韓国での結婚式①

 こんにちは。キウイです。
 このNoteには、韓国人であるワイプとの日常で考えたことなどをを投稿しようとしていたのですが、今年は目の回る忙しさでなかなか文章を書く余裕ができませんでした。理由はいろいろあるのですが、そのうちの一つは韓国での結婚式の準備があったからでした。その結婚式も無事に終わったので、思ったことを書いてみたいと思います。

 韓国での結婚式というタイトルですが、あくまで私たちが経験した韓国での結婚式に関するお話であり、韓国における結婚式一般をさすものではありませんのでご了承ください。


私たちの韓国結婚式

 結論から言うと、「伝統式の結婚式」を挙げました。会社の同僚には、「チマチョゴリを着て、日本でいう神社みたいなところでやる結婚式」と説明しています。正確に言うと、韓服を着て、郷校という朝鮮時代の寺子屋のような施設(見た目は歴史あるお堂のような感じの建物です)で行う結婚式です。神社での結婚式同様、ほぼ野外で式典をするイメージです)。
 もちろん、韓国においてもホテルや式場で、ドレスを着て新婦の前で誓う結婚式が一般的であり、伝統式の結婚式はイレギュラーなものという前提はあったのですが、私たち夫婦はこのドレス式の結婚式をいろいろな理由でやりたくなかったため、起死回生の打開策(意味合ってませんが)としてこの伝統式結婚式を思いついたのでした。

もともとは結婚式をやりたくなかった

理由:ご祝儀回収目的の結婚式だったから

 私たちの韓国での結婚式は、もともとご祝儀を回収する目的で企画されたものでした。つまり、義両親がこれまで配り歩いてきた数百万ウォン(それ以上?)のご祝儀を、我々の結婚式で回収しなければならなかったのです。これには少し説明が要ります。
 前提として、結婚式における日本と韓国の最大の違いはなにか?と言われたら、私はその参列のカジュアルさだと思います。結婚式参列のハードルが全然違います。
 日本では、結婚式に招待する人を厳選し、諸々の配慮をしたうえ席次表を作り、招待状を作ります。呼ばれた側も、早起きして着飾り、3万のご祝儀をご祝儀入れに包んで式に出席します。一言でいうと大変です。
 これが韓国の場合事情が違います。まず、結婚式に席次表がないことがあります。食事はビュッフェ形式だったり、適当に着席すればよいという場合もあります。招待も「モバイル招待状」をカカオトークのリンクで送るのが主流です。ご祝儀も、相場は5千円程度から。現金直渡しでオーケーです(式場が用意した封筒に名前書いて入れます)。なので、呼ぶほうも呼ばれるほうも、日本に比べて格段に気軽なのです。
 つまり、韓国の結婚式は、カジュアルな感じで呼ばれるため、とにかくたくさんの結婚式に出席します。韓国の方は集まることが好きな人が多いのでそうした習慣になっているのだと思いますが、私の義両親においては、還暦を迎えられた今も、月に数度のペースで結婚式に参列する場合もあります(主に友人のご子息の結婚式など)。
 ちりも積もればとはまさにこのことで、これまで参列してきた数多くの結婚式で配り歩いてきたご祝儀は、自分たちの結婚式で回収する権利があり、これを行使しないわけにはいかないのです。予定招待人数はなんと200人というから驚きです。それは何としても回収しなければ…
 私は東京のシティー・ボーイですので(とはいえ全く洗練されていないことを指す自虐です)、「結婚式は夫婦二人の好きなようにやろう」と気楽に考えていたのですが、そうもいかなくなってしまいました。ワイプも大勢の参列者に、自分の結婚式についてあれこれ言われるのがストレスだといった感じでした(誰々の結婚式のほうが食事がうまかった、新婦が美人だor notなどなど)。
 いずれにせよ、この結婚式は義両親のご祝儀回収を目的としているため、また、韓国における結婚式は親が主催する場合も多くあるため(親としての最後のお仕事、という感覚だそうです)、私たちにどうこうできるものではありません。結婚式をやる以上は、夫婦一緒に「このドレスがいいね」だったり、「テーブルクロスの色はこの色にしよう」だったりをやりたかったのですが、そこにも義両親の要望が入ってくることは明白です。義両親が主催者なので当然ですね。「韓国で、顔も知らない200人のおじさんおばさんに囲まれて、義両親が決めたスタイルの結婚式をやる必要がある」という現実の前で、夫婦で考え込みました。
 誤解のないように言っておくと、私もワイプも義両親のことは大好きで、義両親のためにもなんとかこの結婚式を挙げたいという気持ちが大前提になります。そこで考え付いたのが、伝統式での結婚式です。 

伝統式結婚式がすべてを解決した

 まず、伝統式での結婚式をやるケースが非常に少ないため、他人との比較対象から外れます。参列者も、そもそも伝統式に参列したことのない人も多いですので、これでは比べようがありません。これでワイプの一番大きな懸念点クリアです。
 また、珍しい伝統式であれば、私たちの希望もそう多くはなく、義両親の要望に合わせることに全く抵抗がありません。そもそものイメージがないので、ドレスを着てホテルでやる式のように、「どのティアラにしよう」「オプションはどうしよう」といった悩みが0です。韓服は決められたものでオーケーですし、何もかもが「伝統式で決められた通り」で問題なしです。オプションもいろいろあるのですが、「輿に乗る」「伝統楽器を打ち鳴らす」など、イメージがわかないので義両親に全て決めていただければありがたいですと言った感じでした(結局この2つはやりました笑)。
 そして副次的な効果になりますが、伝統式での結婚式をあげることは、国際結婚である私たちを韓国の方々に認めていただくうえでも非常に有効と思われました。義両親の200人のご友人の中には、「ウェノムのサウィはどんなやつだ」と思っている方もいたはずです。そこで、私が韓国の伝統衣装を着て、伝統的な儀式をそつなく行っている姿を見せられれば、見ている側も「なかなかよくわかってるじゃないか」という気持ちになるのではと思った次第です。もちろん、日本人である私のことを悪く言う人はもともといませんでしたが、結果参列者に私の韓服姿は好評で、この戦略は功を奏したと言えます。

 そんなわけで、私たちは韓国で伝統式結婚式を挙げました。その様子やそこでの出来事は、また次回投稿しようと思います。
 お読みいただいた方、ありがとうございました。


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