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心機一転となるはずが

中学に上がるちょっと前に
私の両親が転職をしました。

タクシーの営業所から
今度は生命保険会社の保養所の管理人。

キッチンと8畳2部屋の狭い家から
自分と弟それぞれの部屋が用意され
大きなお風呂と広いロビーのある
保養所での生活。

中学校生活も新しく始まり、
ここから再スタートを始めようと思って
迎えた入学式のクラス発表。

ここから3年間を共にする
クラスの仲間の名前を眺めながら
新しいスタートに心躍らせていたその時

私は衝撃を受け、たちすくみました。

そう、あの男子の名前があったのです。

昔から私をいじめていたあの男子です。

なんたる悲劇。


新しいスタートと同時に
またしてもわたしの苦悩の日々が
スタートしてしまうことになるなんて…。

初めは穏やかだった中学校生活。
しかし再び、その平穏は
徐々に徐々に崩されていったのです。

抜かれたお金

中学に上がってすぐに
母方の祖母が亡くなってしまい
学校を休んで山形県まで行きました。

しかし、1番の基礎を学ぶ
一年生のスタートから休んでしまったことで
わたしはすっかり
勉強がわからなくなってしまい、
ひどく後悔をしました。

その後悔があったので
祖母には申し訳ない気持ちはありましたが
四十九日は
小学校からの同級生の家に泊めてもらい
学校へ通いました。

わたしは親から
何かあった時のためにと
お金を渡されていました。

そしてそれを持ったまま通学したその日

親から預かったお金が
わたしの財布から消えていたのです。

『お金がなくなっている…』

『どうしよう…』

空になったお財布を見て
わたしは血の気が引きました。

「学校にお金なんて持ってくるのがいけないんだよな…」

「そうだよ…」

青ざめた顔で呆然としているわたしに
突然聞こえてきた妙な会話。 

それはあの男子と、
もう1人のクラスメイトの会話でした。

2人はわたしの方をチラチラ見ながら
だけどどことなく、
後ろめたさを感じるような表情で
話をしていました。

『他人のお金を盗む事までするなんて…』

しかし、その時のわたしは
かつてペンを取り返した時のように
なんとしてでも取り返そうという気持ちには
なれなかったのです。

お金を盗まれたと言う事が
わたしはものすごいショックだったのです。

悔しい気持ちを抱え
わたしはすぐに親に電話をしました。

「なんで学校に持って行ったんだ!!」

父には、ものすごく怒られました。

なぜこんなにも、
彼はわたしを陥れようとするのか
わたしには全く理解ができませんでした。

執拗に嫌がらせをしてくるその男子とは別に
他の小学校の卒業生で同じクラスになった
女の子からも
わたしは嫌がらせを受けました。

最初は仲良くしていたその女子は
段々とマウントをとろうとするかのように
威圧的な態度をとり始め、
わたしにだけわざと嫌がらせをしてきたり
仲間外れにしようとしてきたりしたのです。

その女子は最終的には
わたしのことを
完全に無視するようになりました。

他のクラスメイトの多くは
どちらかと言うと中立であり
仲良くしてくれる友達もいました。

お家に遊びに行かせてもらったり
毎日交換日記をする友達もいました。

しかし、
露骨に嫌がらせをしてくる
クラスメイトの影響により
私は人に怯え、人の目を気にし、
人を信じられなくなってしまったのでした。

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