖があって。
見守りのヘルパーさんが注意してる姿をワタシも見たことがあるので、それがたぶん原因だろうと上司。
わからない、かぁ。。。
さすがにDさんも気にしてなのか、休みなのに上司に連絡はしてきたそうで。
その時に、卵焼きのカットサイズについても話したようなのだが、彼なりにはちゃんと規定サイズでの提供はしたらしい。
「まぁだから、こっちに非はないってことで。そう施設長には話したし。」
う~~~~~~~~ん。
それで済ませていいのか?
人一人、いなくなったというのに。
しょうがない。
不慮の事故だもの。
ほんとにそれだけで、いいの?
やっぱりもし、自分がその日の担当だったとしたら耐えられないんじゃないかと思う。人が死んだ遠因に、自分の行動があったとしたら。
けど上司も含めて今の職場の人は、自分の責任じゃないってなれればそれでお終いにしそう。何も改善しないだろうし、何も是正されないだろうし。
食事を作って提供する。
それは相手の命に係わる仕事なんだということを、ワタシだけは、今一度肝に銘じておこうと心から思う。
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