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木守り

我が家の近くに王禅寺というお寺があります。正式名は星宿山蓮華蔵院王禅寺。「星宿山」星がよく見える山の中だったことがうかがえます。この寺で鎌倉時代前期にあたる建保2年(1214年)に発見されたのが日本最古の甘柿と言われる禅寺丸柿です。一つがとても小さな柿ですが甘い。この柿が発見されたことで、この辺りの地名は柿生(かきお)と呼ばれます。

王禅寺の禅寺丸柿

柿は中国から入ってきたのではないかと言われていて、岐阜県瑞浪市の第三紀層から柿の化石が見つかっています。縄文時代や弥生時代の遺跡からも柿の種が見つかっています。
日本の秋に欠かせない柿ですが、茶道でよく使われる柿にちなんだ言葉は「木守り」です。
柿の収穫の時に、上の一つの柿だけ残しておいて来年の収穫を願います。
「木守りが残してあるね、鳥も喜ぶし神様も見ていてくれるかな。」何とも日本の風情です。

また、「木守」と名付けられた楽茶碗もあります。樂家の初代長次郎が造った7種の茶碗の一つです。利休がお弟子さんと長次郎の茶碗を分けた時に、一つだけ残った赤楽茶碗がありその茶碗に利休が「木守」と名付けました。
和菓子にも「木守」と名付けられたものがあります。高松の『三友堂』製。大切に残してほしい和菓子です。


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