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消えたスイカの謎

晩酌して、ほろ酔い気分の相方さん。
夕食中も、子供達との会話が微妙に噛み合わず、ちょっと飲み過ぎじゃない?と気になります。

夕食後、お風呂に入っていたら、玄関先で話す声が聞こえて来ました。
どうやら、お隣さんが何かお裾分けを持って来てくださったようです。

何を持って来てくださったんだろうと思いつつ、風呂から出たら、
相方さんが、息子を巻き込んで一階と二階をうろついています。

スイカがない!

お隣さんからスイカをいただいたのだけれど、どこにもないのだそうです。

「どんなスイカ?」
「半分だったと思う」
「半分?それ、外に置いてあったらまずいでしょう。アリが来るし」
「外にはないよ。
だってうちのメロンをお礼にあげたから。
二階までスイカを運んで、それからメロンを持って行ったんだから。」

探す場所は、だんだん広範囲に及びます。

「二階にはないよ。冷蔵庫に入れたとか。いや、ないねぇ。
野菜室にもない。ひょっとして冷凍庫?いや、ないなぁ。」
「レンジの中に入れたととか。」
「まさか!」
「だって、スイカ半分が入る場所なんて、他にないよ。」
「じゃあ、外に置き忘れたんだよ。きっと。」

さらには、こんな疑惑まで。

「お隣さんがメロンと一緒に、また持ち帰ったとか?」
「そんなわけないでしょ!」

ここに至って、息子がスイカのサイズに言及し始めます。

「スイカって小玉?それとも大きいやつ?」
「小玉でもなく大玉でもなく、中くらい。」
「中くらいのスイカが半分かー。」
「いや、半分じゃなかった気がする。まるまる一個だった。」
「ちょっとー。さっき半分って言ったよね?」

どんどん変わる情報。

おいた場所だけならいざ知らず、スイカ半分か、一個かさえ覚えていないなんて、もう!ちょっと飲み過ぎだよ!
あきれた私は、早々に探し物から離脱。
相方さんも、あきらめて座り込んだ矢先。

最後まで探していた息子が、とうとう発見しました。

「スイカ、あったよー!一階の廊下のダンボールの中にあった。」

見れば、立派な大玉スイカがまるまる一個。

在宅勤務が多い相方さんが、梱包用に取っておいてある、緩衝材入りのダンボール箱。大きなスイカが転がらないように、無意識のうちにそこに入れたのでしょう。

二階にあるはずの、中玉スイカ半分が、最後は一階のダンボールの中にしまわれた、大玉スイカ一個に姿を変えた瞬間でした。

さてその後。

スイカを冷蔵庫に入れようと苦戦していた息子が、結局あきらめて、代わりに、冷えたスイカを冷蔵庫から出して来ました。

「スイカ食べていい?
今年の夏は、スイカがたくさん食べられて幸せだー。」

いただいたスイカを目の前に置きながら、幸せそうにスイカをかじっています。

「おいしいよね。スイカ。
知ってる?俺が一番好きな果物、梨なんだよね。」

スイカを食べながら、なぜ梨に言及?

こんなドタバタ騒ぎの中、京都の友人が、こんなメールを送ってくれました。

「速報です。
大文字点火!」

いただいたスイカも、大文字焼も、お盆の一コマ。

お盆が終わると、皆それぞれの場所へと帰り、またいつもの日常生活が始まります。

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