物語思考を読みまして

キャリア相談に来る多くの方も、そして私自身もそうなのですが、「やりたいこと」を見つけることはすごくすごく難しいことですよね。

けんすうさんのことはずっとフォローしていて、SNSで感想をリポストされているのを見て、「おもしろそう」とおもって買ってみました。

物語思考　「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術

自己分析ってなぜ過去を振り返るんだろう？

就活生だった時から過去の振り返りや好きだったことを振り返って、どうやってやりたいことを見つけられるのかがずっと疑問でした。（天邪鬼な私は結局、自己分析本も買うことなく、そうゆうセミナーに参加することもなく、就活をしました）

私が今通っているパーソナルジムでの話です。
担当のトレーナーさんと競馬の話になり、そこからトレーナーさんが「ギャンブルは嫌いだけど馬が好き」とトレーナーさんは就活の時に「好きなことを振り返る→馬が好き→北海道の牧場にエントリーしよう」と思った（けど、ふみとどまった）そうでした。馬は好きでも「走る馬を見るのが好き」で「馬を育てること」とはまた別の話ですよね。今となっては、牧場に行かずにパーソナルトレーナーに良かったと。

もちろん、人によっては過去を振り返る方法で、好きなことを見つけてそれを仕事にして成功している人もいますが、なかなか難しいですよね。
（ちなみに好きなことから振り返り、得意なことを見つける自己分析の方法はこの本に出てくる「TCL分析」の考え方は好きです。ポイントは名詞じゃなくて動詞で好きなことを振り返ることです）

苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

過去から探るんじゃないて、「自分がなりたいキャラ」から人生を転がしていく

けんすうさんは、自分を物語の主人公として、その主人公にどんな人生を歩ませたいかを考えてみることがキャリア形成として、過去を振り返るよりも「なりたいキャラ」をどんどん具体化して、「このキャラクターだったらどう判断して行動する？」を基準に考えていきましょうと。

けんすうさんのおもしろいなと思ったのが、大学浪人生時代に第一志望の大学に入学した体で、学生向けの受験サイトを運営し、大学キャンパス内を歩き回り、「この大学に入らなきゃあかんぞ」と自分を駆り立てたそうなんですね。当たり前のことなんですけど、合格が目的にするんじゃなくて、大学生になるためのプロセスが受験の合格ということですよね。
その大学生である自分の解像度をめちゃめちゃ高めて、そんな自分だったら「まずは大学に合格する」と考えて、一生懸命勉強したことが良かったそうです。

昔から経営者になろうとなったわけでもなく、過去を振り返ってもリーダーシップの高い「経営者っぽい人」だったわけでもなく、「憧れの大学生になるキャラ」がどんどん歩んで行ったら「サイトを運営する経営者」になっていき、「経営者キャラ」として歩んで行ったら、より経営者らしくなってきたと。
元の自分が、過去の自分がどうかというよりも、「なりたい自分になるために動いていったら、だんだんそうなってくる」というのはすごく面白いなと。

ポイントは、なりたい自分を想像するときに無理かもを捨ててとにかく願望に向き合ってみることや、それを出来るだけ具体的に、実現する方法を考えてみるというのもまた面白いなと思いました。

「どうせ無理だし、叶わないことは考えても意味がない」とか「自分にはできないし」と自分で天井を決めて、願望に目を瞑ってしまうことは多いので、だからこそ一回気持ちに向き合うことは大切ですよね。

そうゆう人が集まる先に行ってみる

あと私が興味深いと思ったことは、自分の常識は環境によって作られるみたいなことが書いてあったんですよね。日本は「学校を卒業→就職」が当たり前で、「卒業→起業」がそもそも選択肢として出てこない。逆にアメリカは「起業する人」が多いので、「就職」カードの方が珍しいみたいな。

やりたいことを叶えるためには、理想を実現している人の近くに行くことも圧倒的に大切と書いてました。よく相談を受ける「子育てと両立しながら働きたい」のであれば、自分の理想とする形の「両立」を実現している人が多い環境に身をおけば、できると思えるかもしれない。
逆に周りに自分と同じ状況の人がいない中で働いていると、迷ったり悩んだり孤立を感じたり、「自分にはできない」と思ってしまいそうですよね。情報って大事。

やりたいことの解像度もっと上げていこう

私もついつい「できることベースのやりたいこと」を考えがちなのですが、もうちょっと遠くの願望にも向き合ってみたいと思いました。キャリア相談でも「ちょっと先のことを想像してみると、どんな生活を送りたいですか？」と物語思考を読んでからよく問いかけている気がします。

物語思考、すごく勉強になりました。わかりやすい例も多くて、サクッと読めるのに、「自分はどうだろう？」と振り返りが進むいい本でした。
今読んでも面白いけど、新卒の頃にも読みたかったなー。