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ファッションも恋も浮世絵で伝えたい!和樂webがTikTokを運用して感じた新しい可能性

TikTok、みなさん使ってますか? 正直、30代の私にとっては未知のSNSで「キラキラした若い子たちのダンス動画が流れてくるプラットフォームでしょ(偏見)」なーんて、思ってました。

こんにちは、和樂webのディレクター鳩です。

「仕事的にも私がこの先TikTokに関わることなんてないんだろうなぁ......」なんて思っていた矢先、まさかの和樂webで、公式アカウントを運用することになったのです。若い子たちのダンス動画が流れてくる中で、和樂web、何をお届けするの......? というか、なぜTikTokを始めるの......?

2020年8月1日にスタートしたTikTokの和樂web公式アカウント。2020年9月24日現在のフォロワー数は約1900です。意外にもたくさんのリアクションをいただいて、フォロワーも順調に増えています。

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まだまだWebメディアや出版社のアカウントが少ない中、もしかして和樂webの取り組みが、これから始める方たちの参考になるのでは? ということで、TikTokを使う狙いや運用体制、動画の作り方をまるっと公開します。

▼何はともあれまずは見てくれ! TikTok 和樂web公式アカウント

ターゲットとミッション なんで和樂がTikTokに?

なぜ和樂webがTikTokを始めたのか? 編集長の答えはシンプルに、日本文化の敷居をグッと下げるため。これまでの和樂webは10代20代の若い層にリーチする術が極端に少ない状態でした(これまではnoteだけ)。しかし、和樂webのオウンドメディアやオリジナル商品などで表現しているようなポップな世界は、そういった層にも受け入れられるのではないかと期待があったのです。

TikTok上で何かアクションをしてもらうというよりも、競合の少ない今「和樂web」の若年層への認知拡大を目的とし、再生数を指標に置いてスタートしました。

コンテンツのテーマ なんで「浮世絵」?

ターゲットやミッションと同時に、発信するコンテンツに関しても編集長の考えがありました。それは「浮世絵」を使うこと。和樂webのTikTok公式アカウントでは、現在浮世絵をメインに動画を作成しているのですが、そのメリットはふたつあります。

(1)
教養系コンテンツはTikTok内にまだまだ少なく、中でも日本文化、さらにさらにその中の日本美術、浮世絵はブルーオーシャンで、オリジナリティを発揮できる。
(2)浮世絵はパブリックドメインの作品がたくさんあるため素材に困らない。

浮世絵=ブルーオーシャン=需要がまったくないのか? といえば、Twitterや他のSNSでは多くファンを獲得しているアカウントもあるので、まだTikTokにコンテンツが少ないだけなのでは? と仮説を立てて、浮世絵を攻めることにしました。

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運用ルール センス爆発、とま子の動画が鍵!

目的とテーマが決まったあと、スタッフとま子に試しに動画を作ってもらったところ、それがとんでもなくハイクオリティだったので、そのままTikTok担当に。

▼編集長も大絶賛! スタッフとま子のセンス爆発動画の一例

@warakuweb

「ポッピンを吹く女」で有名な浮世絵師・喜多川歌麿。彼の美人画の魅力はチラリズムにあり!?#浮世絵 #ukiyoe #歴史 #日本文化 #ためになるtiktok #tiktok教室 #japaneseart

♬ OOOKU~LABYRINTH~ feat. SHAKACCHI - REKISHI

最初の1カ月はとま子ひとりで運用していましたが、投稿文や動画内の文言チェックが必要なため、運用にスタッフきむらと私も加わりました。現在は週1程度、定例を開いています。

投稿本数:毎週3本
担当:1人+サポート2人(メインはとま子、たまにきむらと鳩)が制作
テーマ:今のところテーマの割合は浮世絵(90%)工芸品(10%)
1本あたりの再生時間:20〜40秒程度
素材:浮世絵の素材はパブリックドメインの作品(メトロポリタン美術館、シカゴ美術館)、国立国会図書館デジタルコレクションから
BGM:必ずレキシ(和樂の印象をかためるために)

動画の制作方法 素人でもなんとかできた

スタッフとま子が毎週3本作るのは負担がかかるだろうと心配して、きむらと私もたまに作ることに。とま子にどうやって作っているのか、手順をScrapboxにまとめてもらった結果がこちら。

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なんと!手順はほとんど書かれていない😂!

とま子に追加で質問しても、なぜだかさっぱりわからない......。とま子が感覚的に作っていることがわかったので、きむらと私(動画制作の素人)は、とま子が使っているツールを参考に独学で制作することにしました。

ということで、私が動画を作る際の手順は以下。

1.テーマを決める(例:戦国時代のBLを紹介しよう)
2.関連する浮世絵素材をダウンロードしておく 2〜5枚
3.プロットを書く。テーマに関する記事を和樂webで探す
(例:以下、Slackにメモしたプロット)

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4.音楽を決める(例:セクシーな音楽がよさそう「大奥」にしよう)
5.Keynoteにスライドをつくる要領で、動画を作る。画像を並べ、アニメーションをつける。ここでは文字入れや複雑な演出はせず、あくまで動きだけ。コツは音楽を聴きながらリズムを意識する。あとでいれる文章を想像すること。

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6.動きが完成したら動画を書き出して、スマホに送る
7.スマホの動画編集アプリ (私の場合は「InShot」)で加工をする。文字入れやスタンプ(吹き出し)、色、エフェクトなど。
8.完成。TikTokに下書きをアップロードしてキャプチャ動画をとま子・きむらに共有、確認

再生数の多い動画とその傾向

現在、最も再生数が多い動画はこちら。

@warakuweb

江戸時代髪型は、身分、年齢、職業、未婚・既婚などによって規制されていました。この2つだけでも覚えると浮世絵の見方も変わるはず!#浮世絵 #歴史 #日本文化 #tiktok教室 #ためになるtiktok #japaneseart #ukiyoe #ヘアスタイル #トレンドにのりたい

♬ HIMEGIMI SHAKE! Feat. SAITO MARAEMON - REKISHI

トレンドにのっかること、ハッシュタグの使い方がどうやらポイントのよう。コメント欄が盛り上がると再生数も伸びるような気がします。今後は、浮世絵を使って「作品解説をする」というよりも、当時の文化の中で現代でも共感を得られる「ファッション」「メイク」「恋」などのテーマを中心に作っていきたいです。

TikTokの意外な効果

TikTokを始めてまず驚いたのが再生数とリアクション数、すべての桁が、他のSNSの十倍以上あるのです。1本あたりの動画再生数は始めたばかりの和樂webでも5万程度。これからもっと伸びるはずです。もともと認知拡大を目的に始めましたが、TikTokがそれにうってつけであることを再認識しました。

もうひとつ、コメント欄でのリアクションが他のSNSと違って「みんなでワイワイ」しているのです。そのテーマに関して全くの素人の人から、大好きな人まで、みんなが気軽にコメントしていて、それに誰かが乗っかって、さらにコメントが盛り上がって。

上から目線ではなく下から目線。和樂webはあくまでテーマを提案するだけで、そのテーマについて若い世代が盛り上がる。理想のコミュニケーションの場が、小さいながらできてきているように感じるのです。


長くなりましたが、縁遠いように感じていたTikTokが和樂webの目指すコミュニケーションと合致してきて、今は作っている私たちも心から楽しくやっています! その楽しさがみなさんに伝わると嬉しいなぁ〜。和樂webの公式アカウント、ぜひ覗いてみてください!


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