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【映画の感想#8】カツベン!

大正期の映画は、まだ音声が出ない無声映画で、それに音楽や解説を加えて上映していたらしい。この作品は、映画を解説する活動弁士(カツベン)にスポットを当てた内容となっている。予告を見てコメディタッチで面白そうだったし、何より成田凌の初主演という事で見てみた。

見る直前に周防正行監督の作品って知った。周防監督作品は「シコふんじゃった」「Shall we ダンス?」ぐらいしか見ていないけど、良くも悪くも古き良き邦画を撮る人。面白い部分もありつつも飽きる部分もあり、特別好きな監督さんではなかったので少し楽しめるか不安があったけど、前に見たのは20年ほど前。作品も変わってるんじゃないかと期待してみる事にした。

結論から言うと、思った以上に楽しめた。この作品の主軸であるカツベンのシーンが本当にみんな上手だった。映画の中で演じられる映画を楽しみ、スクリーンの中で客が笑うと同時に、見ている我々も一緒に笑うというシンクロ感が味わえるのがいい。ストーリーも純愛ものをベースに、伏線と回収がテンポよく行われていて楽しい。いつも悪ふざけして作品を壊す竹中直人も、今回はちょうど良い塩梅で良い演技ばかりしてくれる。

このまま終わって欲しかった。でも終盤にやらかしてしまった。恐らくこの映画自体を大正期の映画のようにしたかったのと、最後のオチが思いついてしまったのだろう。もう終わりかなと思ったところから、コミカルなシーンが長々と続く。残念ながら私にはこれが楽しめない、退屈な時間だった。最後はいい感じに終わらせていたけど、このコミカルシーンのおかげでイマイチな感じになってしまった。ここが無ければ良かったのになと思ったものの、これがあるから周防正行なんだろうな。

主役の成田凌も演技の幅が広いし、何よりかっこいい。でも今回のような優しい役だと、千葉雄大と被ってしまう感じがする。成田凌は「さよならくちびる」の演技が好きだったので、もう少し年輩のかっこいい役を演じてもらいたい。ただ、今回の活動弁士の仕事っぷりは本当にお見事だった。

#映画 #感想 #カツベン #活動弁士 #成田凌 #黒島結菜 #高良健吾 #周防正行

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