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第二ボタン

中学2年生の時に好きな人ができた


彼女は1学年上の先輩
彼女の特徴として生徒会の会長、バレーボール部 部長、ショートカットがよく似合う和風顔美人
一言で表すなら「マドンナ」そんな女性を僕は好きなってしまった。

僕は彼女と話す方法を考えた末に、生徒会に入った。遠回りの様な気もするが、SNSもない時代
それだけ1学年上のマドンナと話すにはハードルが高かったのだ。

彼女に近づく為の僕の作戦

・生徒会に入る
・生徒会室に入り浸る
・弟的なポジションで彼女に近づく


などが僕の立てた作戦だった。

そして半年後には、
彼女が家庭科授業で作ったクッキーを渡しに教室を訪ねてくるという様な間柄までになっていた。
クラスの男子からの羨望の眼差し、その後に事情聴取からの、散々いじられたのは青春の良き思い出である。

ただ弟的なポジションに収まったために、肝心の告白するというタイミングを完全に見失っていた。

何度か生徒会室で2人っきりになるタイミングも何度かあったが、いまの関係性を壊してまで自分の気持ちを伝えることは僕にはできなかった。

そんな月日が経って彼女の卒業式が近づいていた。
生徒会会長の彼女は卒業式で答辞を読むことになっていた。
そして僕は在校生代表で送辞を読むポジションを掴んだ。生徒会内で立候補性だったが、立候補して勝ち取った。

卒業式まで何度かリハーサルがあり、彼女と少しでも多く時間を過ごせると知ってての立候補だった。僕は最後のチャンスだと思っていた。

そんなリハーサルの時に2人で待機時間があった。

僕は彼女にネームプレートが欲しいと打ち明けた。

説明すると

僕の学校の制服は男子が学ラン、女子がブレザーそしてネームプレートを着けるというのが校則の学校だった。ネームプレートは学校支給のものなので1個しか支給されなかった。
好きな先輩、憧れの先輩のネームプレートを貰うことが伝統になっていた。
第二ボタン=ネームプレート の様なことだ。

つまりは、憧れてました。好きでした。と遠回しに伝えてる様なものだ。

ただ彼女は学校のマドンナ、僕の1個下の後輩から半年前に予約が入ってるという。
彼女は話を続けた
その予約後輩ではなく僕にネームプレートを持っていて欲しいと伝えてくれた。嬉しかった。

ただ彼女は予約後輩に伝え辛いという、
僕はこんなチャンスは逃せないと!
彼女に僕が予約後輩に譲ってくれと、直接交渉しに行くからと半ば強引に伝えて、行動に移した。

後日、彼女は予約後輩に代わりにとミサンガをプレゼントしたと聞いた。

卒業式当日

緊張したが、送辞は滞りなく僕は役目を果たした。
卒業生のすすり泣く声がチラホラ聞こえ始めた式の終盤。

そして彼女の答辞の時間がきた。
すっと伸びた背筋、体育館に響き渡る声、すごく大きな背中に見えた、やっぱり彼女を好きになってよかったなと思った瞬間だった。
その後に歌などがあり、式はクライマックスをむかえた。

僕はネームプレートをまだ受け取ってはいなかった。

卒業式後は、在校生が校庭で花道をつくって送りだすというのが式後の流れだった。
これは保護者も同伴で、部活動毎に花道をつくる。
僕はサッカー部、彼女はバレー部
輪の中心に彼女の姿があった。このタイミングに
1人でバレー部に出向く勇気はなかった。

完全にタイミングを見失っなった。

彼女は遠くにいて目で追っかけたものの、一旦忘れて僕も部活の先輩を胴上げなどして、送り出しに専念していた。

ふと、自分のポケットに手の感覚を感じた。
振り返ると彼女がそこにいた。
ポケットの中にはネームプレートが入っていた。

そして彼女は、いつもの笑顔で第二ボタンをちょうだいと僕に伝えた。

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