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今日も、よく生きたと、自分の腕を抱き寄せた。
今日はもう、ゆっくり眠りについて。
明日はまた、忙しなく1日を生きる。
誰かの優しさに気付けないまま、垂れ流れる孤独を掻き寄せたまま。
いつかの「私」をテーマにした発表も、今の私には軽すぎると感じられるようになったくらいには、様々な事象を過ぎてきたのだと思える。
誰かに抱き締められなくとも、誰かによく頑張ったと褒められなくとも、今のあなたも、私も、十分過ぎるくらいに、よくやっている。
疲れたよな。
優しすぎたあなたの心の穴が、どんどん大きくなっていくのを、ただ茫然と見るしか出来ない事が、悔しい。この両手に、その欠片を模った靄はあるのに。

まるで夢の中にいるみたいだ。届かない。走っているのに。聞こえない。叫んでいるのに。
ただ、抱き締めて、愛している。その言葉を叫びたいだけなのに。

今日も疲れたと、肩を落とすあなたを、見ている事しか出来ない。

お日様は私達の心も、身も焦がして。
人の言葉は、私達の命を少しずつ削っていく。
足が重たくなって、美味しかったご飯も、味がしなくなって。液晶の向こうの言葉が、チクチクと、チクチクと。
自殺に関するニュースだけが、やけに鮮明に、目に飛び込んでくる。

そんな世界で、私達は生きている。

この道を歩く自分を、否定してはいけない。その道がどんなに険しくとも、どんなに暗くとも、あなたはそこに立っている。「あなたが」立っている。それが何よりも大事なんだ。道なんか、大して重要じゃない。
あなたの存在、あなたが生きている事、それだけが、何よりも。
大好きな人達を、みんないっぺんに、抱き寄せる事が出来たならどれだけ嬉しいだろう。私はあなたの苦しみの全ては、知らない。知りたいとも思わない。その傷を讃えるのは、あなた自身だから。
でも、私はあなたの素晴らしさを、知っている。

1日に1個。良い事を見つけて。
天気が良かった、頭が痛くなかった、ちゃんと起きれた、仕事に行く事がいつもより憂鬱ではなかった、お客さんに笑顔で感謝された、うんちが出た。何でも良い。
見つからなかったら、見つからない程に、そんな事考えている暇もないくらいに、ただ懸命に動いていた自分を、褒めよう。
貶すのは、もうやめよう。
愛していると、誰よりも自分に言ってやるんだ。あなたの身体に刻まれた傷も、あなたが嫌いな身体の一部も、愛していると。泣きながら叫んでやるんだ。
苦しいよ、そりゃ。嫌いな物を食べるのも、嫌いな人とずっと一緒に過ごせと言われるのも、苦しいんだから。
一番嫌いな自分を愛するなんて、一番怖い。
あなたが泣きながら愛を叫んだ時、何が聞こえる?
侮辱された時の記憶?罵倒される記憶?暴力を振るわれた記憶?自分を見せた事によって、誰かが離れていった記憶?
その奥には、いつも誰かがいる。
あなた1人が、あなたに何かをした記憶が出てくる事は、多分だけれど、ほとんど無いと思うんだ。
傷を付けたのも自分、薬を飲んだのも自分、吐いたのも自分。それなのにいつもその奥には、誰かの存在がある。

自分自身を愛してやる理由は、もう充分だ。

疲れたね。
本当に、毎日お疲れ様。
私達が歩くこの世界は、痛くて、冷たくて。どんどん私達の元あった輝きを吸収していく。この輝かしい星すら、憎らしいよな。私達の幼い頃の瞳の輝きを吸い取って、光っているように見える。
あなたの心の中、奥に膝を抱える、小さなあなたを大事にして欲しい。優しく、抱き締めてあげて欲しい。
今は出来なくとも、少しずつ、少しずつ。
ベッドに寝転んで、腕を天井に伸ばして、口角を上げて、大きく息を吸う。そう、そうするだけでいい。
明日も苦しい毎日を、奥歯が痛むくらい食いしばって生きる私達の朝は、どんな朝よりも美しい。明日が来ない事を望んだ私達に、平等に訪れてしまう朝は、どんな朝よりも美しい。
私やあなたが、自分自身を愛する為の日々を迎えてくれる、光だ。
赦そう。もう、足枷を付けて、歩く必要は無いのだから。
あなたは、美しい。私は、美しい。
愛するあなたが、明日は少し笑えますように。
おやすみなさい。

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