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一晩だけのICU

一晩だけのICU

全然元気なのに…解せぬ…(´Д`ι)

鼻の下には酸素が流れてくる管
尿道にも管を突っ込まれ
腕は安定の点滴。

色んな器具を厳重に装備されたわたしは
ICUに運ばれました。

窓から見える外はまだ明るかったものの
あれからどのくらいの時間が過ぎたのかは
わかりませんでした。

暫くして
事件の状況や、わたしが運ばれた後の
状況などの話をするために
救急車に同席してくれた刑事さんが
やってきました。

「お母さんは残念ながら…」

わかりきっていたことですが
改めて伝えられた事で
現実である事を痛感し
そこでやっと、我に帰ったのでした。

張り詰めていたものが
急に緩んだ事で
わたしはそのまま眠りにつき
次に気がついたのは夜中でした。

最初の戦い

再度寝ようとするものの
邪魔で仕方ない
鼻の下から流れ込む酸素の
そよそよとした風が
私の鼻を刺激してきやがる…( ✧Д✧) カッ!!

そうなのです
わたしは鼻の下に付けられた
酸素の管がとにかく不快で不快で
気になって寝れなくなってしまったのです。

これな

あまりにも不快で仕方ないその管を
無理やり鼻の上にずらして
わたしは再び目を閉じたのですが…

ようやくウトウトし始めたのも束の間
酸素吸入がずれると、センサーが反応して
看護婦さんが見にきてしまい
再び管が鼻の下に戻されてしまうのです。

忌々しいセンサーめ…( ✧Д✧) カッ!!

こうなったらとことん闘ってやろうでないかと
鼻の上に管をずらしては
看護師さんに戻されての
攻防戦を繰り返し

ついに看護師さんのメンタルを撃破したわたしは
鼻の上に管を乗せたまま、勝利の朝を迎えたのでした。

「もうご自身で動いてもらって大丈夫ですよ」

身体中についていた
色んな器具を外されたわたしは
早速トイレへと向かいました。

尿道に管が入っていたことで
ずっと残尿感のような感覚があり
一刻も早くトイレに行きたかったのです。

意気揚々と立ち上がるものの
思ったように足に力が入らず
膝から崩れてしまいました。

こんなにも体力が落ちるとは…

【自分は大丈夫】

そう思っていた割りに
動けなくなっていることに正直驚きながら
トイレの扉を開けた瞬間
目の前に現れた鏡にギョッとしました。

顔中が鬱血し
眼球の白目の部分までもが真っ赤になった
恐ろしい形相の人らしき者が
目の前に立っているのです。


割とゾンビに近かった

「オバケがいる?!」

それが鏡に映った自分だと理解するのには
ほんの少し時間を要するほどに
わたしの姿は
変わり果ててしまっていたのです。

この瞬間までわたしは
自分がどんな状態になっているのか
全くわかっていなかったのです。

まさかこんな異形の姿と成り果てているとは
微塵も思ってはおらず、
危うく寝起きの一番搾りを
チビる勢いだったのでした。

先の戦闘にて弟を助けるべく立ち上がったわたしを見て
父は多少なり漏らしたのではなかろうか…。

わたしは、父のパンツの安否が気に掛かりました。


安否…

あまりの迫力に唖然としながらベッドに戻ると
主治医が様子を見ていました。

「ハリウッドの特殊メイクもびっくりなんですけど、この顔」

と、自身が受けた衝撃のありったけをぶつけると

「首を絞められたことによる鬱血で2週間もすれば治るはず」

とのことで、
思っていた以上に社会復帰にはほど遠いと
痛感したのでした。

そもそも、かなりの出血量だったにも拘らず、
意識がはっきりとして
ハツラツと動いたり喋っていたことが
とても危険な状態だったそうです。

そう、
わたしはちっとも大丈夫ではなかったのですw

全治2週間の怪我でしたが

「まぁとりあえず少しゆっくりしておきなさい」

という主治医の配慮により、
わたしの入院生活が始まったのです。


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