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「合否が決められない」

2020年夏、都内のとあるインター(以後Tインター)を受験することになったわが子。コロナ下ということもあり、学校見学はナシ、校長先生との対面の面接もナシ(Zoomでのインタビューで代替)、面接の結果次第では筆記試験もナシと、ナイナイづくしの受験となりました。

インタビューでは、なぜ日本の学校からインターを受験するのか?、家庭の教育方針は?、両親の海外経験などのバックグラウンドは?、これまでの英語教育はどうしていた?、もし入学したら家庭で学習のサポートや英語のサポートはできるのか?などなど、定番(と思われる)質問が校長先生からあり、両親が順番に答えました。

この間、なんと45分。緊張しながらずっと自分の出番を待っていたわが子、さすがに延々続く大人の話(しかも英語なのでちんぷんかんぷん)に疲れてしまい、うつらうつらし始めました。そのタイミングで校長先生が、「長いこと待たせちゃってごめんね。好きな教科は何?教えてくれる?」と質問。

しかし、日本語人のわが子。ぼーっとした頭で、とっさにセンテンスなんて作れません。しばし沈黙の後、おもむろに「Math(算数)」と単語で答えて終わり(苦笑)「え?それだけ?」(理由くらいbecause.. と付け加えようよ)との私の心の声は届かず。

その後、「お休みの日はどんなことをして遊ぶのが好き?」と聞かれ、パパに「公園に行くことって答えればいい?」と日本語で確認。「I go to the park.」とまたもや小さい声で回答。私は内心「I like to...」って練習していたのになぜ言えない?と、笑顔も引きつり気味。優しい校長先生は、「公園でどんなことをして遊ぶの?」と質問してくれましたが、子どもは「bycicle (自転車)」とまたもや、単語で回答。

こんな一方通行な校長先生とのやり取りの後、インタビューは和やかに終わりました。温かい態度でわが子に質問してくれる校長先生の教育者としての姿勢に感動し、改めてこの学校に入れたいと思いましたが、逆にこの程度の英語力で入学させてくれるのだろうかと、合否結果への不安も募ります。

一方、わが子は、まずオンライン面接は初めての上、日本の学校の放課後の時間で疲れていました。その上、大人の会話を45分も聞かされ、まったくいつもの元気の良さは発揮できずじまい。仕方ないと言えば、仕方ないのですが、なんとも最初から全部やり直したくなるくらいの出来でした。

いやぁ、これは、どんな結果が出るんだろう。良くても条件付き入学か?あるいは、日本の学校の学年より一学年下げれば入学させてくれるんだろうか…ドキドキしながら学校からの結果連絡(まずは電話)を待つこと2日。

しかし、2日経っても学校からの連絡は全くありません。何かがおかしい…

そこで、私の方から思い切って事務局に電話をしてみると、電話口で、「校長は合否が決められない、と言っている」との回答。

「え?、合格とか、不合格とか、条件付き合格とか、そういうことではないんですか?」と絶句する私。試験受けたら、普通は合格か不合格か、どっちかでしょう、というのが常識だった当時の私には、意味が分からず呆然とするばかりでした。

何か言わないといけないので「えーと、その場合はどうなるんですかねぇ。子供にはどう伝えたらいいんでしょう?」という私の質問に、今度は事務局の方も困るばかりでした。

ここから、わが子の起死回生へのチャレンジが始まるのでした。




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