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トウガラシあれこれ

トウガラシ栽培の記事を書いた後、もう少しトウガラシのことが知りたくなり、少し調べてみました。

辛いのは種ではない

トウガラシの一番辛い部分はどこでしょうか。

トウガラシの辛味成分カプサイシンは、隔壁という実の中の仕切りに最も多く含まれます。次に多いのが果皮です。
料理するとき、種は辛いから取って、と子どもの頃に教わった記憶がありますが、種やワタと呼ばれる胎座には、カプサイシンはほとんど含まれません。ただ、種を取ると隔壁や胎座も付着してくるため、種を取って、という説明はあながち間違いとは言えないかもしれません。

同じトウガラシ属のピーマンで図解

鳥を呼ぶ赤い色

植物は、実が赤くなることで、熟して甘くなったことを鳥に知らせます。そして鳥に実を食べてもらい、種を遠くに運んでもらいます。

トウガラシの場合は、赤いのに甘くないわけですが、鳥にはカプサイシンを感じる受容体がないため、辛さを感じないのだそうです。
そして辛さ故に動物に食べられることもないそうです。
つくづくかしこい植物だと思います。

ところで、自然界の色はどれも絶妙な美しさを持っていますよね。
トウガラシの鮮やかな赤も、本当にきれいだと思うのですが、トウガラシが緑から赤に変わる様子は、なぜか水彩絵の具を混ぜたような違和感を感じるのです。
カプサイシンが水溶性だからでしょうか‥‥

辛さにハマる

トウガラシの辛さを感じるのは、味覚ではなく痛覚です。
ではなぜ私たちは、痛みを伴うトウガラシの辛さを好むのでしょうか。
それは、私たちの体の防御反応と関わっています。

痛みのもとであるトウガラシを早く消化、分解しようとして、我々の体は胃腸を活発に動かします。それが食欲増進につながります。

また、カプサイシンによる痛みを抑えるために、脳はエンドルフィンと
いう鎮痛作用を持つ物質を分泌します。このエンドルフィンは、脳内麻薬とも呼ばれ、多幸感をもたらします。
結果的にトウガラシを食べることで、陶酔感を味わい、やみつきになる、というわけです。


参考文献:稲垣栄洋『世界史を大きく動かした植物』PHP研究所/2018年

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