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【茶畑日記】茶畑を借りました①

今年の5月。人生で初めて茶畑を借りました。

その面積、実に6反。仕事の合間にできる面積ではない。

単純なイメージ、田んぼ6枚分です。


なぜこんな面積を借りているかというと、ひとえにこの茶畑の引き取り手がいなかったからです。

元々地主さんと長年その畑を借りて、収穫していた人は別の人でした。近年の不況に伴い、大量出荷から品質重視の生産に切り替えようという方が増え、この畑の借主さんもそうしようとのことで、ここの畑は地主さんに返そうと決めたのです。

地主さんは市外に居をかまえていて、かつ茶の仕事はしていません。なので、地主さんは茶畑の管理ができないのです。

しかし、この地主さんはこの畑に並々ならぬ思い入れを持たれていました。

「なんとかあの畑を残したい。」と強く言われていました。

一方僕の方は、あそこの茶畑を借りていた方が、管理をしなくなるらしいという噂を聞いて、へー、あの畑は誰がやるのかな?とのんきに考えていたところ、もう伐根して更地にしようという話が聞こえてきました。

コスモス園から遠くに見えるあの茶畑は、上場にもまだ茶はあるよと教えてくれるようで眺めが好きでした。それがなくなると聞いて、居てもたってもいられなくなり、僕やりたいですと進言したのです。


ただ、この畑の明確な経営プランはありませんでした。

茶を育てたい、残したい、自分で収穫して作ってみたいと気持ちのみの立ち回りに、正直まわりの関係者様や僕と一緒に管理してくれる彼女も含めて迷惑しかかけていない。

それでも、あの畑に茶の木を残して、一緒に生活していきたいと思っているので、今後何とかしていきたい。そういった理由から素人ながら管理を始めました。

ということで、今年5月に「うちの茶畑」が爆誕しました!

デデーン。



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この写真は4月初旬のこの茶園の様子。すごい綺麗でした。本当に美しい。。今見ると罪悪感しかない。。この写真と11月の今の状態を比べると僕の管理でどれだけ荒れたのかが分かるので胃が痛くなります。

上やぶきた 下あさつゆ 本当にきれい!!

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まず、5月。

とりあえず草刈りから管理を開始しました。茶の木が植わっているとはいえ結構な面積です。ひたすらの草刈と、茶の木の間から伸びてくる雑草を手で引っこ抜いていきます。その作業を怠ると畑全体の通気性が悪くなって茶の木が元気なくなってしまうので春から夏にかけてせっせとこの作業を繰り返していきます。

次に6月。

一番茶の収穫後から管理を始めたので、二番茶が出てきました。茶の木は一定の周期で芽が出てきます。冬が明けてから一番目、二番目と芽が順次出てきます。芽を収穫したら次の収穫に向けて、邪魔な葉っぱが入らないように刈りならしていくんですね(以降、刈ならしのことを整枝と言います)。そのタイミングで僕たちは、茶の木の形を変えようと試みました。

理由は、今までの木の形と同じ整枝機械を見つけられなかったということでした。

整枝機械には乗って作業する「乗用型」と二人で両端をもって作業する「可搬型」があります。

乗用型は中古でも100万ほどしますし、乗用型を運搬するためのトラックや保管場所もない。近隣農家さんやJAなどから借りることも考えましたが、上場高原まで運搬するリスクと、もし万が一故障させてしまうようなことがあった場合、保証できないこと、また僕たちは仕事をしつつなので借りる日時や時間帯など細かなセッティングができないのでスケジュールが合わせられないとのことで、無理だなあとなりました。

そしたら可搬型で、今の茶の木の形のものを探そうと思ったのですが見つけられず、近隣農家さんから借りる手段もコネクションがない事や、故障させてしまった際の保証が怖いということで、どうしてもこれでなければ、、という時以外は自分たちが購入できるもので管理していこうと決めました。そうして見つけたものは昔ながらの丸い形「弧状型」の機械が見つけられました。できれば「弧状型」でない形状で管理していきたいとおもったのですが、機械が見つけられず。。


仕方がないので弧状型の機械を基準に管理していこう。となりました。


そして、弧状型の整枝機で茶の木を切っていきました。

こんな感じになりました。丸いですね。

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左の四角いのが今までの形。

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ご覧の通り上の方が黄色いですね。これは柔らかい芽の部分なのですが、これがなくなるまで切りたかったのですが、端の方が下がるので、枝がとても太くて切れず、もう一段下げられませんでした。このちょっとした積み重ねが後に響くんですよね。。


実は、この時期に気を付けなければいけないことがありまして、

6月は梅雨の時期で、湿気で特に蒸れやすく、この蒸れやすい時期に柔らかい新葉があると「炭疽病」という病気と、切って乾くまでの間に水と一緒に感染してしまう「輪斑病」があります。

病気と聞くとやばそうなイメージがありますが、簡単に言うと葉っぱが枯れてしまって、光合成が進まず元気がなくなってしまうみたいなのです。

あさつゆという品種の方は頑張って耐えてくれたのですが、やぶきたという品種は思いっきり影響が出ました。

僕たちは雨は回避できたのですが、梅雨の蒸れ蒸れの絶好調の時期に、ドンピシャで柔らかい新葉が出てしまうタイミングで整枝してしまったのです。その結果、葉っぱが枯れ落ちて光合成できず元気がない。充実した枝が育たずよくない状態に。元気のよい美味しい芽を出すためにはいい枝を育てなければなりません。

結果、いい位置・いい時期に整枝できなかったこと、今年の湿気が強かったことがかぶさり、沢山病気が出てしましました。


7月。とても順調そうに見えるやぶきた君。歓喜の僕たち。この時期に炭疽病に感染。ここから新葉が硬化してしっかりした親葉になるかと思いきや。

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8月のやぶきた君。硬くなり始めた新葉が茶色く枯れて元気をなくしていく。泣きそうになる僕たち。

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しっかりした葉っぱを付けれず枝を充実できない、光合成したくてまた新芽を伸ばすがまた枯れてを繰り返す無限地獄のやぶきた君。どんどん細い枝が増えて整わない阿鼻叫喚。泡を吹いて倒れる僕たち。

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一方あさつゆ君。7月の状態。 

頑張っている。可愛い。

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8月のあさつゆ君。そのまま元気にびょいんびょいん。多少やられてたが被害は軽傷。

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そんな感じで、草刈りと茶の木の隙間から生える雑草を取りながら見守って9月。

やぶきた君。夏が過ぎてちょっと元気を取り戻した?本当にごめんね。。

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なんでこんなに君は元気なの?いつまでも元気でいてねあさつゆ君。

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こんな感じで、たった一回の整枝で来年のコンディションにこんなに影響するなんて。と痛感しました。そして改めて普段飲んでいる茶は、茶農家さんが日々こうして天気や気候、茶の木とにらめっこして、春を迎えているんだなと、師匠のところにいたときにも思ってましたが、自分がしてみるとその重要性がよく分かりました。

また管理していくうちに、今までは農薬や肥料をふることや茶の木をまめに整枝することに対して、大自然先輩にならって、できるだけ何もしない方が美味しいに決まっていると信じていましたが、実はそんなことないな?と思うようになりました。(この辺はまた違う記事で書きます。)



そしてついに10月を迎えた僕たちは今年最後の整枝作業、秋整枝に取り掛かりました。夏から伸ばして固めた良い枝の部分だけを残して、来年の一番茶で美味しい良い芽が出るように剪定する作業なので、農家さんは来年の収入を左右する整枝なので丁寧に行いますが、僕たちはまだお試し期間のようなものなのでそこまで気負いせず。


秋整枝後、あさつゆ君。病気にやられず順調に育ったので普通に綺麗になりました。四角い形から丸い形にスムーズにトランスフォーム。

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整枝前との比較。そもそもが伸びすぎて落とすの大変。

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しかし、ここで問題発生。

またも整枝時期が早かったという事件。。

なぜこんなことになったかというと、近隣農家さんに秋冬番茶はいつから開始するのですか?(この沢山伸びた葉を整枝ついでにお茶に製造したものを秋冬番茶と言います)と聞いたところ、10月の初旬と聞いたので、じゃあその時期に開始しよう。ということで、ビシッといい高さに整枝しました。

僕たちは、秋冬番茶=秋整枝だと勘違いしていたんですね。

しかし本当の手順は、秋冬番茶で秋整枝にこぎつけるのではなく、10月初旬にいったん高めに収穫して、お茶を作る。

伸び放題の下の葉は弱い日光しか当たっていないので、突然露出して日光を受けてしまうと日焼けしてしてしまうので、日焼けを防ぐ為にワンクッション置きます。

そして10月中旬以降、寒くなるまで待ってから整枝することで日焼けを防ぎ、新芽が伸びるのを防ぎます。

温かい時期に切って芽が伸びてしまうと、来年の春のために夏から準備していた新芽が成長してしまい、冬の寒さで焼けて、元気な一番茶の芽が出ないからです。

なので本当は、初旬に茶摘み(日焼け止めの仮の整枝)天気を見て寒くなってきたら中旬以降に秋整枝。

しかし僕たち、初旬に秋整枝。

しかも今年の10月初旬はとても暑かった!夏日でした。その結果、

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ばっちり日焼けしました。お肉で言うとレアくらい焼けました。

幸い、中旬まで待って芽を観察しましたがそんなに育たず、一番茶の芽が焼けることはありませんでした。山の上の栽培地区というのが功を奏しました。肝を冷やす僕たち。さすが素人。

面積が広く、一日で全て終わらなかったので、残りはちゃんと手順通りやろうと決め、今度こそ、と中旬に高めの日焼け止めの仮整枝。あさつゆ君。

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前の写真と比べるとだいぶ高いです。


そして、5日ほど日を置いてから本整枝。丸い!あさつゆ君。

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全体像なくて分かりずらいですが。枝がほんとしっかりしてる。

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そして、今年かわいそうな目にあっていたやぶきた君。こちらも大変な目に会ってはいましたが、ちゃんと丸い形にトランスフォーム。

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やっぱり枝が細いし親葉がスカスカ。。でも思ったより耐えていた!よく頑張ったね!(歓喜)


こんな感じでこの半年、右往左往しながら管理していました。去年の状態から比較するとひどいもんですが、来年の春、どうなっているか楽しみです!

無事茶摘みを迎えられるのか?もし春にいい感じに迎えられたら茶摘み大会や、茶畑で一杯イベントやりたいですね~!来年が楽しみです!


最後に、茶の木のセクシーシーンおいておきますのでよかったらどうぞー。

わさっ。

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