「とるだけ育休」を提起した想いと我々が考える解決法
Twittterなどで話題として「とるだけ育休」をかなり取り上げてくださっていて、うれしいなと思っています。(元となっているニュースは以下)
課題として取り上げてくれてうれしい、という声や、もっと男性に知ってほしい、という声など、昨日からTwitterなど拝見していて、改めて身が引き締まる思いです。(ただ、一方的な男性叩きになるのは違うと思っていて、適切な情報提供と機会提供をすることで、パパにもママにもメリットがある状態を建設的につくりたいと思っています)
そうした中で、様々な疑問や一部批判もあるのを、きちんと我々が考えていることや「とるだけ育休」にしないための解決法をお伝えした方がいいなと思い、noteを書くことにしました。
クラファンページです。
→https://camp-fire.jp/projects/view/211558
※すごく大事なことを以下に書いているつもりなのですが、長いので、力尽きた方は↑をご覧ください!
まずは、様々な疑問に対してお答えする形で、「とるだけ育休」を提起した想いと男性育休の意義についてご説明します。
Q.
結局、男性育休って良いの悪いの?それを推進したいのしたくないの?
A.
圧倒的に推進したいです。ただ今回ママ側に調査をしてみて、
・「育休を取得してほしくない」が約5割
・「育休に満足しなかった」が約25%
・「1日あたり家事・育児時間2時間以下」が約3人に1人(「3時間以下」だと約半数)
というのがあり、このままだと「育休をとってもプラスにならなかった、あるいはむしろマイナスだった」人がたくさん出てきて、「育休ってこんなものか。だったらこのくらいでいいよね」と「とるだけ育休」が増えていったり、「そもそも育休ってとる意味なくない?」と「育休非取得」も増えていきかねないとすごく危惧しています。
圧倒的に、今は男性育休推進のチャンスだと思っていて、全力で後押ししたい。でも、男性育休が失敗しないようにちゃんとオンボーディングしてあげたいんです。(会社に入社したての人には、きちんと成功してもらえるように入社後一定期間は手厚めにサポートするのと同じ話です。ちなみに弊社はそうしてます)
Q.
結局、男性育休って何のためにあるの?
A.
目的は大きく言うと、3つあると思ってます。
1.ママの心身のケアをする
2.家事・育児のスタートラインを揃える
3.パパ自身もちゃんと幸せになる
1.ママの心身のケアをする
これはよく言われることですが、ママの産後うつ等の話です。産後うつは産後直後が一番リスクが高くて、これをケアするためのサポートが必要になります。
私は会社勤めなので会社の例えをしがちなんですが、育児(や子どもが生まれることに伴い生まれる家事)に関してはパパもママも新人なんです。そして、子どもの命を預かるというすごく重いものを、しかも休みなく気を張り詰め続けなくてはいけない、という話で、産後のワンオペ育児ってシンプルに言うと、「①新入社員が ②誰の支援もなく一人で ③難易度の高い業務を ④24時間やっている」ことなんです。
これってすごくやばくないですか?すごくやばいんです。すごく。
これを助けられるのがパパなんです。
だから、育休に満足した理由として「いるだけで安心した」みたいな声はあったんです。もちろん、それに甘えてしまうと他の負の側面やもっとよくできた側面が吹き飛んでしまうんですが、それでもそういう声が多かったことはお伝えしたいです。
2.家事・育児のスタートラインを揃える
これもよく言われることですが、パパが家事で使えない、パパには子供を預けられない、という声が結構聞かれます。これは色々と理由はあると思うのですが、シンプルに言うと、パパとママで家事・育児のスキルとやり方やその裏にある考え方、がずれてしまっているのが原因だと思うのです。
よく考えてほしいのが、ママもママになるまでは経験ゼロから始まっていて、多くのママは必要性に駆られて自分なりの家事・育児スキルややり方を身に着けていくのです。これをパパができない理由は一切ないと思っています。
そして、これをパパができないと、ママも苦しむし、パパも苦しみます。
ママ側は、「なんでパパはやってくれないの?」「一人で家事も育児もやっている」となるし、パパ側も、「家事・育児やろうとしてもいつも怒られるんだよな・・・」「なんか妻が不機嫌なんだよな・・・」という状況が割と長く続きます。(子どもに手がかかるのは1年で終わるわけではもちろんなく、なんなら2歳あたりをピークとしてその後も続きます)
だからこそ、パパとママがスタートラインを揃えて、スキルとやり方と考え方をすり合わせていくことが重要なのです。
3.パパ自身もちゃんと幸せになる
これは2と少し被る部分もあるのですが、すごく大事なポイントです。
これはいくつか観点があるのですが、
・単純に子どもと接していると幸せだよね
・妻と関係性が良い状態を維持できていると幸せだよね
・子どもも妻も含めて家庭という帰るところがあると幸せだよね
ということです。
せっかく家庭を持つ、子どもを育てる、わけだから幸せになりたいですよね。
よく挙げられるデータとしては、「女性の愛情曲線」というのがあって、乳幼児期に「一緒に子育てをしてくれた」と妻側が思っていると、夫への愛情はきちんと高くなっていきますが、そうでないと夫への愛情は出産後ずっと下がったまま、というのがあります。
そうしたこともあり「家庭」に帰るところが無くなってしまうと、どこかのタイミングで「仕事」でストレスがたまる状況に置かれたときに、「家庭」によりストレス緩和ができないので、辛くなってしまうというのがある研究結果としてもあるようです。
なので、まとめると、男性育休をきちんと活用すれば、パパもママも男性育休にとってすごくメリットがあるんですよね!なので、我々としては何としてでも推進したいと思っています。
クラファンページです。そろそろ力尽きてきた方はこちらをご覧ください!
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じゃあ、どうしたら「とるだけ育休」を解決できるの?
これが結構今回新しかったことなんだけど、あまりきちんと伝わり切っていないところかなと思っています。
今回、508人の夫が育休を取得したママが、育休満足理由と育休不満理由をご回答いただきました。これを、少なくとも20回以上は上から下まで読んで、「こう過ごせば満足できる育休になる7つのポイント」にまとめました。
一つ一つ書いていくと、以下のとおりです。
①量的に担当する=ちゃんと分担して!
②主体的な姿勢で取り組む=サブじゃなくて「主」でやって!
③精神的に支える=気持ちを分かって!
④休息をとらせる=休ませて!寝させて!
⑤十分な期間取得する=たくさんの日数とって!
⑥必要なスキルを習得する=家事育児できるようになって!
⑦家族との時間を楽しむ=家族で過ごす時間を大切にして!
でも、そうなると次に出てくるのが、以下の質問だと思います。
Q.
それは分かったけど、どうやったら夫にそうしてもらえるの?
A.
これはすごく難しい問題だと思います。ただ、すごくラフに言うと、男性育休の意義(≒必要性とメリット)を理解させることがまず第一歩だと思います。
例えば、「量的に担当する」ことが大事!と言われても、どれくらい家事育児タスクがあって、さらにそもそもママは産褥期であまり動けないし、なんならここでがんばるとパパにとってもメリットがあるよ、ということが前提として理解できていないと、すっと深く理解してそれをベースにモチベーション高く育休に臨むのは難しいと思うのです。
人間ってすごく難しいと思うのが、「何を伝えるか」と「どう伝えるか」の両方がすごく大切だということです。
「何を伝えるか」で言うと、先ほどと少しかぶりますが、「ママの産後の心身の状態」や「パパにとってのメリット」や「家事育児タスクがこれだけあること」をきちんと伝えることだと思います。そうすると、先ほどお伝えした以下の「男性育休の3つの目的」の必要性やメリットが分かりますよね!
1.ママの心身のケアをする
2.家事・育児のスタートラインを揃える
3.パパ自身もちゃんと幸せになる
そして、「どう伝えるか」で言うと、これが結構難しいんですが、これを「妻から伝える」ことが必ずしも有効でない場合があるんです。近い例で言うと、弊社が「ママリ」というママ向けQ&Aアプリをやっているんですが、その中の他のママのQ&Aを夫に見せることでやっと大変さを理解してもらえた、というケースが結構あるんです。
なので、「ママがパパにきちんと大変さを伝えればいいじゃん!」というのは半分そうなんだけど、なかなかハードなことを要求しているよね、と思うのです。
なので結論としては、伝えるべきことが網羅されているものを客観的にパパが読める形でパパママに届け、そこからパパママの話し合いを生むこと、が解決法だと思っています。
そして、ここから宣伝(営利目的ではないです)なのですが、だからこそ今回私たちはクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/211558)に挑戦しています。
内容は、本当に↑に書いたとおりのものです。
これを全国の自治体窓口で、例えば母子手帳(という名前がどうなの?と思いますよね。最近は「母」に限定しない書き方をしている手帳も増えているみたいですが)を配布する際に、パパママに渡してもらうイメージです。
で、幸いなことに、最近は男性育休にすごく積極的に良い感じで活用されている方も増えてきてはいて、それはすごくうれしいなと思っています。なんですけど、今回きちんと届けるべき対象の方は、「なんとなく育休とろうかな~」と思っている夫婦や、「なんとなく育休はとらなくていいかな~」と思っている夫婦が主と思っています。
そういった夫婦が日本の多数派だと思っていて、この方たちが、男性育休を取った上でいい感じで活用してくれると、日本の男性育休の当たり前が変わると思っています。
というのも、今回、10万部の配布を目指していて(既にいくつかの自治体様と配布に向けて協議はしていて、前向きにご検討くださっています。そんな前向き自治体様全てで配布すると10万部になります)、これだけ配れると、日本全体が変わり得るのではと思っています。というか、それに向けてがんばってきています。
何卒、応援のほどよろしくお願いいたします!
クラファンページです。ご支援のほどよろしくお願いいたします!
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