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川のそばに住む男

川のそばに一人の男が住んでいた。
ある日、彼は無線で連絡を受けた。
「上流で激しい嵐があり川が氾濫して洪水になる、だから付近の住民は全員避難する様に!」
しかし彼はこう思った。
「私には信仰がある、神に祈れば助けてくださる」

水位はみるみる上昇していった、そこにボートに乗った男が来た。
「おーい!あんた、このままだと溺れ死ぬぞ。だから避難所へ行こう!」
すると男は怒鳴り返した。
「私は神に愛されている、神に祈れば助けて下さる」

次に上空にヘリコプターが飛んで来た。
ヘリの乗員がマイクで叫んだ。
「おーい!そこの君、洪水に押し流されるぞ、今はしごを降ろすから安全な所へ行こう」
すると、男はまた怒鳴り返した。
「私は神に愛されている、だから神に祈れば安全な所へ連れて行って下さる」
そして男は溺れ死んだ。

その後、彼は天国の門の前にいた。
彼は神に会いたいと望んだ。
そして、その望みは叶えられた。彼は神の前に行き、ひざまづきながらもこう言った。
「私はあなたに祈りを捧げました。愛されていると思ってた。どうしてこんな目に遭うんです?」
神は言った。
「私はあなたに無線連絡とボートとヘリコプターを差し向けた。なのにあなたは何故ここに居るのか?」

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