さいたま
社会人になって、こんなに武蔵野線に乗ることになるとは思わなかった。
通勤5日目にして一両目に乗れば座れることを学んだ。
同じ学びを得ているおじさんたちに挟まれながら、毎朝堂々と爆睡を決め込み、電車に揺られる。
埼玉のことを好きになる自信はそこそこあった。
が、
どの駅を降りても、パチンコ屋パチンコ屋パチンコ屋。
ランチを探せばラーメン屋ラーメン屋ラーメン屋。
所沢ではタクシーに道を間違えられ畑に降ろされた。
入間市ではスーツを着て歩いているだけで、振込詐欺を疑われ職質を受けた。
坂戸駅で降りた時には、サテライトオフィスはおろか、カフェもなく、仕方なしに駅のベンチで仕事をした。目の前のコージーコーナーがわたしを悲しくさせた。
西川口で意味もなく泣きそうになった。
雨は、なぜか私に向かって降ってきた。
どの駅に降り立っても、なんだか霞んだ灰色がして、もう帰りたいなぁ、と思った瞬間が何度もあった。
でも私は少し、周りの人に恵まれすぎているのかもしれない。
鳩ヶ谷の新緑が綺麗だなぁと思えたのは、
偉いね、がんばってね、こんなところまで来てくれてありがとう
と言われたから。
帰りにペットボトルのお茶、持たせてもらって、バスの方が近いから、って教えてもらって、バス停でバス待ってる時ちょっと泣きそうになった。
わたしにとって、街とはハコではなくヒトである。
ここが埼玉だろうが、アメリカだろうが、結局のところわたしにはあまり関係ないのかもしれない。
猫が土地につき、犬が人につくならわたしは間違いなく犬だ。
よってわたしは埼玉loverです。
ヒトが好きだから埼玉が好きだと、もっと胸を張って言える日は遠くないはず。
だけどごめんなさい、まだ1番好きな駅は武蔵浦和です。
でもこれは伸び代十分ということでどうかご勘弁。
乗り換え爆走して、これから何回かは職質受けながらも、きっと一年後にはすっかり"さいたマスター"になっているつもりですので、皆さま乞うご期待!
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