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竹の子目

茶室とは何とも落ち着く空間であります。
正座をすると、重心が低くなり心と身体が安定します。
茶室に入り床の間を拝見したが、それは掛け軸と花を見るためです。
心が落ち着いた後に、ゆっくりと茶室全体を眺めて見る。
床の間から天井まで様々な数寄屋大工のこだわりに出会えて感嘆します。

竹の子目がある床柱

床の間には、床柱というものがあります。床柱は、様々な木が使われていてご亭主の思い入れが詰まった場所です。そして、この床柱の下の方を見ると「竹の子」「竹の子目」があることが多いです。
「竹の子」とは床柱が太くて部屋の畳に被さってしまう場合に、床柱の畳に接する部分を斜めに大きく削り取った面のことです。床柱の直径の2~2.5倍の高さとし、表れてくる木目の数を奇数とするのが定めだそうです。
「竹の子」は実用的には、畳に柱が被さることを防ぐためですが、竹の子のように「その家の子供がすくすく育つこと」「家が栄えること」そんな祈りが込められていたようです。

違い棚の海老束

床の間にある違い棚。上段には筆返しがついていて筆が転がらないようになっており、筆や冠、香炉を置きます。下段には烏帽子や巻物、硯箱を置きます。
この違い棚をつなぐ柱の名称のことを「海老束(えびつか)」や「雛束(ひなつか)」と言います。なぜ海老と雛なのかは、わからないようですが、面白い名称です。この小さくて短い柱ではありますが、数寄屋大工の丁寧な仕事が施されています。
海老束の角に三角形の切り込みが入っていることを「几帳面」といいます。これは、平安時代の几帳の柱に使ったことから名付けられた柱の細工の名称です。この几帳面が丁寧に作られていることから、きちんとしていて真面目な性格の人のことを几帳面というようになったそうです。

竹に筍の海老束
地袋のある床の間
地袋には鎧を入れる鎧櫃が入る

写真は書院造りの床の間です。床の間の左下に四角い穴が開いているのがわかるでしょうか。これのことを「狆潜り(ちんくぐり)」といいます。狆(ちん)とは、日本原産の小型犬のことです。狆がくぐれるような隙間としてこの名称がついています。狆がこの時代、殿様や貴族に愛された犬であったことがうかがえます。
狆潜りを床の間に作った本来の目的は、書院から採り込んだ光を違い棚の下側の奥までとどかせる役目を持っています。違い棚は、床の間に近い方に高い棚を作ります。狆潜りから採り入れた光をさえぎらないためです。


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