売上至上主義の脱却 その2
明けましておめでとうございます。本年はnoteの執筆活動を行っていきたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いします。
私はnoteを始めて1ヶ月程度経ち、週約1回のペースで更新していますが、
初回の投稿である売上至上主義の脱却が一番反響があり驚いています。
これは私が小売業で店長をしている中で入社間もない頃からずっと思ってきた事で店長になった今、尚更強く感じている部分であります。
そんな思いの詰まったデビュー作に反応していただいてとても嬉しい気持ちと少しでも業界の常識が変わるきっかけになればと思い更に深掘りして書きます。
そんなわけで前回ではお話できなかった部分や若い頃漠然と思っていたこのモヤモヤを現在では少しは論理的に話ができるようになったのでよかったら読んでいただき共感していただければ幸いです。
ちょっと数字の話が出るのですがお付き合いください。
店舗の売上の構造
まず店舗の売上ですが、以下のように分解できます。
売上高 = 客数 ✖️ 客単価
これはイメージがつくと思います。では客数とはどのように分解できるでしょうか?
客数 = 商圏人口 ✖️ シェア
これで求められます。商圏人口とは店舗を中心としてどこまで遠くからお客様が来ていただけるかを表したものです。
例えばコンビニでしたら近くに数店舗ありますので、わざわざ隣町のコンビニ行く人はいないでしょうが、アウトレットモールなどでしたら隣町もしくは隣の県からも来る人はいます。
その建物、立地や業態によってある程度決まっているというかそれだけの規模がないと利益が出ないんですね。
シェアはわかりやすいと思います。その商圏の中で競合がひしめく中どれだけ自分のお店に来ていただけるかという事です。
では、売上高をあげたいと考えた時に皆さんが店長だったらどうします?
恐らくほとんどの方が、
お客さんを呼んで増やせばいいじゃん
と思うはずです。
ではお客様を増やすにはどうしたら良いでしょうか?
先ほどあげたように客数は商圏人口は建物や立地、業態で決まるという事ですが、基本的には店舗は店長の権限で立地や建物、選んでいませんし業態は会社が長年培ってきたビジネスモデルの根幹ですので、店長の権限で明日から違うものを販売しますなんてできません。
そう、店長で客数を増やそうと思ったらシェアをあげる事だけです。
ではシェアを上げる為に皆さんが店長だったらどうします?
・チラシを撒く
・ポイント還元セールなどを実施
・品揃えの充実
・接客向上
・スマイル0円(笑)
などでしょうか?
こちらのサイトでスーパーマーケットに関する調査の中で平日に最もよく買い物をするスーパーマーケットの選択理由というものがあります。
なんと圧倒的な理由は家から近いからなんです!!
そりゃそうですよね。コンビニでも近くて便利だから少し高いのわかってても行くわけで・・・
シェアを上げようと価格を安くしてチラシを巻いても反応してくれるのはわずか37%なのです。
私の経験上とても激安のチラシを入れたとしてもその期間だけの数値がどれだけ頑張っても103%〜105%程度までしか上振れません。
またセール後は反動で100%を切ることもありトータルで見るとそこまで効果がない事がほとんどです。
ましては接客など全く入り込む余地なんてありません。
要するに店舗で売上を上げるには限界があるという事です!!
売上至上主義の真犯人
ここまで売上を上げる事をボロクソに言っていますが、売上はやはり必要です。売上の規模がないと小売業は基本的に薄利多売ですし
(本来はSPAなどで利益率を改善していく必要があるが・・・)
売上を上げないと相対的な利益を出す事は難しいのが現状です。
私がここで言いたいのは売上至上主義を店舗の現場に求めている所です。
では売上を上げるのは誰の役目なのか?
早く教えろという声が聞こえそうなので先に言います。
売上の責任は店舗開発にある!
これにつきます。
無人島に店舗を立てるのと、銀座の一等地に店舗を立てるのとどちらがお客様が多く来られるか考えなくてもわかりますよね。
これは極端な例ですが、現実的な話だと
・店舗を立てて駐車場が確保できる土地
・商圏内人口が一定数以上いるか
・店舗の入りやすい道路事情か
・土地の値段や償却が損益分岐点を下回らないか
・近くに競合店がないか
など様々な要因が複雑に絡んでおりお客様がしっかり集客できて土地や建物の代金が安ければ手っ取り早く儲かるということです。
しかしなぜか売上が思ったように上がらないと店舗に原因を求めます。
もちろんお客様は店舗に来られているので店舗で原因の分析は必要ですが、店舗が原因では必ずしもないという事です。
しかも立地や商品自体ではなく、価格や接客などお客様の店舗選択理由の下位のものに原因を求めて改善するように指示します。
店舗の役割
では店長の責任数値とはなんでしょうか?
答えは簡単です。
営業利益を出すことです
それに必要な店舗の役割とは究極的には2つです。
・品切れをなくす
・販売経費をコントロールする
ほとんどの店舗では商品の選定はできません。ほとんど本部主導で商品を開発していますし買い付けています。もちろん要望や改善提案はしますが、それ以上は店舗の管轄ではありません。
しかしその商品を品切れさせてしまいお客様が欲しいのに買えない状態を作っている。これは完全に店舗の責任です。
また、販売に必要最低限の人件費、販売促進費などの削減やコントロールをする事で一定以上の営業利益率を確保する事、これが店舗の役割です。
これからの小売業
これまでの説明で店舗に全ての責任を取らされているみたいな感じに取られちゃうとちょっと違うんですが、企業としてお客様が減っていく要因としては大きく2つしかありません。
・立地が悪い(立地、渋滞、駐車場台数、車の停めやすさ)
・商品が悪い(品揃え、価格、品質)
変化が激しいこのご時世ですし、商品のニーズも変わっていくのでお客様が離れていく瞬間があります。
その時会社というより管理者以上経営幹部が正しく構造を理解していないと間違った対策を打ってしまいます。
その為にはもう一度どの数値がどこの部署の原因数値なのか、何を管理している部署なのかできるだけ明確に誰もがわかるようにしていかないといけないと日々感じています。
ついつい長くなり愚痴っぽくなってしまいましたが、私は小売業が好きですのでもっと物事の本質をみましょうというメッセージでした。
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