<売上至上主義の脱却>
上場の小売業で十数年勤めてきて、小売業界の話をしていく中で一番私が言いたい事が売上至上主義についてです。
結論を言うと売上に固執せず、生産性を高めて利益率を上げていきましょうと警鐘を鳴らしたいわけです。なぜそう思うのか説明します。
・小売業の構造
小売業というのは基本的には安く仕入れてそれ以上の値段で売った分が利益になるというビジネスの原点であると同時に参入障壁が非常に低いため、店舗や通販・ネットなどのチャネルや販売する商品に限らず、レッドオーシャンの領域です。
レッドオーシャンとは直訳で「血の海」とそのままで競争が激しくになるに連れて値下げ競争が発生し利益が出にくくなるというものです。
基本的に店舗を持っている小売業の場合は売上高を上げようと思ったら
売上高 = 店舗売上高 × 店舗数
で表現することができます。
皆さんが分かりやすい例として、どこにでもあるコンビニですが、セブンイレブンは今年ついに全国に店舗を展開しています。そう、今までは店舗数を増やす事が売上高を上げる手段だったのです。
アメリカには同じチェーンで数万店規模の企業が沢山あります。しかしアメリカと日本では条件が全く違います。
日本 山国 小量目買い多頻度来店
アメリカ 平地が多い(国土も広い) 大量目買い少頻度来店
ですので、アメリカの方が店舗を作る土地も多ければ人口も多い。日本とアメリカでは条件が全く違うわけです。
日本には平地があまりなく、高齢化社会で平地の人口密度が上がり山間部の人口密度が下がっています。
以上の事からこれ以上店舗を増やすのは限界に近づいています。
こうなってくるとそもそも1店舗あたりのお客様の人数も増えないので売上をこれ以上上げるのは限界に来ていると考えます。
・これから必要な事
小売業というのは売上高に固執している文化が根付いており、生産性の向上は二の次な所があります。変化が激しく、生産性や合理的な考えから逸脱している変わった業界だと思います。
会社は売上を上げるために店舗へ知恵を出すよう指示します。しかし使える資本や決定権の少ない店舗の人間ができる事なんて小手先の事ばかりです。そんな小手先でお客様が集客できる程、お客様もバカじゃありません。
これから売上を上げようとするなら「商品」に力を入れるべきで現場の知恵なんて排除すべきです。それこそ人件費の無駄です。「商品」の価値が高ければお客様が買いにこられるからです。
スマホ、ネットが普及した現代ならもっと無駄を排除できて効率的に資本を使えるはずなのにそれができている会社は少なく、できている会社は大きく業績を伸ばしています。
小売業は変化対応業と言われています。それはお客様の嗜好、ニーズが常に変化しているからです。しかし現在の特に店舗を持っている小売業はそういった変化に対応が遅い企業が多く危機感を感じています。
・まとめ
・小売業の売上規模拡大は店舗数が決めて
・売上高への異常なこだわりと各現場での知恵という小手先で対応
・商品の価値を高めるべきで現場の知恵は排除すべき
・無駄をなくし生産性の高い業界になるべき
以上です。私が常々思っている事を記事にしてみました。次回からは仕事のノウハウやコミュニケーション術についてお話ししたいと思います。
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